会の使命

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、詳しい病態は未だ不明で、指定難病にも障害者総合支援法の対象疾患にもなっておらず、一般の検査では異常が検出できないために、患者達は無理解と偏見に苦しみ、社会保障を受ける道も閉ざされてきました。私たちはこの現状を打開し、患者たちが安心して治療を受けられ、希望を持って生きることができる環境を作っていくために、NPO法人を設立することに致しました。

ME/CFSは、脳と中枢神経に影響を及ぼす多系統にわたる複雑な慢性疾患で、機能障害は全身に及びます。労作後の神経免疫系の極度の消耗、睡眠障害、頭痛・筋肉痛、思考力・集中力低下、筋力低下、起立不耐性、体温調節障害、光・音・食物・化学物質等への過敏性などの症状が長期にわたり持続し、社会生活が送ることができなくなります。通常ウィルス感染後に発症し、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類において、1969年より神経系疾患と分類されている神経免疫系の難病です。国内の患者は人口の約0.1%と推定されていますが、診療を行って下さる医師も非常に少なく、地域的に偏っています。

日本で筋痛性脳脊髄炎(ME)は長らく、慢性疲労症候群(CFS)と呼ばれてきましたが、慢性疲労症候群という病名では、この病気の深刻さの理解が妨げられ偏見が助長される恐れがあり、近年では国内外でもME/CFSと病名併記することが一般的です。2014年には、厚生労働省によってME/CFS患者の実態調査が当法人の全面的な協力のもとに実施され、寝たきりに近い重症患者が約3割もいるという深刻な実態が明らかになりました。

私達は2010年2月から任意団体として活動を始め、筋痛性脳脊髄炎(ME)の実態を描くドキュメンタリー映画を翻訳して上映会を開いたり、講演会・シンポジウムを開催したりしてきました。また、世界的に信頼されている診断基準や、最新の海外の情報を翻訳し、広く社会に対してこの病気の啓発活動を行ってきました。そして、国や地方自治体に対し、患者の救済のための医療制度や社会保障制度の確立と充実、筋痛性脳脊髄炎(ME)の研究の推進を求めて、働きかけも行ってきました。

さらに、神経難病の専門家である神経内科医による研究開始を願い、多くの神経内科医及び日本神経学会に働きかけを続け、2015年に国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所において、研究を開始していただくことができました。NCNPの研究グループは、B細胞受容体(BCR)レパトア解析という手法を用い、特定のB細胞受容体が患者群で増加していること、この解析法が診断マーカーとしても有用であることを突き止めました。この研究成果は、ME/CFSにおける感染と免疫病態の関連性の理解につながるものであり、ME/CFSの客観的診断法の確立や治療薬開発への応用が期待されます。

医療関係者をはじめとする多くの賛同者の方々に支えて頂いてきましたが、NPO法人として、今後さらに活動を充実させて参りたいと思います。