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20.12.27medRxivに3762人のコロナ後遺症調査

2020年12月27日付のmedRxiv(医学分野のプレプリントサービス)に、「国際的コーホートにおける長引くCOVIDの特徴:7ヶ月間の症状とその影響」と題する論文が掲載されました。

要約
目的:長引くCOVID患者の症状の統計データと時間的経過、及び日常生活、仕事、ベースラインの健康を取り戻すことへの影響を描く

計画:2020年6月以前に発症し、長引くCOVIDの症状が28日以上継続している、COVID-19に罹ったと思われる患者と確定患者に関する、国際的なウエブ上調査

設定:調査はオンラインのCOVID-19サポートグループやソーシャルメディアを通して配布

参加者:56ヵ国の3762人の回答者が調査を完了。1166人(33.7%)が40~49歳、937人(27.1%)は50~59歳、905人(26.1%)は30~39歳。2961人(78.9%)は女性、718人(19.1%)は男性、63人(1.7%)はノンバイナリー(自らを男性・女性のどちらでもないと認識している)。8.4%は入院したと報告。27%は検査でCOVID-19と診断されたと報告。96%は症状が90日以上あると報告。

結果:このコーホートにおいては、10の臓器系にわたり205の症状を示し、66の症状は7ヶ月以上に及んだ。回答者は、平均で9.08個(95%信頼区間、9.04~9.13)の臓器系において、様々な症状を経験していた。6ヶ月以降に報告された症状の中で一番多かったのは疲労(77.7%、74.9%~80.3%)、労作後の消耗/体調不良(72.2%、69.3%~75.0%)、認知機能障害(55.4%、52.4%~58.8%)だった。この3つの症状が、報告された全部の症状の中でも一番多かった。90日以内に回復した人で症状が最も多かったのは第2週目(11.4、9.4~13.6)で、90日以内に回復しなかった人で症状の数が一番多かったのは2か月目(17.2、16.5~17.8)であった。

6ヶ月以上症状があった回答者は、7か月目に平均で13.8(12.7~14.9)個の症状を経験していた。85.9%(84.8%~87.0%)が、主な引き金として、運動、身体的あるいは頭を使った活動、そしてストレスの後にぶり返しを経験していた。回復した回答者の44.7%(38.5%~50.5%)に比較し、まだ回復していない回答者の86.7%(85.6%~92.5%)は調査時に疲労を経験していた。45.2%(42.9%~47.2%)は、発症前に比べ就業時間を減らす必要を報告しており、22.3%(20.5%~24.3%)は、健康状態のために調査時に働いていなかった。

結論:長引くCOVIDの患者は長期間、多系統にわたる症状や著しい身体的障害を報告している。ほとんどの人は6ヶ月たっても以前の就業レベルには戻っていない。多くの患者は7ヶ月以内には回復しておらず、非常に大きな症状の負荷が継続している。

※英語の原文はこちらこらご覧頂けます

21.2.10山陽新聞に岡山大学の後遺症外来

2月10日付の山陽新聞dijitalに、「岡山大病院にコロナ後遺症外来~不眠、脱毛、嗅覚異常などに対応」と題する記事が掲載されました。

岡山大病院は15日、新型コロナウイルス感染症の後遺症を専門に診療する「コロナ・アフターケア外来」を開設し、複数の診療科が連携して対応します。

総合内科・総合診療科に設置。月、火曜の午後1時から診察します。血液検査や問診などで後遺症の原因を探り、精神科神経科や皮膚科、耳鼻咽喉科などの専門医と連携して治療します。遠方から通院する患者に対しては地域の医療機関と協力し、長期的な診療態勢を整えます。

対象は発症後1カ月以上症状が続く患者。受診にはかかりつけ医の紹介状が必要となります。同大病院総合内科・総合診療科の萩谷英大准教授(感染症専門医)は「感染を公言できず、1人で後遺症に悩んでいる人もいるはず。症状を緩和させ、QOL向上に力を尽くしたい」と話しています。

 

21.2.13ME/CFS患者の困難さを描く本出版

2月22日の出版に先立ち、「診断の社会学~『係争中の病』を患うということ」(慶応大学出版会)と題する本を、著者である大阪大学大学院人間科学研究科助教の野島那津子さんに謹呈して頂きましたのでご紹介致します。野島さんには2013年~14年くらいにかけて、会員の患者さんをご紹介させて頂きました。

本の「帯」には、「『そんな病気はありません』 痛みや苦しみを患いながらも、医療者によって『疾患』を診断されず、あるいは診断を受けても、他者から『病い』を認められない。そんな『病い』を生きる人びとの生の困難と希望を描く」と書かれています。

表紙の裏には、「本書では、『痙攣性発声障害』『筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群』『線維筋痛症』という3つの『論争中の病』を取り上げ、50名弱の患者への聞き取り調査などから、当事者が抱える深刻な困難や社会的経験の分析を行う。ここでいう『論争中の病』とは、生物医学的エビデンスを欠いているために、病気の実在性に疑義が呈され、患いの正統化をめぐって医療専門家と患者、医療専門家同士、あるいは患者をめぐる周囲の人びとや世論も加わって『論争』が生じている病を指す。

患いに名前を与えられず、名前を与えられるだけでは必ずしも苦しみを緩和されない『論争中の病』を患う人びとが、この社会で直面する困難や医療に対する希望を、私たちはどのように理解することができるのか。当事者へのインタビュー調査から、彼らが抱える困難や病名診断が当事者に与える影響を明らかにする」と書かれています。

序章には、「患っているにもかかわらず、その状態に対して適切な診断が下されなければ、病むこと――病人であろうとすること――をしばしば容易には許されない私たちの社会において、診断はきわめて重要な出来事でありプロセスである。・・・・この国ないし社会において彼ら(患者)がどのような困難を抱えているか、また、診断をめぐる問題とは何であるのか、その実態が十分に明らかにされているとはいえない。・・・本書は、論争中の病の病名診断が当事者に与える影響を、病気や病人をめぐる既存の社会学的議論や時間的・対他的変動も考慮しながら分析することで、論争中の病を患う人びとの困難および診断の経験を、より多面的に描きだすことを目指すものである」と書かれています。

第4章「何もできることはないけど愚痴なら聞きに来ます」、第5章「そんな病気はありません」で、具体的にME/CFS患者の実例が取り上げられています。

 

21.2.10日経メディカルに“隠れ後遺症患者”

2月10日の日経メディカルに、「“隠れ後遺症患者”をどう救う?~COVID-19と診断されていない患者にも出る後遺症」と題する記事が掲載されました。

COVID-19から回復した患者が倦怠感や睡眠障害を訴えても見逃されていることが問題視されています。これが、COVID-19と診断されていない患者にも広がっている可能性を、筋痛性脳脊髄炎の会の篠原代表は、「現在のままでは、無症状、軽症でPCR検査を受けていないCOVID-19患者が後遺症を発症した場合に救われない」と指摘します。

筋痛性脳脊髄炎の会では、2020年5月~8月末にかけて、COVID-19罹患後の体調不良に関するアンケートを実施。回答者326人のうち、40.5%が「仕事(学校)に戻ることができない」と回答したといいます。実はこの326人の中で。PCR検査陽性者は27人、陰性者が82人、未検査者が217人でした。

未検査者で、自己都合で検査を受けなかったのはわずか4人。残りは「熱が37.5度以下」「保健所に拒否」「渡航歴がなく濃厚接触者でない」「医師による判断」「CT・レントゲン・血液検査で異常なし」「肺炎症状なし」など、望んでいても検査が行われていませんでした。また、陰性者も、症状が出てからPCR検査を受けるまでに2カ月以上経過しているケースが23人おり、陰性だったからといって感染を否定できたわけではありません。

アンケートに回答したCOVID-19感染者の多くは2020年春、まだ国内で検査体制が整っていなかった時点で感染したと考えられます。また、厚生労働省が2021年2月5日に公表した2020年12月時点の5都府県の抗体検査の結果は、報告されている感染者数の1.6~3.6倍に相当することを考えれば、診断されないまま軽快したCOVID-19患者は相当数いることは想像に難くありません。

「COVID-19と診断されていない人は、治療の面でも精神的な面でもより困難な状況に追いやられていると言える。『倦怠感があって会社を辞めました』という人は救われない」と篠原氏。特に現在、呼吸器内科医や耳鼻咽喉科医を中心に後遺症に関する調査が行われているため、「ME/CFS様の症状はきちんと拾われないのではないかと危惧している」。「COVID-19と診断されなかったがCOVID-19による後遺症に苦しむ患者」をどのように拾い上げてフォローしていくか、今後の課題となりそうです。

 

21.2.10打越議員と平議員秘書への陳情

2月10日に新潟県の家族の方の働きかけにより、参議院厚生労働委員である立憲民主党の打越さく良議員にZOOMで陳情しました。COVID-19後にME/CFSを発症した方が日本でも確認されていることをご説明し、COVID-19とME/CFSの研究の重要性について訴え、請願の紹介議員も快くお引き受け頂きました。

東京都の患者さんの働きかけで、衆議院内閣委員会理事である自民党の平将明議員の秘書の方にもZOOMで陳情しました。神経難病であるME/CFSが深刻な疾患であることや、通常、ウイルス感染後に発症すること等を説明させて頂いた後、COVID-19後にME/CFSを発症した方が日本でも確認されていることをお話ししました。紹介議員の件はしっかり平議員に伝えて頂けることになりました。

 

21.1.14山花議員への陳情

1月14日に、衆議院総務委員会委員であり立憲民主党障がい・難病PT座長である、山花郁夫議員にZOOMで陳情しました。山花議員は事前にお送りした当会製作のドキュメンタリー映画のDVDや資料を読んで下さっており、以前にもテレビでME/CFSについて見たことがあるとおっしゃり、この病気の深刻さについてご理解頂きました。その上でCOVID-19後にME/CFSを発症する可能性についてご説明させて頂き、通常国会に請願をあげる方向で調整していることをお伝えしました。

 

2021.1.28AERAdot.にCOVID-19後のME/CFS

1月28日付のAERAdot.に、「40代男性の告白『自殺を考えた』 ”コロナ後遺症”に悩む患者の深刻な現実」と題する記事が掲載されました。

東海地方に住むYさん(40代)は、2020年4月に感染して数週間後に退院しましたが、体調は改善せず、体全体が不快感と倦怠感に覆われ、「感染前の生活を送れない」と話します。患者団体の「筋痛性脳脊髄炎の会」によるアンケートでは、約4割の人が「仕事(学校)に戻ることができない」と回答。同法人理事長は「当時、PCRを受けられずに後遺症を発症している人たちは、行政の補填から落とされてしまうのでは」と訴えます。

Yさんは重症化せず、3週間ほどで退院。退院後、担当医から「1カ月ほど安静にして、外出を控えるように」と指示を受けましたが、自身の症状に不安を抱き、2カ月の自粛生活を続けました。しかし、自粛を終えた後も感染前の生活スタイルが戻ることはありませんでした。「肌の痛みと体全体に走る激痛、37度前後の微熱、鉛を付けられているかのような体のダルさ、睡眠障害。憶障害もあり物事をパッと思い出すことができず、考え事をしても頭の中が真っ白です。」

入院時の担当医を受診してもメンタルクリニックへの受診を勧められ、そこでうつ予防の薬をもらいましたが、その薬を飲んだ後、Yさんは救急車で病院に運ばれてしまいました。症状に危機感を覚えたYさんは、インターネットで症状を調べ続け、ME/CFSにたどり着きました。

Yさんは10月にMEと診断を受けました。「動くと息苦しさと疲れ、皮膚のヒリヒリが続きます。3日間寝られない時もあり、ちょっと無理をすると、一日の最後にダメージがきます。自殺を何回も考えました。」寺の住職や地域の自治会長として多忙な毎日をおくっていたYさんは、「感染前は毎日朝早くから夜遅くまで仕事し、犬の散歩や体力作りのための筋トレが日課でしたが、いまは一切できません。少しでも体に負担がかかることをすると、その疲れと息苦しさ、皮膚の痛みが襲ってきます。」

実はこのME/CFSは、新型コロナウイルスが原因で発症する可能性があると言われ、アメリカやヨーロッパでは流行当初から注意喚起がなされている難病です。国立精神・神経医療研究センターの山村隆医師はME/CFSについて、こう説明します。

「新型コロナはME/CFSを引き起こす可能性があります。極度の体力消耗といった身体的負荷、作業後の消耗、認知機能障害、過眠や不眠といった睡眠障害など、いくつもの症状が同時に発生します。これが6カ月以上続くと、ME/CFSの可能性が高い。中には歯ブラシを持てない人、髪の毛を3カ月間洗えない人もいました。症状の一番のポイントは、”集中力や思考力の低下”といった認知機能障害です。本を読んでも集中して読めない。2~3行読んだら疲れて、読んだ内容を忘れてしまう。学校へ行っても教科書を読めず、仕事をされている方は書類をきちんと読めない。」

「ME/CFSにかかると脳(中枢神経系)に異常をきたします。認知、言語、ワーキングメモリーで重要な役割を果たす右上縦束という大切な部分に異常が出ることはわかっています。ME/CFSが起こる原因は、まだよくわかりませんが、体内から排出されていないウイルスに免疫系が過剰に反応して暴走し、脳の中で炎症反応を起こし、症状が起きているのではないでしょうか。ME/CFSは発症前の日常生活に戻ることができない病気ですが、周囲の人には患者さんの訴えが理解できず、怠けているのではないかと言われることすらあります。また、病院で受ける血液や脳の検査では異常が出にくく、患者さんによって症状の組み合わせが異なったりするため、医師も診断がしにくいのが現状でしょう。ME/CFSに詳しい医師の数も日本では少ないのも問題点のひとつです。」

患者団体の「筋痛性脳脊髄炎の会」は昨年、COVID-19後の体調不良(後遺症)が続いている人がME/CFSを発症する可能性を調べるため、インターネット調査を実施し、326人から有効回答数を得ました。検査数抑制のためにPCR検査を受けられなかった人や陰性となった人も調査対象としました。調査では、40.5%が「仕事(学校)に戻ることができない」、11.3%が「身の回りのことができない」、12.6%が「寝たきりに近い」、3.7%が「基本的動作(飲み込みや歩くなど)を学習する必要がある」と答えました。その後、専門医の診察や検査を経て、5人(陽性1人、未検査4人)がME/CFSの確定診断を受けました。また、ME/CFSの症状を呈した人は全体の27.9%で、陽性患者全体の22.2%、陰性患者全体の31.7%で、未検査患者全体の27.2%という結果でした。

同団体理事長は、調査結果についてこう話します。「日本においても、新型コロナ感染後にME/CFSを発症した人が確認され、多くの人がこれまでの生活を送れなくなった実態が浮かび上がってきたのです。私たちが一番心配をしているのは、20年1月から5月あたりのPCR検査が抑制されていた時期に、PCR検査を受けられなかった人たちが後遺症に苦しんでいることです。新型コロナに感染してもPCR検査すら受けられなかった方たちは、治療の面でも精神的な面でも、より困難な状況に追いやられています。こうした問題を解決するためには、PCR検査を希望する全ての人が検査を受けられるよう、今からでも検査体制の拡充が大切ではないでしょうか。」

 

21.2.5石田議員への陳情

2月5日に参議院厚生労働委員会理事である、自民党の石田昌宏議員に昨年8月、9月、11月に続いてZOOMで陳情しました。神経免疫の専門家によるCOVID-19とME/CFSの研究を促進するために、石田先生は厚労省の難病対策課や結核感染症課とも話してして下さっています。実際の研究につなげていくためには何が必要か、また、請願の採択に向けて色々なアドバイスを頂き、快く請願の紹介議員をお引き受け頂きました。

 

 

21.2.4小西議員への陳情

2月4日に参議院外交防衛委員会理事である、立憲民主党の小西洋之議員にZOOMで陳情しました。昨年の臨時国会に提出された牧山ひろえ先生の質問主意書に対する答弁書に「(COVID-19後遺症の実態調査)の結果を踏まえ、必要に応じて適切な対策を講じてまいりたい」と書いてあるのですから、神経免疫の専門家が後遺症の研究に加わることが大事だとおっしゃり、その場で厚労省の難病対策課長に電話をし、要望して下さいました。また、快く請願の紹介議員をお引き受け下さいました。

21.1.27中村議員への陳情

1月27日に北海道の患者の家族の方の働きかけにより、衆議院文部科学委員である自民党の中村裕之議員にZOOMで陳情し、家族の方に同席して頂きました。COVID-19後にME/CFSを発症する方が増えており、当会のアンケート調査でも日本でも症例が確認されていることをお伝えし、COVID-19とME/CFSの研究を早急に開始する必要性について訴えました。当会の請願の紹介議員も快くお引き受け頂き、厚労省の難病対策課とも面談後にお話しして頂きました。