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18.11.25埼玉で山村先生が講演されました

11月25日(日)にさいたま市の「With You さいたま」において、一般社団法人埼玉県障害難病団体協議会(障難協)主催の第37回埼玉県民福祉講座が開催されました。障難協は、23の障害者や難病の団体が加盟しており、会員は約3200人で、埼玉県の委託事業として難病相談支援センターを開設しています。当日は障難協の代表理事、2人の副代表理事、理事や2人の難病相談支援員の方も出席して下さり、50名以上の方が出席して下さいました。

理事であり全国心臓病の子供を守る会の神永芳子会長が、司会を務めて下さいました。代表理事であり全国CIDPサポートグループの鍛冶屋勇・関東支部長のご挨拶に続き、当法人製作のドキュメンタリー映画「この手に希望を~ME/CFSの真実~」(監督:有原誠治)を上映して頂きました。休憩の後、当法人の篠原理事長より、どんな症状が24時間365日続くのか、患者会発足前はME/CFSを神経系疾患と認識している医師は日本にはおらず、患者たちはいかにひどい扱いを受けてきたか、その中で海外の最新情報を翻訳して患者会を発足させたことなどをお話ししました。

続いて、今年4月にAMEDにおいて発足した「ME/CFSに対する診療・研究ネットワークの構築」研究班班長の、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所の山村隆先生にお話し頂きました。

「ME/CFSの研究は進んでおり、恐らく新薬の治験も国内で実施されるだろうという予感がしています。新しいお薬が承認されるまでには、早くて4,5年かかります。最初は比較的軽い方で色々と良くコントロールした状況での、かなり小規模な治験になります。うまくいけば5年後くらいで全国で薬が使えるようになります。多発性硬化症に薬が5種類も必要なのは、ある最初のお薬で救える患者さんは3割か4割で、残りの患者さんはそれではうまくいかないので、次の薬が出てくるという形でどんどん増えていくからです。

日本では2,3年前まで神経内科医が全くこの病気にタッチしなかったのは、こういう病気があることを知らなかったからです。しかし、前日本神経学会代表理事の高橋良輔先生が、脳神経内科医が読む医学書院のBrain and Nerveという雑誌に特集を組み、そこにコマロフ先生(ハーバード大学教授でME/CFSの世界的権威である専門医)や私の論文も入れてくれました。もし担当医が全く理解がなければ、この雑誌のコピーを見せてあげたら良いと思います。これは重要な雑誌です。

私たちの研究班の角田先生(国際医療福祉大学市川病院副院長)が、磁気刺激を脳に与える治療(実際には磁気刺激で脳に電流が流れるようにする装置を使った治療)をすると、疲労の症状が劇的に改善されるという論文を発表されています。脳を刺激すると良くなるということは、やはり脳に問題があるということを意味していると思います。

私たちの成功例ですが、視神経脊髄炎という病気の上流には、IL6というサイトカインの上昇があることを見つけ、このIL6の阻害剤を治療に使い、大変よく効くことを実証しました。こういう特定の分子をターゲットに、一つの病気の原因になるような悪いところをピンポイントでやっつけるような薬が出てくると、本当に良く治ります。だからME/CFSもピンポイント攻撃の方に行かなければならないことは確かです。

多発性硬化症の領域では免疫学がどんどん重要になり、免疫学のおかげでこの病気は難病ではなくなりつつあります。ME/CFSも免疫学で攻めていかなければいけないと思っています。NCNPで患者さんを診て最初に驚いたのは、免疫関連疾患との合併例が結構多く、ご家族の中にも免疫の病気のある方が多いことでした。家族歴にこういう免疫疾患の方が多いというのは、多発性硬化症とそっくりで、これはもう免疫の病気だなとすぐに思いました。

ノルウェーの研究者たちが試しているリツキシマブという薬は、B細胞を殺す薬です。私たちはリツキシマブが効くという情報を別の方法で確認するために、患者さんの血液中のB細胞を解析しています。リンパ球の特徴をフローサイトメーターという機械で調べることができますが、B細胞が全体として増えているということをすぐに確認できました。一部の患者さんでプラズマブラストというリンパ球が増えていること、ME/CFSが重症の人ほどこのプラズマブラストが増えているということも分かりました。このプラズマブラストは、最初の10年は増えていて、その後、減るということも分かりました。ですから恐らく最初の10年にB細胞の非常に強い活性化が起こっていて、この時に病気が一挙に悪くなるのだろうと思います。ですからこの時期が一番、治療として重要な時期ではないかと思います。

私たちはリンパ球の中でも、数十種類をさらに分けて調べています。制御性T細胞は、免疫の暴走を抑えるブレーキ役のリンパ球で、これが減ると免疫病になります。ME/CFSの患者の制御性T細胞を詳しく調べたところ、有意に減っているということが分かりました。この減り方は多発性硬化症と同じようなレベルです。制御性T細胞という免疫の暴走を抑える細胞が減っているので、免疫系が勝手に活性化して、色々なことをやっているということが考えられます。

B細胞の受容体の遺伝子解析も今では比較的簡単にできます。簡単に言いますと、B細胞はそれぞれ抗原受容体というバーコード(遺伝子)を持っていますが、それを次世代シーケンサーという、遺伝子を高速で調べる機械で読んだところ、ME/CFSの方と健康な方では、明らかにそのバーコードに違いがあることが分かりました。ME/CFSの方のB細胞では、6種類のタグをもったバーコードが増えていることが分かりました。ロジスティク解析という方法で調べたところ、今言った6種類のタグを計れば、ME/CFSを診断できる、その信頼性は9割くらいに到達するということが分かりました。さらにもう一つマーカーを追加しますと、信頼性95%でME/CFSが診断できるという時代になったわけです。ですから、客観的診断基準に当然、使えますし、今までこの病気の実態を信用しないドクターが全国にいるわけですが、もうそういう時代は終わると思っています。

20例のME/CFSの患者さんを最新のMRI拡散イメージング手法を用いて、脳内の構造評価を行い、微細な構造に異常があるということが分かりました。これは論文が最近でました。色々な解析を加えましたが、右上縦束などに異常信号があることが分かりました。右上縦束の異常というのは、多分、この病気の本質的なものではないかと思います。20例の結果で発表しましたが、今、50~60例で解析し、もっときれいな結果が出ており、それをまた発表したいと思っています。ME/CFSは脳神経内科で診るべき病気だということは、一連の解析で明らかになったと思います。

たった3年でここまで研究が進んだのは、今まで多発性硬化症で研究してきたノウハウの蓄積があり、それをすぐに使えたからです。この病気は神経免疫学的にアプローチすれば、あっという間に結果が出るという感じがしています。新しい指標も見えてきていると思います。最後に、多発性硬化症では、日本人のデータと欧米人のデータの結果が乖離しています。ですからME/CFSも日本できちんと研究する必要があり、欧米人に任せておけばよいという感覚は絶対に間違っていますので、日本人として頑張っていきたいと思っています。」

質疑応答の時間に、「脳に異常があるので、内分泌系や神経系などに異常が出るのですか」「副腎の機能低下がこの病気に関与していますか」「感染症がこの病気の引き金になるのですか」「筋痛性脳脊髄炎、線維筋痛症、シェーグレン症候群はどう違いますか」等の質問が出されました。最後に当法人の岡本理事より、社会の無理解を変え、山村先生の研究を応援するために、患者会に任せっきりにするのではなく、行政や議員等への働きかけに協力して頂けるよう、患者や家族の方にお願いがありました。

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18.11.23神経治療学会に患者会ブース出展

東京のお台場にあるTFTホールにおいて、11月23日~25日に開催された第36回日本神経治療学会学術大会に、患者会ブースを出展しました。5月に札幌で開催された日本神経学会学術大会に患者会ブースを出展した際に、日本神経治療学会学術大会事務局を担当する獨協医科大学の神経内科の先生から要請を受け、出展致しました。

患者会のブースでは、ドキュメンタリー映画「この手に希望を~ME/CFSの真実~」を繰り返し流し、この病気に関心を持って頂けるよう訴えました。この病気の基本的情報や海外の研究論文等についてパネル発表しましたが、何人もの先生がスマホで写真を撮りたいと言って下さいました。

カナダの診断基準米国国立衛生研究所(NIH)における研究の小冊子の他にも、ネイチャーダイジェストの記事や、医学書院発行の「Brain and Nerve」という医学雑誌2018年1月1日号の「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の今」と題する特集号のコマロフ・ハーバード大学教授(ME/CFSの世界的権威である専門医)や山村隆先生の記事、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)から出された脳の異常に関する最新の論文などを配布しました。今回は神経「治療」学会ですので、ノルウェーにおけるリツキシマブの治験の論文や、症状緩和のための和温療法rTMS治療Bスポット治療等の治療法の論文等も配布しました。

何年も前から患者会を応援して下さっている日本神経学会の前代表理事の高橋良輔・京都大学教授もお寄り下さり、NCNPから論文が出されたことを喜んで下さいました。また、富山でrTMS治療をされている先生と情報交換したり、同僚がこの病気を診療しているから何か力になれればとおっしゃって下さった神経内科の先生もいらっしゃいました。

18.11.10山口県の研修会で上映しました

11月10日(土)に山口県健康づくりセンターにおいて、全国済生会事務部(長)会 社会福祉事業推進協議会主催で、「制度の谷間の問題とソーシャルアクション」と題する研修会が開催されました。当日は済生会の炭谷茂理事長、医学博士の松原了理事、事務部長7名 MSW(医療ソーシャルワーカー)40名が、27都道府県の39病院から出席して下さった他に、一般の方が2名出席されました。

済生会は「生活困窮者を済(すく)う」「医療で地域の生を守る」「医療と福祉を会を挙げて切れ目のないサービスを提供する」という3つの目標を掲げ、全職員約59,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開している、日本最大の社会福祉法人です。

済生会奈良病院の森川事務部長が司会を務めて下さり、まず当法人製作のドキュメンタリー映画「この手に希望を~ME/CFSの真実~」(監督:有原誠治)を上映致しました。10分ほど休憩の後、当法人の篠原理事長より、中核症状を理解して頂くのが困難であること、見た目では症状の辛さが分からないこと、患者会発足前はME/CFSを神経系疾患と認識している医師は日本にはおらず、患者たちはいかにひどい扱いを受けてきたか、その中で患者会を発足し神経内科医による研究を求めてきたこと、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の山村隆先生の研究班発足、NCNPからもうすぐ出版される論文の概要、映画を通して訴えたいことなどをお話ししました。

MSWの荻津守さんより「制度の谷間の問題とソーシャルアクション」と題して、MSWとは、患者や家族の不安問題を一緒に考え、解決の道への歩めるよう支援する職種であり、MSWの相談支援に病名は関係なく、病気でないと言われて苦しんでいるのであれば、相談支援の対象とすべきであること、ME/CFSは社会的認知度が低く診断名が付かず、「制度の谷間」に置かれ福祉制度の利用が困難であり、患者は孤立しがちであること等が問題であること、患者のためのボランティアの勉強会、病気の周知活動、患者会との連携、福祉制度活用のための支援、制度の改善活動などの支援事例を挙げ、「あるべき姿」と「現実の姿」のズレを少なくしていることが「ソフトウェアアクション」であること、今の難病制度は不十分であり、誰もがどこでも診療を受けられる診療体制、社会的支援を受けられる体制、経済的基盤の確保が必要であることなどを話して頂きました。

質疑応答の時間に、「患者会として済生会に具体的に何を望みますか」「患者さんから診断のための病院を紹介してほしいという質問が入った時の対応の仕方は」などの質問が出されました。最後に炭谷理事長は、患者会の取り組みが非常に勉強になったし、済生会のMSWが診断がつかなかったころからME/CFS患者に寄り添い、済生会スピリットを発揮して良い模範を示してきたことを高く評価すると話されました。

終了後に関西の病院のMSWの方から、受け持っている看護学校や大学でMSWのゼミを取っている学生に、「この手に希望を」を見てもらいたいという提案を頂きました。また、国内の済生会病院には6ブロック(北海道・東北、北信越、関東、近畿、中四国、九州)ありますが、それぞれのブロック長に「この手に希望を」のDVDと7冊の小冊子セットを送り、各ブロックで協力を依頼して頂けることにもなりました。

18.10.23NHK EテレのハートネットTVで放送

10月23日(火)にNHK Eテレの「ハートネットTV」という30分間の番組で、「忘れられた病~筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の現実~」と題して、夜8時からME/CFSを取り上げて頂きました。重症患者の実態、福祉サービスを受けることの困難さ、診断が得られない苦しみ、行政の無理解に苦しむ患者、当法人の取り組み、神経系疾患としての研究、治療への取り組みなどを取り上げて頂きました。10月30日(火)13:05~13:35には、再放送されました。

東京都内に暮らすSさん(47)は、10年ほど前にME/CFSを発症しました。全身が鉛のように重く、音や光にも敏感なため、一日の大半を電気を消した部屋で横になって過ごしています。病気で動けないため、家事の多くは高校生の娘(17)が担っています。少しの音でも心臓や脳に突き刺さるように感じるため、お皿の出し入れも、音が出ないように気を付けています。ヘルパーを頼もうともしましたが、わずかな刺激でも体調が悪化してしまうため断念しました。

36歳で発症した時、Sさんはホームヘルパーとして働きながら、まだ幼い娘を一人で育てていました。ある時、肺炎にかかり微熱や倦怠感などがいつまでも続き、次第に起き上がれない日も増え、やむを得ず40歳で退職。治療に専念することにし、様々な病院を回り検査を受けましたが、異常は見つからず、体調はどんどん悪化していきました。「とにかく眠れず、光とか音とかに過敏になって、立っていられないし、もう寝てても横になっていてもしんどい」

たまたまある病院のスタッフから「慢性疲労症候群」という病気があると聞き、インターネットで患者会のホームページを調べると、そこには、自分とまったく同じ症状が書かれていました。患者会の資料を持って大きな病院を受診しましたが、血液などの検査結果には異常が見られないため、医師は資料を見ることもなく、「慢性疲労症候群っていうのはあるみたいだけど、あれってはっきり言って病気じゃないしね」と言われてしまいました。この病気を診てくれる医師はいないのか必死で探し、ある病院にたどり着いたのは発症から8年後、ようやく診断を受けることができました。

Sさんを診断した静風荘病院・特別顧問の天野惠子先生は、「筋痛性脳脊髄炎」の診断の難しさをこう語ります。「どんな病気でもそうですが、教科書に載らないと、なかなか一般のお医者さんがこの病気を認知することは無理なんです。検査をしても『何でもない、気のせいでしょう、もうちょっと様子みましょう』と言われ、その様子をみましょうが、あっという間に何年もたってという状況になります。その間にどんどん悪くなって、普段できていたことができなくなり、仕事を辞めることになります。教科書以外の色々な病気をひろって、患者さんを治してあげようという気持ちがない限りは、門前払いになります。」

ようやく診断がついても、根本的な治療法はまだ見つかっていません。Sさんは今もつらい症状に悩まされ、一人の時の食事は介護用の宅配弁当で済ませますが、指先の筋力が低下し、箸は使えません。食事をするだけで体力を消耗し、倒れ込んでしまいます。この3年間、通院以外で家の外に出たことはほとんどありません。日本の患者はおよそ10万人。その内の3割がSさんのように重症な人たちです。いまだに診断さえ受けられない人が少なくありません。

一方で、患者の置かれた状況を変えようとする取り組みが始まっています。患者会代表の篠原三恵子さんは28年前にこの病気を発症。8年前に患者会を立ち上げ、病気への理解を求めて活動しています。ドキュメンタリー映画の上映会では、情報を得られず困っている患者たちの姿もありました。現在、障害者手帳を取得し、ヘルパーの介助を受けながら生活していますが、篠原さんのように福祉制度を利用できる患者はまだ少ないのが現状です。患者会では国に対して病気の実情を知ってもらい、医療と福祉を充実させるように陳情を重ねてきました。「最終的な目的は、治療薬ができ、少しでも働けるようになるとか、学校に戻って勉強するとかが患者さんたちの本心ですので、それを目指したいと思っています。」

障害者手帳があれば、医療費の助成や車いすの支給などの様々なサービスを受けることができますが、意見書は法律で定められた指定医でなければ書けません。しかしこの病気を理解している指定医はまだわずかです。たとえ歩けたとしても、その後、回復できずに寝込んでしまう場合は、障害の程度を重く見なければならないと言います。困っている患者と出会ったのをきっかけに、3年前から意見書を書くようになったこの医師のもとには、全国から患者がやってきますが、これ以上の受け入れは難しいとも感じています。「患者さんを診て同情する、やる気のある医者が各都道府県にたった1人でもいてくれたら・・・」

今年の4月、国は新たな研究班を立ち上げて、病気の解明に乗り出しました。国立精神・神経医療研究センターでは、患者の血液からリンパ球を分離して解析。すると免疫を司る細胞に、明らかな異常が見つかりました。AMEDの「ME/CFSに対する診療・研究ネットワークの構築 」研究班の班長・山村隆先生は、病気のメカニズムを読み解くカギになると考えています。「免疫系が暴走して、脳の中に免疫系が入り込み、炎症を起こしているのではないかというのが一つの仮説です。血液を採るだけでこの病気の確率がどれくらいなのか、あなたは100%この病気にかかっています、と言えるような時代が来ると思っています。」

強い電磁石を頭にあてて、脳の表面に電流を発生させるrTMSと言われる新しい治療法の研究も始まりました。4年前に発症した女性は、一時は家事さえできずに、家で寝たきりでした。「浮き沈みはありますが、症状が悪化してから体調がベストの状態になってきてると思います。仕事とか、社会とつながりたい。」研究班ではこの治療の成果を検証し、全国に広めていきたいと考えています。

医療が進歩する一方で、時間との闘いをせまられている人たちがいます。新潟市に暮らすMさんは、9年前に発症し、今はほぼ寝たきりの状態です。病気で仕事を失い、生活保護を受けながら一人で暮らしています。新潟市内の病院では診断がつかず、知り合いの患者から富山にあるクリニックを紹介してもらいました。そこでは近くの医療機関と連携してrTMSにも取り組んでいます。Mさんは今年2月に受診し、ようやく診断を受けることができました。

定期的に受診したいたいと思い、新潟市に医療費の支給を申請しましたが、申請は却下されてしまいました。理由はクリニックが近くでないことと、対症療法は新潟市内でも行うことができるはずとされました。生活保護を受けている人は、健康保険に入れず、行政から医療費を支給されないと全額自己負担になります。現在、Mさんは弁護士を通じて処分の撤回を求めていますが、次に受診できる見通しはたっていません。全身の疲労感や筋力の低下が進み、体調は悪化し、最近は食事をとることも困難なため、栄養剤でしのいでいます。この2ヶ月で体重は10キロ以上、減ってしまいました。希望を見失いそうになる日々が続いています。

日本で患者が確認されておよそ30年。正しい診断と治療が受けられることを患者たちは願っています。

18.12.21全国一斉障害年金電話法律相談会

各弁護士会と日本弁護士連合会の主催で、全国一斉障害年金電話法律相談会が実施されます。障害年金は、障がいのある方の生活を支える基本的権利です。しかし、全国の障がいのある方約937万人のうち、障害年金受給者は約211万人にすぎず(2016年度)、75%以上の方が無年金状態です。また、本年5月以降に明らかになった障害年金の大量支給停止問題など、障がいのある人の生存権が脅かされています。

そのため、日弁連および各弁護士会では、初めて全国一斉での障害年金の電話相談会を実施して下さることになりました。障害年金に関する一般的な相談や支給停止・支給却下等の事案などについて、全国各地の弁護士が無料で相談を受けて下さいます(相談料無料・予約不要)。本人だけではなく、家族や支援者の方からの相談も受付て下さるそうです。

12月21日(金)10:00~16:00
0570-051-221

※上記は特設番号ですので、この日以外は利用できません。
※通話料金がかかります。PHSや050IP電話からは利用できません。

ナビダイヤルで近くの弁護士会につながります。
※弁護士会によっては、相談を実施していなかったり、実施時間が異なる場合がありますが、その場合には他の地域の弁護士会に、つながるように設定されているそうです。

気軽に相談されてみてはいかがでしょうか。詳しくは日弁連のHPをご覧下さい。

18.10.19Yahoo!ニュース特集で動画と記事公開

10月19日(金)に、インターネットのYahoo!ニュース特集「深層クローズアップ」に、「社会から理解されず、見過ごされ 『慢性疲労症候群』患者の切実な声」と題して、記事と動画が公開されました。4人の患者さんの実態や、AMEDの「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に対する診療・研究ネットワークの構築 」研究班班長である国立精神・神経医療研究センター神経研究所の山村隆先生のお話しを取り上げて頂きました。

この病気は、明確な原因は分かっておらず、治療法も確立されていません。3割が重症患者とされ、重度になると寝たきりになってしまうにも関わらず、患者たちの多くは「怠けているだけじゃないか」といった心ない言葉を浴びてきました。「慢性疲労症候群」は「筋痛性脳脊髄炎」とも呼ばれ、症状が進むと光や音の過敏症になり、音のない暗い部屋で寝たきりでいるしかない患者もおり、家族と一緒に住んでいると、廊下を歩く音や冷蔵庫を開け閉めする音も耐えられないケースがあるといいます。

【動画】
28年前に発症したSさんは、介助がなければ外出することができず、40分間買い物に出ただけで寝込んでしまいます。最近、一日のほとんどをベッドで過ごしています。症状が一番重かった時には、「真剣におむつをすることを考えたくらい。背中は痛いし、力も入らないし、寝られなくて」食事はすべてヘルパーに作ってもらい、食事介助を受けています。現在、患者会の代表を務めています。医師にも社会的にもこの病気を理解してもらえなかったために、8年前に患者会を立ち上げました。「人に会う時は珍しく体調が整っている時だけなので、元気そうじゃないと言われますが、その後は誰にも会えず、家族とも口をきかないで寝ている状態になります。それを外の人は絶対に見ないので、この病気の深刻さをわかってもらえません」

9年前に発症したKさんは、心理カウンセラーとして働いていましたが、現在は仕事を辞め、一日のほとんどをベッドで過ごしています。「週に一回、往診で痛み止めの注射を受けていますが、効果は一時的なものです。」治療ができる病院が少ないため、一か月ぶりの通院に、1時間かけ3つの電車を乗り継いで通院しています。Bスポット療法と呼ばれ、鼻の奥を刺激してリンパの流れを促し血流の循環を正常化させるのもで、Kさんは頭痛が取れ意識がはっきりすると言います。数少ない治療法の一つで、症状緩和の効果は2週間ほどです。この病気には他の難病とは違った難しさがあります。「一番大変なのは社会的認知の低さだと思います。病気だけを相手にしているのではなく、医療の方で理解のある方になかなか巡り合えないと、たらいまわしが続きます」

【記事】
Sさんは1990年、32歳のときに米国の大学に通っている時に発症。発症の6年後に帰国し、そこで思いがけない現実に直面します。「アメリカでの診断書を持って、大学病院や都内の病院などいくつも病院を回りましたが、どこに行っても否定され、最終的には『身体表現性障害』だと言われました。何人ものお医者さんから『怠けているんだ』、考え方とか、私の人格の全てが悪いから体がおかしくなるみたいに説教されました。」2010年、患者会「慢性疲労症候群をともに考える会」を立ち上げ、そこで出会った医師に診断された時には、帰国から既に14年が過ぎていました。

病気を医師にも社会的にも理解してもらえない現状は、今も大きく変わっていません。Sさんは「深刻さを理解してもらえず、お医者さんからも行政からも、ひどいことを言われ……。患者会を立ち上げるまでは、病名を隠していました。例えば、お医者さんには何日も前から体調を整えて行き、通院後にどっと疲れて1〜2週間は寝込んでも、家族以外は本当に具合の悪い状態は見ませんから、お医者さんが知っている姿は、この病気の本当の姿ではないんです。」

Gさん(25)は大学3年生ですが、13歳だった中学2年生のときに体に異変を感じ、6年後に診断されました。「光過敏症」もあるため自宅の部屋は薄暗く、ベッドの周りのすぐに手に取れる近さに、本が積み上がっていました。Gさんは発症後、大学病院で2年間の検査入院を強いられました。「マイコプラズマ肺炎にかかって、2週間くらいで肺炎は治ったのですが。」小児科から精神科まで、あらゆる診療科で検査しましたが異常は見つかりません。医師たちは「小児科では何も悪いところがないから精神科で原因を見つけてくれ」「なんでもかんでも精神科に持ってくるのはやめてくれ」などと責任を押し付け合うようでした。

母のMさんは「『お母さんが甘やかしたから、学校に行きたくなくてわがままを言っているんじゃないですか』と言われたり、『虐待した心当たりはありませんか。胸に手を当てて思い出してみてください』と言われたりしました。私が悪いことをしたから、それが(心の)傷になって動けないのかなと思いましたが、自分には『虐待は絶対にしていない』という思いがありました」と語ります。Gさんは高校に進学せず、自宅で療養を始めたころ、患者会代表になっていたSさんの新聞記事を見つけ、患者会に連絡を取って診断できる医師を紹介してもらいました。Mさんは「病名が分かって本当に良かったです」と打ち明けます。

日本では「ストレスを原因とする疲労の病気」として研究が進みました。病気の理解が進まない理由の一つは、血液検査や一般的な精密検査をしても異常が見つからない点にあり、しかもストレスや心因性要因で生じる重度の「うつ症状」と酷似していることなどから診断は難しく、研究している研究者や医師も少なく、専門的に診察している医師は全国に十数人しかいないとされています。神奈川県の内科医Jさんはその1人です。

J医師のもとには、診断された全国各地の患者から、身体障害者手帳を取得するために必要な医師の「意見書」を出してもらうための診察の依頼があります。J医師は、「身体障害者福祉法に基づく指定医の意見書に、障害の程度を検査に応じて記入するのですが、(この病気に理解のない指定医に依頼すると)病名を見ただけで、拒否されるケースが非常に多いんです」と語ります。「手帳の交付は本来、病名で判断するのではなく、障害の程度によって認定するのですが、指定医であってもこの病気にはめったに出会いません。どう検査したらいいのか知識がなく、初めて診る疾病だから記入にとても時間が掛かります」

この病気に対する理解の乏しさは、「障害年金」にも及んでいます。栃木県宇都宮市のAさんは、6年前に発症。病気になる前は派遣社員として働いていましたが、今は無職です。AさんはJ医師に意見書を書いてもらい、「身体障害者手帳」の交付を受け、毎月約2万円の「重度心身障害者手当」を得ていますが、収入はそれだけです。国民年金法などの規定によると、障害年金の申請では、その疾病と因果関係があると考えられる最初の診察日を「初診日」とする決まりです。Aさんの場合は6年前、仕事中に倒れて病院に行った日から今の症状は続いているため、普通に考えれば、6年前のその日が「初診日」ですが、日本年金機構はAさんの申請を「却下」しました。

このためAさんは、再申請の準備を始めました。自分の倒れた6年前を「初診日」として認めない行政の判断に、どうしても納得できないからです。患者団体などによると、Aさんのような「初診日」の認定問題によって、経済的に苦しむ患者は少なくありません。「再申請でもダメだったら、訴訟もしたい。裁判ができるのであれば、『初診日』について闘っていこうと思います」

この病気には、確立した治療法が現在もありません。国立精神・神経医療研究センターの神経研究所特任研究部長(神経内科が専門)の山村医師は、この病気の原因解明で先端的な研究を手掛けています。「慢性疲労症候群は単なる疲労の状態を示すものではなく、最近の研究では、脳の中で何らかの炎症が起きているということが分かってきました。それがさまざまな症状を引き起こしており、原因の根っこには免疫系の異常があると考えています。引き金はいろいろですが、特定のウイルス感染、あるいは咽頭や扁桃の炎症です」

山村医師によると、10年前には研究の手がかりさえなかったのに、「脳の炎症」と「免疫系の異常」という原因が分かってきたため、免疫系と脳の炎症の研究者が積極的に研究を進め始めており、今後は画期的な診断法や治療法が見つかる可能性があるといいます。「研究はとにかく始まりましたが、決定的なレベルのものが出ている段階ではありません。治験には時間が掛かります。私たちがその成果を手にして患者さんに届けられるのは5年先かもしれませんが、私の感覚では夜明け前です」

18.11.17NCNPの論文は様々なところで紹介

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)から発表された、‘Brain Abnormalities in Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome : Evaluation by Diffusional Kurtosis Imaging and Neurite Orientation Dispersion and Density Imaging‘と題する論文は、すでに様々なところで紹介されていますので、いくつかご紹介致します。

PubMed
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30430664

Wiley online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmri.26247?af=R

American ME and CFS Society
https://ammes.org/2018/11/16/brain-abnormalities-in-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome-evaluation-by-diffusional-kurtosis-imaging-and-neurite-orientation-dispersion-and-density-imaging/#

Science for ME
https://www.s4me.info/threads/brain-abnormalities-in-me-evaln-by-diffusional-kurtosis-imaging-neurite-orientn-dispersn-density-imaging.6733/