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21.2.13ME/CFS患者の困難さを描く本出版

2月22日の出版に先立ち、「診断の社会学~『係争中の病』を患うということ」(慶応大学出版会)と題する本を、著者である大阪大学大学院人間科学研究科助教の野島那津子さんに謹呈して頂きましたのでご紹介致します。野島さんには2013年~14年くらいにかけて、会員の患者さんをご紹介させて頂きました。

本の「帯」には、「『そんな病気はありません』 痛みや苦しみを患いながらも、医療者によって『疾患』を診断されず、あるいは診断を受けても、他者から『病い』を認められない。そんな『病い』を生きる人びとの生の困難と希望を描く」と書かれています。

表紙の裏には、「本書では、『痙攣性発声障害』『筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群』『線維筋痛症』という3つの『論争中の病』を取り上げ、50名弱の患者への聞き取り調査などから、当事者が抱える深刻な困難や社会的経験の分析を行う。ここでいう『論争中の病』とは、生物医学的エビデンスを欠いているために、病気の実在性に疑義が呈され、患いの正統化をめぐって医療専門家と患者、医療専門家同士、あるいは患者をめぐる周囲の人びとや世論も加わって『論争』が生じている病を指す。

患いに名前を与えられず、名前を与えられるだけでは必ずしも苦しみを緩和されない『論争中の病』を患う人びとが、この社会で直面する困難や医療に対する希望を、私たちはどのように理解することができるのか。当事者へのインタビュー調査から、彼らが抱える困難や病名診断が当事者に与える影響を明らかにする」と書かれています。

序章には、「患っているにもかかわらず、その状態に対して適切な診断が下されなければ、病むこと――病人であろうとすること――をしばしば容易には許されない私たちの社会において、診断はきわめて重要な出来事でありプロセスである。・・・・この国ないし社会において彼ら(患者)がどのような困難を抱えているか、また、診断をめぐる問題とは何であるのか、その実態が十分に明らかにされているとはいえない。・・・本書は、論争中の病の病名診断が当事者に与える影響を、病気や病人をめぐる既存の社会学的議論や時間的・対他的変動も考慮しながら分析することで、論争中の病を患う人びとの困難および診断の経験を、より多面的に描きだすことを目指すものである」と書かれています。

第4章「何もできることはないけど愚痴なら聞きに来ます」、第5章「そんな病気はありません」で、具体的にME/CFS患者の実例が取り上げられています。

 

21.2.10日経メディカルに“隠れ後遺症患者”

2月10日の日経メディカルに、「“隠れ後遺症患者”をどう救う?~COVID-19と診断されていない患者にも出る後遺症」と題する記事が掲載されました。

COVID-19から回復した患者が倦怠感や睡眠障害を訴えても見逃されていることが問題視されています。これが、COVID-19と診断されていない患者にも広がっている可能性を、筋痛性脳脊髄炎の会の篠原代表は、「現在のままでは、無症状、軽症でPCR検査を受けていないCOVID-19患者が後遺症を発症した場合に救われない」と指摘します。

筋痛性脳脊髄炎の会では、2020年5月~8月末にかけて、COVID-19罹患後の体調不良に関するアンケートを実施。回答者326人のうち、40.5%が「仕事(学校)に戻ることができない」と回答したといいます。実はこの326人の中で。PCR検査陽性者は27人、陰性者が82人、未検査者が217人でした。

未検査者で、自己都合で検査を受けなかったのはわずか4人。残りは「熱が37.5度以下」「保健所に拒否」「渡航歴がなく濃厚接触者でない」「医師による判断」「CT・レントゲン・血液検査で異常なし」「肺炎症状なし」など、望んでいても検査が行われていませんでした。また、陰性者も、症状が出てからPCR検査を受けるまでに2カ月以上経過しているケースが23人おり、陰性だったからといって感染を否定できたわけではありません。

アンケートに回答したCOVID-19感染者の多くは2020年春、まだ国内で検査体制が整っていなかった時点で感染したと考えられます。また、厚生労働省が2021年2月5日に公表した2020年12月時点の5都府県の抗体検査の結果は、報告されている感染者数の1.6~3.6倍に相当することを考えれば、診断されないまま軽快したCOVID-19患者は相当数いることは想像に難くありません。

「COVID-19と診断されていない人は、治療の面でも精神的な面でもより困難な状況に追いやられていると言える。『倦怠感があって会社を辞めました』という人は救われない」と篠原氏。特に現在、呼吸器内科医や耳鼻咽喉科医を中心に後遺症に関する調査が行われているため、「ME/CFS様の症状はきちんと拾われないのではないかと危惧している」。「COVID-19と診断されなかったがCOVID-19による後遺症に苦しむ患者」をどのように拾い上げてフォローしていくか、今後の課題となりそうです。

 

2021.1.28AERAdot.にCOVID-19後のME/CFS

1月28日付のAERAdot.に、「40代男性の告白『自殺を考えた』 ”コロナ後遺症”に悩む患者の深刻な現実」と題する記事が掲載されました。

東海地方に住むYさん(40代)は、2020年4月に感染して数週間後に退院しましたが、体調は改善せず、体全体が不快感と倦怠感に覆われ、「感染前の生活を送れない」と話します。患者団体の「筋痛性脳脊髄炎の会」によるアンケートでは、約4割の人が「仕事(学校)に戻ることができない」と回答。同法人理事長は「当時、PCRを受けられずに後遺症を発症している人たちは、行政の補填から落とされてしまうのでは」と訴えます。

Yさんは重症化せず、3週間ほどで退院。退院後、担当医から「1カ月ほど安静にして、外出を控えるように」と指示を受けましたが、自身の症状に不安を抱き、2カ月の自粛生活を続けました。しかし、自粛を終えた後も感染前の生活スタイルが戻ることはありませんでした。「肌の痛みと体全体に走る激痛、37度前後の微熱、鉛を付けられているかのような体のダルさ、睡眠障害。憶障害もあり物事をパッと思い出すことができず、考え事をしても頭の中が真っ白です。」

入院時の担当医を受診してもメンタルクリニックへの受診を勧められ、そこでうつ予防の薬をもらいましたが、その薬を飲んだ後、Yさんは救急車で病院に運ばれてしまいました。症状に危機感を覚えたYさんは、インターネットで症状を調べ続け、ME/CFSにたどり着きました。

Yさんは10月にMEと診断を受けました。「動くと息苦しさと疲れ、皮膚のヒリヒリが続きます。3日間寝られない時もあり、ちょっと無理をすると、一日の最後にダメージがきます。自殺を何回も考えました。」寺の住職や地域の自治会長として多忙な毎日をおくっていたYさんは、「感染前は毎日朝早くから夜遅くまで仕事し、犬の散歩や体力作りのための筋トレが日課でしたが、いまは一切できません。少しでも体に負担がかかることをすると、その疲れと息苦しさ、皮膚の痛みが襲ってきます。」

実はこのME/CFSは、新型コロナウイルスが原因で発症する可能性があると言われ、アメリカやヨーロッパでは流行当初から注意喚起がなされている難病です。国立精神・神経医療研究センターの山村隆医師はME/CFSについて、こう説明します。

「新型コロナはME/CFSを引き起こす可能性があります。極度の体力消耗といった身体的負荷、作業後の消耗、認知機能障害、過眠や不眠といった睡眠障害など、いくつもの症状が同時に発生します。これが6カ月以上続くと、ME/CFSの可能性が高い。中には歯ブラシを持てない人、髪の毛を3カ月間洗えない人もいました。症状の一番のポイントは、”集中力や思考力の低下”といった認知機能障害です。本を読んでも集中して読めない。2~3行読んだら疲れて、読んだ内容を忘れてしまう。学校へ行っても教科書を読めず、仕事をされている方は書類をきちんと読めない。」

「ME/CFSにかかると脳(中枢神経系)に異常をきたします。認知、言語、ワーキングメモリーで重要な役割を果たす右上縦束という大切な部分に異常が出ることはわかっています。ME/CFSが起こる原因は、まだよくわかりませんが、体内から排出されていないウイルスに免疫系が過剰に反応して暴走し、脳の中で炎症反応を起こし、症状が起きているのではないでしょうか。ME/CFSは発症前の日常生活に戻ることができない病気ですが、周囲の人には患者さんの訴えが理解できず、怠けているのではないかと言われることすらあります。また、病院で受ける血液や脳の検査では異常が出にくく、患者さんによって症状の組み合わせが異なったりするため、医師も診断がしにくいのが現状でしょう。ME/CFSに詳しい医師の数も日本では少ないのも問題点のひとつです。」

患者団体の「筋痛性脳脊髄炎の会」は昨年、COVID-19後の体調不良(後遺症)が続いている人がME/CFSを発症する可能性を調べるため、インターネット調査を実施し、326人から有効回答数を得ました。検査数抑制のためにPCR検査を受けられなかった人や陰性となった人も調査対象としました。調査では、40.5%が「仕事(学校)に戻ることができない」、11.3%が「身の回りのことができない」、12.6%が「寝たきりに近い」、3.7%が「基本的動作(飲み込みや歩くなど)を学習する必要がある」と答えました。その後、専門医の診察や検査を経て、5人(陽性1人、未検査4人)がME/CFSの確定診断を受けました。また、ME/CFSの症状を呈した人は全体の27.9%で、陽性患者全体の22.2%、陰性患者全体の31.7%で、未検査患者全体の27.2%という結果でした。

同団体理事長は、調査結果についてこう話します。「日本においても、新型コロナ感染後にME/CFSを発症した人が確認され、多くの人がこれまでの生活を送れなくなった実態が浮かび上がってきたのです。私たちが一番心配をしているのは、20年1月から5月あたりのPCR検査が抑制されていた時期に、PCR検査を受けられなかった人たちが後遺症に苦しんでいることです。新型コロナに感染してもPCR検査すら受けられなかった方たちは、治療の面でも精神的な面でも、より困難な状況に追いやられています。こうした問題を解決するためには、PCR検査を希望する全ての人が検査を受けられるよう、今からでも検査体制の拡充が大切ではないでしょうか。」

 

21.1.29MDPIにME/CFSのプロテオームの論文

1月29付のMDPI(スイスの出版社)に、「ME/CFSの血漿プロテオームの詳細な解析によりeph/エフリンシグナル伝達と免疫系シグナル伝達が中断していることを暴露」と題する論文発表されました。論文の最終著者はコーネル大学分子生物学&遺伝学部のモリーン・ハンソン教授です。

要約
ME/CFSにおける分子の中断に関する洞察を得るために、我々はアブタマ―(特定の分子と特異的に結合する核酸分子やペプチド)を基礎とする科学技術を用いた。それは、4790個の特有のヒト・タンパク質を数量化するもので、9ログ・ダイナミック・レンジにおいて非常に豊富な蛋白質及び稀な蛋白質を検出し、ME/CFSでは今までで最大のプロテオミクスのデータセットを得ることを可能にした。全員女性の、20人のME/CFS患者と20人の対象群のパイロット・スタディについて報告する。患者と対象群の間に見られる、19個の蛋白質のレベルの有意な差は、細胞外マトリックス、免疫系、細胞間のコミュニケーションに関する経路を暗示する。

経路の出力とクラスター分析は、エフリン経路を強く強調している。それは、軸索ガイダンス、血管形成、上皮細胞の移動、免疫応答を含む、細胞間のシグナル伝達や広範囲の様々は生物学的プロセスの調整に関与している。ROC曲線(受信者動作特性曲線)解析は、ME/CFS患者と対象群の血漿プロテオームを高精度で区別し、蛋白比を用いるとさらに高精度で区別する。そこには、実証された生物学的妥当性のあるいくつかの蛋白質ペアが含まれている。我々の研究結果は、ME/CFSの診断と分子的基盤を解読するために、血漿プロテオームが有望であることを示している。

結論
この予備的研究において、我々のコホートは小規模であったが、対象群に比べて患者群において著しく相違する、あるいは強く影響を受けるレベルで、蛋白質を検出することができた。ME/CFS患者と対象群間において個別の分類指標0.85以上で9つの蛋白質、及び分類指標0.92以上の9つの蛋白比を同定した。実際、ME/CFSの診断検査は、疲労や体調不良を訴えていない患者には用いられないだろう。これらの蛋白質の差異は、うつ病、癌、慢性ライム病などのME/CFSと混同される可能性のある疲労性疾患に対して検査される必要がある。疲労や体調不良を呈していない個人を除外することで、感受性や特殊性がどのように影響を受けるのかを確定するために、こうした研究が必要である。

概括すると、これらの望みを与える結果は、分子的基盤がまだ不明瞭である疾患を調査する上での、大規模研究の力を示している。

 

21.2.4日経メディカルに「ポスコロ症候群」

2月4日の日経メディカルに、「今こそ医療機関も『ポスコロ症候群』に対応する準備を」(國松淳和先生:南多摩病院総合内科・膠原病内科)と題する記事が掲載されました。

厚生労働省が示している「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第4.1版 」では、退院時(隔離解除時)に症状が完璧に無くなっていることを前提にしておらず、「コロナウイルスが体から排出して他人へうつるリスクはないが、当人に症状がまだ続いている」という状況です。

COVID-19の後遺症は下記の4つの病態が複合的に絡み合った病態とされています。
(1) 肺、心臓への恒久的障害
(2) 集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)
(3) ウイルス後疲労症候群(post-viral fatigue syndrome)
(4) 持続するCOVID-19の症状

 (3)、(4)に相当するか、これに近い人たちが今後増え、それらの症状にうまく対処されないままでいることを懸念しています。例えば、実際にCOVID-19にかかり、「『もう大丈夫』と病院や保健所からは言われたけどまだ症状があるし心配だ」という人。その心配を、近所の人や知人、職場や学校などに言うことができずにいる人。またその心配を聞かされた身内・家族、あるいは友人。COVID-19にかかったことが近所・地域の人や周囲の人や遠い親戚などに無用に知れ渡り、しかもその人らに合理的な根拠のない偏見の言葉を言われたり、感染源のような扱いを受けたりした人。おおむね日常生活は普通に送れるけれど、微妙に嗅覚が戻らなかったり、気落ちしたりしてしまい、日々の生活がいまだにさえない人。

“post COVID-19”(ポスコロと略す)の症状について、米国感染症学会が提供する情報サイトでは、「重症ではなかったが症状はあったCOVID-19にかかった後の、一連の諸症状」となると思います。日々、診療する中でポスコロ症候群にはいくつかのパターンがあると感じており、以下に、そのパターンと対応方法について記します。

(1)かぜ症状が続く人
 これは、咳、咽頭痛、たん、鼻水・鼻づまりといった症状がじとっと続いている感じです。その場合、対症療法を行います。行う対症療法は普通のものです。特にCOVID-19だから特殊な対処があるわけではありません。

(2)味覚・嗅覚が低下している人
 回復のスピードが非常にまちまちです。個人的には、あまりまだ特効薬的な治療法を見いだせていません。現時点では嗅覚について、神経性嗅覚障害に対して漢方薬を投与して有効だったという知見を応用して、当帰芍薬散や加味帰脾湯などを試してみてはいます。

(3)気道過敏・アレルギーのような症状が残る人
 これは咳がずっと続いている人のイメージです。基本、咳の患者さんには胸のレントゲンはとります。アレルギーを抑える治療も考えると思います。

(4)咳反射亢進状態
 この診断・治療は普通は難しく、疑った際には呼吸器内科専門医への紹介が必要になるかもしれません。私が治療する際はプレガバリンを処方し、咳の反射が過敏になってしまっているのを抑える治療を試みています。

(5)微熱・体力低下・意欲減退・疲労感
1人ひとり、症状や困っている内容が異なるため、これらに対する画一的な治療はありません。この(5)については、つらい症状や、その人が同時に持っている病気(例えば片頭痛、便秘症、不眠症、過敏性腸症候群、月経困難症、頸椎症、過活動膀胱など、他なんでも)の全てにまず取り組むようにしています。

COVID-19に感染した人たちは、命に別条なく隔離期間を終えても、さまざまな苦痛を内に秘めて暮らしています。その苦痛の内訳が「症状」であるならば、医療機関の出番だと思っています。命に別条のない軽微な不快症状、あるいは呼吸・循環や神経などの重要システムには影響のない後遺症も、社会不安と相まって増幅しコロナ感染者に“感染症以上の”影響を及ぼしかねないです。皆で力を合わせたいところです。

 

21.1.8Next AvenueにCOVID-19とME/CFS

1月8日付のNext Avenue(米国のデジタルプラットフォーム)に、「COVID-19から回復した多くに、他の破壊的な症候群が続く可能性がある~ME/CFSが増加している」と題する記事が掲載されました。

48歳のリサ・シャンクス氏は、新型コロナウイルスのために入院することはありませんでしたが、発症して9ヶ月たち、ME/CFSと診断されました。「長期に及ぶCOVID感染後の症状を経験している人々は、すでに驚くほど多いことを考えると、5%のみが最終的にME/CFSの診断を受けるようになるとしても、多くの人々やその家族、介護をする人に非常に大きな影響を与えるでしょう」と、ソルトレイクシティの研究と治療のNPO団体ベートマン・ホーン・センターのイェルマン博士は語ります。

実際、ウイルス感染は軽症だった人を含む多くのCOVID-19患者が、体を衰弱させるME/CFSの症状を経験しています。米国アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士が2020年7月に、多くの人がME/CFSに不気味なほどよく似たウイルス感染後疾患を発症するだろうと推測したことが、これによって裏付けられました。

ME/CFSの診断・治療・予防について熱心に研究しているオープン・メディスン・ファンデーションは、SARS、EBウイルス、ウエストナイルウイルスのようなウイルスに罹患した11~50%が、ME/CFSを引き起こしたと語っています。COVID-19は、2003年のSARSの集団感染の原因となったウイルスと同様にコロナウイルスですので、医療の専門家達は近い将来に多くの新しいME/CFS患者が増えることを懸念しています。

COVID-19のようなウイルス性疾患が慢性的に体を衰弱させる病気にどうやって移行するのかは、まだ十分に理解されていません。発症している間はサイトカインと呼ばれる炎症マーカーが大量に産生され、過活動状態のままになり、これらの物質の雨を持続的に血流に注ぎ込みます。ウイルスが根絶されたとしても、このサイトカインストームによって、抗体が体を攻撃し、ME/CFSのいくつかの症状を引き起こす過度な自己免疫反応をもたらします。

「感染や傷害が治癒した後には『病気の反応』が遮断されますが、ME/CFSの発症は、このプロセスの障害を示している可能性があると、多くは考えています」とイェルマン博士は語ります。「この障害されたプロセスが解消されなければ、慢性的な変化や、代謝・免疫・神経経路に機能障害をもたらします。」

段階的運動療法は、ME/CFS患者にとって有害なことが分かっています。ME患者・介護者・家族の国際団体である#MEActionの編集者であるアドリアン・ティルマン氏は、「この病気の患者は、自身の引き金や限界を尊重することを身に付けるために、ペースの調整を学ぶ必要があります」と語ります。「ほんの少しでも無理だと感じたら中止して、休むことです。ペースの調整は、症状を著しく悪化させうる「無理してクラッシュする(倒れ込む)」サイクルを避けることに役立ちます。」

現在、ME/CFSのための臨床検査や画像検査はなく、診断を困難にしています。パンデミックの初期にCOVID-19の検査を受けられなかった多くの人にとっては、COVID-19に罹ったこと、そして長引く症状がウイルス感染後ME/CFSを反映している可能性があることを医学的に立証するのが難しいことが多いです。正式な診断がないと、適切な医療的ケアや傷害給付金を受給することが困難である可能性があります。

一般に認められた治療法はありませんが、時間の経過と共に症状が改善する方もいます。ペースの調整、十分な休養、体調を回復させる睡眠、健康的な食事は重要です。症状を緩和させうる薬もあります。

COVID-19の危機は、ウイルス性疾患後になぜME/CFSへ移行する人がいる一方で、無傷で回復する人がいるのか、また予防戦略や治療法を開発する可能性を研究する良い機会を提供していると、専門家達は語っています。米国政府は「長引くCOVID」の研究のために、国立衛生研究所(NIH)に、11億5000万ドルの研究費を承認しました。オープン・メディスン・ファウンデーションとthe Solve ME/CFS initiativeは、ME/CFSの病因と経過をより理解するために、COVID-19後の患者を研究しているところです。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます

 

21.1.29長崎新聞にオンライン上映会の記事

1月29日付の長崎新聞に、「筋痛性脳脊髄炎に理解を~実態迫るドキュメンタリー 2月28日オンライン上映会」と題して、2月28日のオンライン上映会やの国会請願活動について書いて頂きました。

難病とされるME/CFSの実態に迫ったドキュメンタリー映画「この手に希望を~ME/CFSの真実~」オンライン上映会が、2月28日に開かれます。上映会を支援している諫早市のNPO法人有明支縁会が、医療従事者や市民の参加を呼び掛けています。

「ME/CFS」はウイルスの感染後に発症し、免疫障害や神経機能障害などを伴う原因不明の難病で、治療法が確立されていません。「ME/CFS」を含むウイルス感染後疲労症候群が、新型コロナウイルス後遺症の一つに含まれるとした英国の研究機関報告があり、新型コロナとの関連性が注目されているといいます。

映画はNPO法人筋痛性脳脊髄炎の会が製作し、同会理事長が新型コロナ後遺症アンケート結果をテーマに語ります。先着50人。申し込みは2月20日まで。

筋痛性脳脊髄炎の会は、新型コロナ感染後における「ME/CFS」発症の実態調査を求める請願書を国会に提出するため、署名を募っています。

 

21.1.28COVID-19とMEの研究を求める動画

COVID-19後にME/CFSを発症する可能性を知って頂くと同時に、COVID-19とME/CFSに焦点を絞った研究の促進を求めるために、当会では動画を制作致しました。多くの方に広めて頂けますよう、皆様のご協力をお願い致します。

 
当会ではCOVID-19後にME/CFSを発症したかもしれない方のために、情報提供しております。当会HPの「後遺症が続いている方へ」をご覧下さい。コロナ後遺症についての国内外の最新情報は「COVIDとME」をご覧下さい。

また2021年の通常国会に提出するための、請願署名活動も行っております。感染に十分気を付けて、無理のない範囲でご協力をお願い致します。

21.1.25HPに「後遺症が続いている方へ」を追加

当会のHPのナビゲーションメニュー「COVIDとME」の中に、サブメニュー「COVID-19後遺症が続いている方へ」を追加しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後にME/CFSを発症したかもしれないと思った方に、情報提供するためです。

下記の5つの項目に分けて紹介しています。
・国内外のCOVID-19の後遺症の報告
・国内外の市民によるCOVID-19後遺症の調査
・COVID-19後にME/CFSを発症する可能性
・COVID-19後にME/CFSを発症した方へ
・COVID-19とME/CFSの研究を促進するための取り組み

もっと詳しい情報をお知りになりたい方は、「COVIDとME」をご覧下さい。当法人では2020年3月頃より、海外のメディアや患者団体がCOVID-19後にME/CFSを発症する可能性について警告を始めたころより、非常に多くの情報を提供してきました。

また、COVID-19とME/CFSに焦点を絞った研究を開始して頂くために、厚労省に対して働きかけを行ってきました。現在、通常国会に国会請願をあげるために署名活動をしておりますので、ご協力をお願い致します。

 

21.1.14MedscapeにCOVID-19とME/CFS

1月14日付のMedscapeに、「慢性疲労を嘲るスティグマ(汚名・烙印)のように長引くCOVID患者が増えている」と題する記事が掲載されました。

「COVID-19が長引いている人」の一人であるマーゴット・ゲージウィットヴィエ氏は、激しい疲労、ブレインフォグ、頭痛と闘い続けており、症状はもっとやろうと無理をすると悪化します。米国中のCOVID-19患者の10人に1人もが、最初の診断後に何週間も何か月も続く症状を報告しており、ほとんどすべての人がゲージウィットヴィエ氏のように神経系の問題を報告しています。

国立衛生研究所(NIH)の神経内科医であるアビンドラ・ナス先生は、こうしたCOVID-19が長引いている人々の経験を身近に感じますし、ME/CFSを思い起こします。ナス先生は長年、慢性疲労に関連する長引く神経系の問題に関心を持っていました。ME/CFS患者の推定4分の3が、症状はウイルス感染後に始まったと報告し、和らぐことのない極度の消耗、脈拍や血圧の調整困難、痛み、ブレインフォグで苦しんでいます。ナス先生は初めて新型コロナウイルスについて読んだ時に、感染者の一部の人にウイルスが様々な症状を起こすことを心配し始め、ゲージウィットヴィエ氏のようなCOVID-19が長引いている人々の経験を聞くにつけ、ますますいぶかるようになりました。

イギリスの調査によると、COVID-19が長引いている人々と違い、ME/CFSの多くの患者が診断を受けるには少なくとも1年かかります。それは、研究者達には病気の初期段階を研究する機会がほとんどなかったことを意味します。「患者がずっと以前に起きた可能性のあるどんな感染にかかったにしろ、どうやってそれに感染し、何に感染したのか、初期においてどんな影響があったのかを、我々がME患者を診る時に知るすべはありません。我々は2年もたってから患者を診るのですから」とナス先生は語ります。

ゲージウィットヴィエ氏のような患者を研究することは、COVID-19の長期的転帰だけではなく、ME/CFSのごく初期の段階を含む他のウイルス感染後の症候群を理解するまたとない機会を医師や科学者に提供するだろうと、ナス先生はすぐに気が付きました。そこで、NIHにおいて急いで2つの研究に着手し、この現象を検討してきました。 

COVID-19が長引いている人々とME/CFS患者の類似点は明らかだと、ナス先生は語りますが、同じ現象であると推定することには注意を呼びかけます。長引いている人々の中には、回復がただもっとゆっくりである可能性の人もおり、表面的には似ているようにみえて、分子レベルではME/CFSと違う病気である可能性もあるからです。しかし、たとえナス先生がME/CFSとの関連を見出せなくとも、世界中に9250万人以上の記録されたCOVID-19患者がいるのですから、すぐに回復しない相当数の感染患者にとって、この研究は重症な意味をもつでしょう。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます。