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21.9.16CNNニュースに米国のコロナ後遺症研究

9月16日付のCNNニュースに、「米、コロナ後遺症の研究プロジェクト立ち上げ 3万~4万人対象」と題する記事が掲載されました。

米国立衛生研究所(NIH)は15日、新型コロナウイルス感染症の後遺症に関する4億7000万ドル(約510億円)規模の研究プロジェクトを開始すると発表しました。研究は3万~4万人を対象に行う方針で、デジタルデータを活用します。

NIHのフランシス・コリンズ所長は、「一部の人は新型コロナ感染症の長期的影響で生活が完全に混乱している」と述べ、今回の研究の目的は原因究明、後遺症発症の予防、患者の回復の支援にあると説明しました。プロジェクトには米国各地の30以上の組織の研究者が参加する予定で、新型コロナの急性期後に現れる症状を持つ患者が対象となります。コリンズ氏によると、NIHではこうした症状を「新型コロナウイルス急性期後の後遺症(PASC)」の名称を採用しているといいます。

長期症状は複数の臓器で発生し、よく見られるのは痛みや頭痛、「脳の霧」と呼ばれる疲労、息切れ、不安、抑うつ、発熱、慢性的なせき、睡眠障害など。これらの症状の原因は明らかになっておらず、今回の研究を通じて解明したい考えです。

21.9.24読売新聞にコロナ後遺症

9月24日付の読売新聞のyomiDr.に、「後遺症『ブレーンフォグ』に苦しむ人、感染半年後に脱毛した人…体だるくても『周囲は普通に接してくる』」と題する記事が掲載されました。

新型コロナウイルスの「第5波」の影響もあり、感染から回復した後も後遺症に悩む人が増えています。対応できる医療機関は限られており、専門外来を持つ大阪市内の病院には受診予約が殺到し、5か月先まで埋まる状況で、診察する医師は「もっと患者をサポートできる受け皿を作ってほしい」と訴えます。

大阪市北区の総合病院、北野病院は6月に後遺症外来を設け、約30人を診察してきました。呼吸器内科・感染症科の丸毛部長は「退院後のサポートが十分にできておらず、後遺症に悩む人たちを支えたいと思った」と語ります。

相談で最も多いのは「体がだるい」「何もする気が起きない」といった倦怠感の訴えです。息苦しさや嗅覚・味覚障害、頭の中に霧がかかった感じになり、深く長く考えることができない「ブレーンフォグ(脳の霧)」という症状に苦しむ人も目立ち、感染から約半年たって脱毛した人もいます。「体がだるいのに、周囲が普通に接してくるのがしんどい」と訴えた高校生もいます。

多様な症状に対応するため、治療は循環器内科や脳神経内科、皮膚科、神経精神科などと連携すしますが、MRIなどで検査しても、肺や脳などに異常が見つかることはほとんどなく、薬などで症状を和らげる対症療法が中心で、1年以上も症状が続く場合もあります。丸毛部長は「後遺症は『心の問題』と片付けられることもあるが、患者が安心できる環境を作るため、行政や学会がもっと支援に動いてほしい」と話します。

米国立衛生研究所(NIH)は今月、後遺症に関する総額約510億円規模の研究プロジェクトを始めると発表。感染者からスマートフォンのアプリなどを通じて健康データを収集し、後遺症のメカニズム解明や予防などに役立てます。

一方、国内での取り組みは遅れています。東京都は今春、都立・公社8病院に相談窓口を設置し、埼玉県は県医師会と連携して10月に7、8か所程度の医療機関に専門外来を設ける予定です。大阪府は7月から、後遺症に関する電話相談を受け付け始め、症状に応じて受診可能な約60の医療機関を紹介しています。7月に寄せられた相談でみると、働き盛りの30~50代が全体の59%を占めました。症状別(複数回答可)では倦怠感が63件で最も多く、次いで嗅覚障害53件、味覚障害44件でした。

21.9.27ME/CFSの会ニュースNo.44発行

2021年2回目のME/CFSの会ニュースNo.44を発行致しました。

8月に開催された国際ME/CFS学会学術大会での、国立精神・神経医療研究センター神経研究所の佐藤和貴郎先生や米国国立衛生研究所のアビンドラ・ナス先生の講演の報告、英国の患者団体のワクチンのアンケート、当会で実施した緊急アンケートの報告、当会主催で開催したイベントの報告、その他、国内外で取り上げられたCOVID-19の後遺症の最新情報など盛りだくさんです。掲載しきれなかったCOVID-19とMEの関連の情報は、HPの「COVIDとME」をご覧下さい。
       
ME/CFSの会ニュースNo.44を、医療・福祉関係者や国会・地方議員の方等の多くの方にご紹介いただければ幸いです。

・NCNPの佐藤先生が国際ME/CFS学会で講演
・NCNPで免疫異常の論文についての記者会見
・NCNPでのME/CFSの最新の研究の動画
・国際MECFS学会でのナス先生の講演
・国際ME/CFS学会の報告②ー感染症
・英国ME協会のワクチンのアンケート
・COVID-19後のME/CFS緊急アンケートの報告
・「ミヤネ屋」でCOVID-19後のME 
・スーパーJチャンネルでCOVID-19後のME
・朝日新聞にコロナ後のME/CFS
・産経新聞にコロナ後のME/CFS
・Care Netに厚労省の後遺症調査報告
・NCNP診療ニュースに新型コロナとME/CFS
・米国ME/CFS臨床医連合からの報道発表
・「すべての人の社会」の巻頭言執筆
・medRxivにドイツのCOVID-19とMEの論文
・NHKスペシャルでコロナ後遺症
・朝日新聞に世田谷区のコロナ後遺症調査
・ロイター通信に米国大統領の声明
・Care NetにCOVID-19患者の多様な自己抗体
・National Geographic子どもに多いコロナ後遺症
・AERAdot.に無症状者にもコロナ後遺症
・厚労省の複数課と交渉
・初めてオンライン上映会を開催しました
・初めてME/CFS啓発イベントを開催しました
・JD40周年記念連続講座で篠原理事長講演
・きょうされんの会議で篠原理事長講演

ME/CFSの会ニュースNo.44はこちらからご覧いただけます

21.11.21厚労省の後援でシンポジウムを開催

11月21日に、「COVID-19時代の神経免疫系難病:筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)~指定難病や患者の社会保障獲得に向けて~」と題して、シンポジウムを開催することをお知らせしました。

このシンポジウムは、厚生労働省、東京都、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター、公益社団法人東京都医師会、公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会、全国社会保険労務士会連合会、認定NPO法人日本障害者協議会から後援を頂き開催致します。

また、チラシは裏面も作成し、下記などを掲載しました。

【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とME/CFS】

・昨年7月に米国国立衛生研究所のファウチ博士がCOVID-19後に長引く症状はME/CFSに似ていると発言し、COVID-19後にME/CFSを発症する可能性が世界に知られるように。
・ME/CFSは世界中で集団発生を繰り返し、2003年のSARSの流行後、27%がME/CFSの診断基準を満たした例がある。
・これまでの科学的エビデンスを基にすると、COVID-19全感染者の約1割がME/CFSを発症すると推計され、日本でも10万人以上の新たなME/CFS患者が生まれる可能性がある。
・当法人が今年の通常国会に提出したCOVID-19とME/CFSの研究促進を求めた請願は、125名の超党派の国会議員に紹介議員になっていただき衆参両議院で採択された。

【当法人のCOVID-19後のME/CFSのWEBアンケート調査】

2020年にアンケート調査を実施し、同年10月までに5人(PCR検査陽性1名、未検査4名)の方が確定診断を受け、日本でもCOVID-19を契機にME/CFSを発症することを確認。
・上記の調査により、PCR検査を受けられなかった方や陰性だった方にも、COVID-19の後遺症が続いている方が多くいることが明らかになった。
・2021年にCOVID-19後にME/CFS様症状が続いている方を対象にアンケート調査を行い、約74%の方が「仕事(学校)に戻れない」、約33%の方が「身の回りのことができない」と回答。国に望むことで一番多かったのは、社会保障(74.5%)や治療薬開発(64.5%)であった。

シンポジウムのチラシはこちらからご覧いただけます

21.9.13差別解消法の団体ヒアリングで発言

障害者差別解消法の一部を改正する法律が今年5月に成立し、公布の日(令和3年6月4日)から起算して3年を超えない範囲内に施行されます。この改正法の施行に向け「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を改定するに当たり、内閣府の障害者政策委員会の場で関係団体からヒアリングがオンラインで実施されました。

28の障害者団体から3回にわたってヒアリングが行われ、13日前半は当法人の他に、全国肢体不自由児者父母の会連合会、全国重症心身障害児(者)を守る会、全国「精神病」者集団、全国脊髄損傷者連合会、全国手をつなぐ育成会連合会、日本弱視者ネットワーク、日本身体障害者団体連合会、日本てんかん協会、DPI日本会議が、3~5分ずつ意見を述べました。

当法人からは3つの点に絞って話しました。障害者差別解消法では、対象の障害者を「身体障害、知的障害、精神障害、その他の心身の機能の障害がある者」とし、難病に起因する障害を含むとしていますが、実際には障害者総合支援法の難病の対象規定により、多くの難治性疾患が除外され、合理的配慮を受けられません。障害者差別解消法の「基本方針」では、障害を理由とする不当な差別的取り扱いをしないとしており、政府・国会による法制度の見直しをふくめ、福祉サービスの対象を病名ではなく、生活の困難さに応じて支援する仕組みに変え、難治性疾患によって困窮する全ての人に必要な合理的配慮が提供されるよう、抜本的改革を行っていただきたい。

日本は国内人権機関を設置していません。筋痛性脳脊髄炎は、一部の医師が世界的な理解とは異なる情報を流すことによって、患者が合理的配慮を受けることを著しく困難にしています。憲法で表現の自由が認められているという理由で、これを阻止することができず、情報の間違いを証明することは患者だけでは不可能です。裁判に訴える方法もありますが、毎日の生活の基盤を失っている患者にはハードルが高すぎます。すべての障害者差別をなくし、障害者差別解消法に実効性をもたせるために、日本も障害者権利条約の選択議定書も批准すべきだと考えます。

新型コロナのパンデミックにより、多くの障害者が生まれています。筋痛性脳脊髄炎は世界中で集団発生を繰り返しており、今までの科学的エビデンスを基にすると、新型コロナの全感染者の約1割が筋痛性脳脊髄炎を発症すると推計され、日本でも10万人以上の新たな患者が生まれる可能性があります。コロナ後遺症は筋痛性脳脊髄炎だけではなく、全感染者の3割とも4割ともいわれ、その実態は分かっていません。米国ではバイデン大統領が今年7月に、後遺症に苦しむ人々が差別から守られるよう、米国の各省庁が連携すると語りました。日本においても、この新たな障害者が差別から守られ、合理的配慮が受けられるよう対策を協議すべきだと考えます。

その後、質疑応答が行われ、障害者政策委員長より「対象疾患になっていない場合、差別解消法の対象とはならないと解釈すべきなのか、差別解消法はもう少し幅広に障害を捉えてよいとの解釈に立つかは重要ではないか」とし、厚労省障害保健福祉部企画課と内閣府参事官の方に尋ねました。

企画課の方は回答を控えました。内閣府参事官の方は、「合理的配慮の対象については、定義に当てはまる方々について広く対象となるとお考えいただければと思います」と答えられました。委員長は、「差別解消法の対象の範囲は、今の定義と整合性があれば良く、総合支援法が提供するサービスとなるかならないかは独立に考えうると理解してよいと解することができると思います。そのことが基本方針の中で現状不明確であるとすれば、明確化していくことが必要だと思います」と答えられました。

当方は、「総合支援法の対象疾患になっていないと、福祉サービスを受けられず、実際には合理的配慮を受けられないというのが現実ですので、その矛盾は是非、解消していただきたい」と改めて発言しました。委員長は「合理的配慮は、今回から事業所にも提供を義務付けています。どのようにして合理的配慮を求めていくかという意思表明の問題など、貴重なご指摘をたくさんいただいておりますので、それは基本方針の中で考えていきたいと思います」と答えてくださいました。

当日の内閣府の障害者政策委員会はこちらからご覧いただけます
当日の各団体の意見はこちらからご覧いただけます

21.9.17朝日新聞にコロナ後のME/CFS③

9月15日から朝日新聞生活面の「患者を生きる」のコーナーで、「新型コロナ 強い疲労感」と題してコロナ後のME/CFSが取り上げられています。14日から4回の連載ですが、今回は17日の記事をご紹介します。

新型コロナウイルス感染症の後遺症について、厚生労働省の研究班等が実態把握を進めています。昨年9月以降に入院した512人に退院3ヶ月後の症状を調べた研究では、重症だった人では筋力低下が77%、息苦しさが50%、倦怠感が30%でした。別の研究班(246人)の診断後6ヵ月の調査では、疲労感・倦怠感が21%、息苦しさが13%、睡眠障害が11%、思考力・集中力の低下が11%でした。

米国国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は昨年7月の会見で、後遺症に悩む人の症状について「ME/CFSの患者にみられる症状に似ている」と話しました。

ME/CFSは、発熱やのどの痛み、嘔吐や下痢などの「風邪症状」を契機に発症することが多いため、ウイルスや細菌が関係していると考えられています。2003年のカナダや香港で流行したSARSでも、感染後のME/CFSが報告されています。厚労省は2014年度、ME/CFS患者が何をきっかけに発症したと考えられるかを調べ、105人の内、発熱と感染症がそれぞれ39人(重複あり)で最も多かったです。

国立精神・神経医療研究センターは今年4月、ME/CFS患者に共通する免疫異常を発見したと発表。発症のメカニズムの解明や診断法の確立などにつながると期待されています。

21.9.16朝日新聞にコロナ後のME/CFS②

9月15日から朝日新聞生活面の「患者を生きる」のコーナーで、「新型コロナ 強い疲労感」と題してコロナ後のME/CFSが取り上げられています。14日から4回の連載ですが、今回は16日の記事をご紹介します。

新型コロナウイルスに感染した後、体の強いだるさに悩まされていた40代の男性は、国立精神・神経医療研究センターの山村先生にME/CFSと診断されました。治療を始めて1ヶ月後の今年4月中旬、同様の症状がある患者で効果があったステロイドとリウマチの薬を併用する治療を始め、効果は明らかでした。

山村先生は「治療の方向性は見えた」と感じていましたが、治療が順調に進む中、男性は「クラッシュ」を起こしてしまいました。「クラッシュ」とは「労作後の消耗」のことで、症状が良くなったと思って無理をし過ぎると反動のように一気に症状が悪化することをいいます。治療の過程でよく起き、クラッシュの程度も、2,3日寝込む程度で済む場合もあれば、3カ月もトイレにも行かれない寝たきりの状態になる場合もあります。クラッシュを繰り返す人もいます。

男性は、日常生活での何げない行為や環境でのストレスの積み重ねでクラッシュしたと考えます。症状が再び悪化した男性は7月、約1週間入院し、新たな薬を加えるなどして治療しました。退院後は症状が3割ほど軽くなり、今後はこの治療を続ける予定です。

男性は自身の経験を踏まえ、「後遺症で本当に人生が変わってしまうことを知ってほしい。とにかく感染対策をしてほしい」と話します。

21.9.14朝日新聞にコロナ後のME/CFS

9月15日付の朝日新聞生活面の「患者を生きる」のコーナーで、「新型コロナ 強い疲労感」と題してコロナ後のME/CFSが取り上げられました。14日から4回の連載ですが、今回は14日と15日の記事をご紹介します。

関東地方の男性(40)が新型コロナウイルスに感染したのは昨年11月のことでした。息苦しさはありましたが肺炎はなく「軽症」で、7日目に退院しました。退院後は体のだるさがありましたが、自宅から3キロほど離れた実家まで自転車で往復したり、散歩で3キロほど歩いたり、少しずつですが、よくなっている実感がありました。

今年1月4日未明に突然、ひどい動悸と息苦しさに襲われ、発熱、吐き気、下痢、寒気、目の焦点も合わない状態で「死ぬかと思った」。夜が明けるころには症状は消えましたが、すぐに病院を受診しました。新型コロナへの再感染はなく、血液などの検査でも異常は見つからず、病院の記録には、「(新型コロナの)後遺症の疑い」と記されていました。

症状には波があり、だるさや息苦しさ、関節の痛み、高い音が耳に響いたり、光がまぶしかったり、様々な症状が出て、それらの症状がスイッチが切り替わるよう、あらわれたり治まったりを繰り返しました。2月中旬に症状が再び悪化し、「携帯電話すら重くて持ち上げられない」状態になり、実家に戻ることにしました。症状は徐々に悪化し、だるさや息苦しさ、下痢なとが一気に出て「体が壊れ、機能せず、死なない程度に生きている」感覚でした。

3月初め、友人が見つけた国立精神・神経医療研究センターのME/CFSに関する記事に書かれている症状の多くが、あてはまりました。3月17日に受診し、センターの山村隆特任研究部長から初めて「治しましょう」と言ってもらいました。

山村さんはコロナ感染の後遺症で男性と同じような症状に苦しむ複数の患者を診ていて、男性をME/CFSと診断しました。この病気は免疫が誤って自分を攻撃してしまう自己免疫疾患と考えられています。慎重に治療を始め、約1ヶ月後、同様の症状がある患者で効果があった薬の組み合わせで劇的な効果が見られました。男性は「完治できるのでは」と期待しましたが、落とし穴が待っていました。

21.8.20国際ME/CFS学会の報告②ー感染症

8月19日~21日に、国際ME/CFS学会主催の学術大会がオンラインで開催されました。第2回目の報告です。

米国カルフォルニア州のEV Med Researchのジョン・チア先生
「ME/CFS患者におけるCOVID-19感染-予備的調査」

ME/CFS患者におけるCOVID-19感染について考察しました。急性COVID-19感染後に、Long-Haul-COVIDとして今はよく知られる、長期間持続する体を衰弱させる症状が続きます。この研究では、COVID-19に感染した場合、既存のME/CFSがさらに悪化するかどうかを考察しました。26名のME/CFS患者が研究対象となりましたが、全員がエンテロウイルスにもかかっていました。事前のエンテロウイルスは、胃生検によって診断されました。

COVID-19に感染した患者を、3~6ヵ月間追跡調査をしました。15人は軽症でしたが、11人はインフルエンザ様症状、疲労、グレインフォグ等の症状が2~4週間続き、寝たきりでした。26人中14人は、急性感染後数ヵ月間、ME/CFS症状が悪化しました。その11人の内4人は入院しました。1人はS状結腸憩室炎の穿孔で、3人が肺炎で(承認適応症外使用のレムデシビルとステロイドの治療を受け)入院しました。後者の回復には最高で3カ月かかりました。

経過観察中に、13人の患者の末梢血の白血球からエンテロウイルス蛋白が検出されましたが、誰もCOVID-19の蛋白が持続してはいませんでした。

COVID-19感染は半数の患者のME/CFS症状を非常に悪化させ、4人が入院する原因となったと結論づけました。レムデシビルがME/CFS症状を著しく改善させましたので、さらなる研究が必要です。

米国イリノイ州シカゴ市のデポール大学教授のレオナード・ジェイソン博士
「経時的なCOVID-19の症状:Long-HaulerとME/CFSの比較」

コロナ以前のパンデミックにおいて、10~20%の人は回復しませんでした。ジェイソン博士はlong-haul COVID患者を経時的に調査し、ME/CFS患者と比較しました。278人のlong-haul COVIDのどの症状がどのように時間とともに変化したかを、別の慢性疾患であるME/CFSの502人の症状と比較しました。標準的な症状の質問票を使用し、COVID-19の症状のリストも含めました。時間が経過するにつれ、long-halulersは回復のなされない睡眠や労作後の消耗(体調不良)を含むほとんどの症状が、全体的に減りましたが、神経症状は悪化しました。

ME/CFSと比較すると、COVID-19患者は最初は免疫や起立性の領域の症状をより多く呈しました。ME/CFS患者は胃腸や神経認知領域の機能障害が強かったです。しかし、時間の経過と共に、起立性の領域以外では、long-halulersはME/CFS患者より有意に症状が軽くなったことが証明されました。long-halulersは、経過と共にいくつかの神経認知症状が悪化しましたが、他のほとんどの領域では改善していました。

異なる症状のパターンのこうした研究により、両方の疾患の病態生理の理解がより進む可能性があります。

米国カルフォルニア州のEV Med Researchのジョン・チア先生
「ME/CFSの発症機序には脳神経細胞へのエンテロウイルス感染、免疫の活性化と細胞死が関与している」

チア先生はME/CFSの発症機序と、脳神経細胞へのエンテロウイルス感染、免疫の活性化と細胞死との関連について考察しました。彼は、ME/CFSにエンテロウイルスが関与していると、長い間主張していました。1994年と2001年の研究、及び2004年の自分の患者の研究に言及しました。動物では、エンテロウイルスが脳神経細胞の持続感染の原因となります。

この研究では、6か所の異なった領域から脳のサンプルが採取されました。ウイルス性のカㇷ゚シド蛋白1が、異なった脳の領域の神経細胞において見つかり、小脳のプルキンエ細胞中が最も顕著でした。また、過剰な炎症性細胞やグリアの活性化がなくとも、脳神経細胞の慢性エンテロウイルス感染のエビデンスが見られました。

この研究は、ME/CFSにおける体を衰弱させる神経症状についての免疫病理学的な説明を提供します。

21.9.1NCNPニュースに新型コロナとME/CFS

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)より、「NCNP診療ニュース」2021年9月号が発刊され、その6ページに「新型コロナウイルスの後遺症とME/CFS」と題する記事が、山村隆先生の写真と共に掲載されています。

「新型コロナウイルスに罹患したあと、長期間にわたって日常生活に支障を来す患者さんがいらっしゃいます。一番多い症状は倦怠感や集中力の低下で、仕事や学業を続けられないなどの深刻な問題が起こっています。以前から筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CFS)という病気が知られていますが、ME/CFSでは疲労症状、睡眠障害、痛み、自律神経症状、光や音に対する過敏などの多彩な症状がみられます。ME/CFSはウイルス感染後に発症することが多く、新型コロナ感染でも、一部の患者さんがME/CFSを発症しているようです。ME/CFSは診断・治療の難しい病気ですが、脳画像検査や免疫検査(自律神経受容抗体検査、抗体遺伝子検査など)の結果から、神経と免疫に異常のある病であることが明らかになってきました。私たちは病態の解明や治療法の開発に向けて診療と研究を進めています。」

また、その下にはコロナ後遺症外来の案内も掲載されており、「当院の総合内科(脳神経内科専門医)の医師を中心にコロナ後遺症に悩む多くの患者さんやワクチン接種に関連する様々な身体的・精神的症状に対応していきます」としています。