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21.7.12「ミヤネ屋」でCOVID後のME/CFS

7月12日(月)に、日本テレビ「ミヤネ屋」で、新型コロナウイルス感染症の後遺症とME/CFSについて放送して頂けることになりました。国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部部長の山村隆先生が取材を受けられました。

番組名: ミヤネ屋」
放送日: 7月12日(月)13:50~15:50の番組の中で
     ※14:40以降の予定
テレビ局:日本テレビ

※大きな事件・事故が発生した場合には日程が変更になる可能性がありますので、ご承知おき下さい。

フェイスブック、twitter、ブログ等で、多くの方にお知らせ頂ければ幸いです。多くの方にご覧頂き、理解が広がることを願っていますので、皆さまのご協力をお願い致します。

21.6.16スーパーJチャンネルでCOVID-19後のME

6月16日にテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」で、「コロナ後遺症に関して国が初の実態調査」と題して放送されました。

新型コロナで重い後遺症が続くことを示す国の調査結果の中間報告が、今日初めて発表されました。比較的重い症状だった患者512人への調査で、退院から3か月後も筋力低下や息苦しさ倦怠感といった不調が、多くの人で続いていることがわかりました。また、退院3か月後の肺のCT画像には、半数以上の人に影や炎症性のある変化が見られました。

静岡市の40代の男性は、去年4月下旬に感染し入院、5月に退院しました。突然寒気に襲われたり肌の痛みが起きたりする症状に悩むようになり、対処法や病名もわからず、仕事にも支障が出るほどの状態です

「自宅の階段を上がったり下がったりするのにも息が切れ、すごく疲れるようになって。つらい時は一週間くらい起きることができなくて」と男性。つらい症状がずっと続くのではないかと、絶望感に襲われた時期もあったと明かします。異変が出てから数か月後、精密検査で「筋痛性脳脊髄炎」と診断されました。

国立精神・神経医療センターの山村隆医師は、「一般的な社会の認知度がまだ低いので、コロナ感染後、どのくらい筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)が広がっているのか、十分に分かっていないと言えると思います」と語ります。

21.7.2Geographicに子どもに多いコロナ後遺症

7月2日付のNational Geographicに、「実は子どもにも多い新型コロナ後遺症、今わかっていることは」と題する記事が掲載されました。サブタイトルは「日常生活に深刻な影響が出る例も、英国は対策を本格化」

米国ノースカロライナ州ダラスに住む11歳の少女ウェンズデイ・リンチさんは、競技チアリーディングに夢中だった2020年9月に、新型コロナウイルスに感染し、検査で陽性と判定されました。数週間後、医師からは、通常の活動を再開させてよいと言われましたが、もう10カ月もたつのに、ウェンズデイさんはまだ元の活動を再開できていません。

大人の場合と同様、子どもの新型コロナ後遺症は、感染して中等症以上になった場合だけでなく、軽症や無症状だった場合にも見られます。なお、新型コロナ後遺症は、小児多系統炎症性症候群(MIS-C)とは異なります。

ローマの研究者が、新型コロナ検査で陽性と判明してから30日以上経過した129人の子ども(平均年齢11歳)を追跡調査したところ、その半数以上に少なくとも1つの症状が残っており、120日以上経過した子どものうち14人(全体の1割以上)が、3つ以上の症状に悩まされていました。論文は4月9日付けで医学誌「Acta Paediatrica」に掲載されました。

オランダの研究者が調査を行い、57の病院で計89人の子どもに12週間以上続く新型コロナ後遺症が見られることがわかり、医学誌「Pediatric Pulmonology」に6月8日付けで論文が掲載されました。著者であるアムステルダム大学医療センターの小児呼吸器科医ブラッケル氏によると、36%で「強い倦怠感、集中力の低下、呼吸困難などにより、日常生活に深刻な制限を受ける」ほど重い症状が見られたといいます。

こうした問題を受け、英国の国民医療制度(NHS)は1億ポンド(約150億円)の予算を投じ、全国に子どものための治療センターを設立するほか、新型コロナ後遺症の治療について小児科医に研修を行うと発表しました。

詳細な研究も納得のいく答えもない中、後遺症に苦しむ子どもの親たちが、経験を共有するために連帯し始めています。英国ドーセット州のサミー・マクファーランドさんは、15歳の娘キティーさんの訴えを、診察室の全員から否定されました。座ったり食事をしたりするのもやっとにも関わらず、看護師から症状は不安から来るものなので「ロックダウンが終われば良くなる」と言われたといいます。

サミーさんは2020年10月末、フェイスブックに、新型コロナ後遺症に苦しむ子をもつ親どうしの交流グループ「Long Covid Kids」を立ち上げたところ、メンバーは3000人を超えましたた。5月には、このグループから米国のメンバーが独立して「Long Covid Kids USA」を立ち上げ、ウェンズデイさんの母のメリッサ・リンチさんが代表になりました。

英国の「Long Covid Kids」は、問題への注意喚起のため、匿名のオンラインアンケートを実施し、イタリアと英国の科学者がその結果を分析し、査読前論文を公開するサイト「Preprints.org」に3月9日付けで発表しました。論文によると、アンケートには症状が4週間以上続く子どもをもつ親が回答し、過半数の子どもが、感染してから数カ月後もまだ4つ以上の症状に悩まされており、半数の症例では、症状が消えたり再発したりを繰り返していました。510人の子どものうち、活動が以前の水準に戻ったのはわずか10%でした。

新型コロナ後遺症は「ほとんどの検査結果が正常なのです」と、米国マイアミにあるニクラウス小児病院のマルコス・メストレ最高医療責任者は話します。例えば、倦怠感、ブレインフォグ、めまいなどの一般的な症状は、血液検査や画像診断の結果には現れず、一部の医師が親たちの反応を「大げさ」と批判する理由の1つになっています。

新型コロナの後遺症が生じる理由は、専門家にもまだわかりません。子どもの新型コロナ後遺症の原因としくみを解明するため、米国立衛生研究所(NIH)は「CARING for Children with COVID」という新しい研究プロジェクトを開始すると3月に発表しました。研究の多くはMIS-Cの原因と治療法の解明を目的としていますが、小児科の専門家は、新型コロナ後遺症への洞察も得られるだろうと期待しています。

21.7.6AERAdot.に無症状者にもコロナ後遺症

7月6日付のAERAdot.に、「【コロナ後遺症】米200万人調査では無症状の2割、ノルウェーでは感染者6割に症状」と題する記事が掲載されました。 COVID-19の長引く後遺症「Long COVID」に関する国内外の調査で、無症状や軽症、若くても後遺症が起きることや、重症だった場合には肺機能の低下が長く続くことなどがわかってきました。

米国のNPO法人「フェア・ヘルス」は6月、米国内の新型コロナ感染者195万9982人の後遺症について解析した結果を発表しました。解析対象は昨年2~12月に診断された人で、入院が必要だったのは5%、入院は必要なかった人が39%、味覚や嗅覚の異常だけ起きた人が1%、症状のなかった人が55%でした。

全体の23%にあたる約45万人が、診断名のついた後遺症を体験しており、後遺症の発生頻度は症状が重かった人ほど高く、入院した感染者では約50%、入院の必要がない有症状の感染者では27%でした。一方、無症状の感染者でも19%に後遺症が発生していました。ただし、症状が味覚や嗅覚の異常のみだった人では、後遺症は報告されていませんでした。

最も多い後遺症は痛みで5.1%、つまり10万人近い人が神経痛や神経炎、筋肉痛などと診断されており、その後、多い順に、呼吸困難(3.5%)や高脂血症(3%)、疲労感(2.9%)、高血圧(2.4%)と続きます。

フェア・ヘルスは解析にあたり、新型コロナへの感染前に持病や慢性疾患、先天的な神経疾患などのあった人を除外しました。対象は、医療機関を受診するなど医療費の発生する対応をした人で、これだけ大勢が、コロナ後の健康問題で、医療的なケアが必要だったことになります。医療機関を受診するにいたらない人もいると考えられるため、実際には後遺症を体験した人はもっと多いかもしれません。

ノルウェーのベルゲン大学などの研究チームが6月に医学誌「ネイチャー・メディシン」に発表した論文によると、感染者の61%は診断から半年後にも何らかの症状がありました。これは、ベルゲン市で昨年2月末~4月初旬の間に新型コロナウイルス感染症と診断された人の8割以上にあたる312人について調べた結果です。

入院せずに自宅で療養した軽症や中等症、無症状の247人でも、55%は診断から半年後に後遺症がありました。15歳以下の子どもはほとんど後遺症がなかったものの、16~30歳の若者では52%に後遺症がありました。自宅療養した若者に多かった後遺症は味覚・嗅覚異常(28%)、疲労感(21%)、呼吸困難(13%)、集中力の低下(13%)、記憶力の低下(11%)でした。

研究チームは「入院治療の必要がなかった若者でも、症状が残っているのは心配だ。特に学生にこのような問題が生じれば、学業に支障が出る。若くても感染予防対策をしっかり行い、ワクチンを接種する必要がある」と警告しています。

21.6.26Care Netに持続するコロナ後遺症

6月26日付のCare Netに、「新型コロナ感染者の7割が症状持続:系統的レビュー」と題する記事が掲載されました。

米国・スタンフォード大学のTahmina Nasserie氏らは、新型コロナウイルス感染後の持続的な症状の頻度と多様性を調べた研究の系統的レビューを実施した結果、COVID-19の症状は感染急性期が過ぎても持続し、健康関連機能とQOLに影響を与え、少なくとも1つの持続的な症状を経験している患者の割合は72.5%でした。JAMA Network Open誌2021年5月26日号に掲載。

著者らは、2020年1月1日~2021年3月11日に公開されたSARS-CoV-2感染後の持続的な症状を調べた研究をPubMedとWeb of Scienceで検索しました。持続的な症状の定義は、診断/発症/入院後の少なくとも60日間、または急性疾患からの回復/退院後少なくとも30日間持続する症状としました。
・47研究で、84の臨床症状を報告した45報の研究について系統的レビューを実施。
・9,751例のうち男性が5,266例(54.0%)でした。
・頻度が高い症状は、息切れまたは呼吸困難、倦怠感または疲労感、睡眠障害または不眠症でした。

21.7.1Forbesに半年以上続くコロナ後遺症

7月1日付けのForbesに、「コロナ後遺症が『半年以上』続く 若年層の感染者で半数以上」と題する記事が掲載されました。

ノルウェーの研究チームが発表した最新研究で、新型コロナウイルスに感染したが入院するほどではなかった16歳から30歳までの若年層のなかに、感染から6カ月が経過しても後遺症が続く場合があることが明らかになりました。

「COVID-19で重症化した後に回復した患者には、さまざまな後遺症が出ており、Long COVID syndromeと呼ばれる後遺症の存在が提唱されていますが、後遺症の重篤さやその持続期間については明確にはなっていない」と、ノルウェーにあるベルゲン大学の研究チームは、6月23日付けの生物医学ジャーナル「Nature Medicine」で述べています。

研究では、ノルウェーの都市ベルゲン在住者で、コロナ第一波で感染した患者312人(自宅療養者は247人)について、感染から6カ月が経過しても続いている後遺症を調査しましたた。残りの65人は、軽症から中等症と診断を受け入院していました。

調査対象となった患者は、51%が女性で、年齢中央値は46歳、44%(312人中137人)は慢性肺疾患と喘息などの併存疾患がありました。入院患者は、自宅療養患者と比べて年齢が上で、BMIも高く、慢性心疾患や高血圧症、糖尿病などの併存疾患がありました。

312人のうちおよそ61%は、新型コロナウイルスに感染してから6カ月が過ぎても後遺症があり、倦怠感(37%)、集中力の低下(26%)、味覚障害と嗅覚障害の両方またはいずれか一方(25%)、記憶障害(24%)、息切れ(21%)でした。「症状の大半は、調査対象者の年齢が上がるのに伴って頻度が増え、味覚障害や嗅覚障害は、46歳以下の若年層に多く見られた」と研究チームは述べています。

自宅療養者247人のうち、感染から6カ月が経過しても後遺症があった人は55%(136人)にのぼり、倦怠感(30%)、続いて味覚障害と嗅覚障害の両方またはいずれか一方(27%)、集中力の低下(19%)、記憶障害(18%)、息切れ(15%)となっています。

調査対象者の「0歳から15歳まで」については、6カ月後まで続いた後遺症は見られませんでしたが、「16歳から30歳まで」の若年層のうち、52%にはこうした後遺症が見られました。味覚障害と嗅覚障害の両方またはいずれか一方が28%、倦怠感(21%)、息切れ(13%)、集中力の低下(13%)、記憶障害(11%)でした。

「入院しなかった若年層(16歳から30歳)の患者も重い後遺症に苦しむ可能性があり、感染してから半年が過ぎても、集中力や記憶力の低下、息切れや倦怠感が出る場合があり、そういった症状が出た場合、学習の妨げとなるかもしれない」と研究チームは述べています。

研究者たちは結論で、「新型コロナウイルス感染者に高い確率で、長引く倦怠感が見られることは顕著な特徴だ。インフルエンザや伝染性単核球症、デング熱などの一般的な感染症よりも高い割合で起きている」と述べています。

21.7.2Care Netに厚労省の後遺症調査報告

7月2日付のCare Netに、「COVID-19後遺障害に関する実態調査/厚生労働省」と題する記事が掲載されました。

6月16日の第39回「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」において、「COVID-19 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等」が報告されました。「中等症以上を対象としたCOVID-19の後遺障害」と「COVID-19の長期合併症の実態把握と病態理解解明」の中間報告と、「COVID-19による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明」の最終報告から構成されています。

「COVID-19後遺障害に関する実態調査」は、「中等症以上のCOVID-19の、とくに呼吸器関連における他覚・自覚症状の遷延(いわゆる後遺症)の実態とその予測因子を把握すること」を目的に、入院した967例を調査(中間報告の対象は512例)。退院3ヵ月後の肺CT画像所見では54%に何らかの所見があり、3ヵ月後に「筋力低下」「息苦しさ」「倦怠感」が顕著にみられ、「筋力低下」「息苦しさ」は重症度に依存するといいます。

「COVID-19長期合併症の実態把握と病態生理解明」は、PCR検査か抗原検査陽性で入院した522例を調査。疲労感・倦怠感、息苦しさ、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下、脱毛を退院時までに認めた患者の3割以上が、診断6ヵ月後でも認めました。前記の遷延する症状が1つでもあると、健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつなどの傾向は強まり、睡眠障害の傾向が強まる一方、診断6ヵ月後には約8割の対象者は罹患前の健康状態に戻ったと回答しています。

「嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明」は、病院入院中、ホテル療養中の無症状・軽症・中等症のCOVID-19患者(20~59歳)の参加希望者を調査。アンケート回答者の251例(内119例に嗅覚・味覚検査を実施)が対象。入院・療養中に「嗅覚・味覚障害あり」が37%、「嗅覚障害のみ」が20%、「味覚障害のみ」が4%、「嗅覚・味覚障害なし」が39%でした。1ヵ月後までの改善率は嗅覚障害が60%、味覚障害が84%であり、海外の報告とほぼ一致し、食事が楽しめなくなったことなどに嗅覚・味覚障害と強い相関を認めました。

21.6.28ME/CFSの会ニュースNo.43発行

2021年1回目のME/CFSの会ニュースNo,43を発行致しました。国立精神・神経医療研究センターからの論文発表、山村隆先生の講演、当法人の国会請願の採択、国内外で取り上げられたCOVID-19の後遺症の最新情報など盛りだくさんです。掲載しきれなかったCOVID-19とMEの関連の情報は、HPの「COVIDとME」をご覧下さい。
       
ME/CFSの会ニュースNo.43を、医療・福祉関係者や国会・地方議員の方等の多くの方にご紹介いただければ幸いです。

・NCNPから免疫バイオマーカーの論文発表
・啓発イベントでの山村先生の講演の概要
・ME/CFS国際啓発デーの動画制作
・科学新聞にバイオマーカー発見の記事
・東京・中日新聞にME/CFSの免疫異常発見
・衆参両議院で請願が採択されました!
・COVID-19とMEの研究を求める動画製作
・伊佐議員が衆議院厚労委員会で質問
・立憲民主党難病PTが総会開催
・立憲民主党難病PTが副大臣に要望書
・「NEWS23」でCOVID-19後のME
・日経サイエンス6月号にコロナ後遺症
・日経メディカルにコロナ後遺症
・日経メディカルにlong-COVIDとME/CFS」
・毎日新聞にCOVID-19後のME/CFS
・AERAdot.にCOVID-19後のME/CFS
・米国政府は「長引くCOVID」の研究に11.5億ドル
・ウイルス感染後疲労症候群とME/CFS
・NIHのCOVID-19患者の脳の研究
・medRxivに3762人のコロナ後遺症の調査
・Daily Mailにコロナ後遺症と運動療法
・MDPIにME/CFSのプロテオームの論文
・ME/CFS患者の困難さを描く本出版
・「慢性の痛みの勉強会」のヒアリング
・HPに「後遺症が続いている方へ」を追加

ME/CFSの会ニュースNo.43はこちらからご覧頂けます

21.5.9啓発イベントの山村隆先生の講演の概要

当法人では5月9日に筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の啓発デーイベントを開催し、国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部長の山村隆先生に、「感染後に発症する神経免疫系難病ME/CFS:COVID-19時代の医学常識」と題してご講演頂きました。講演の概要をご紹介致します。

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私は神経内科医であって免疫の専門家であり、多発性硬化症と視神経脊髄炎の研究をずっとやってきました。視神経脊髄炎の新しい治療法を開発し、2年前にNew England Journal of Medicineに論文を発表し、国内国外で使える薬剤として成長しております。

ME/CFS は近年、科学者のコミュニティーで注目されており、英国の科学雑誌「Nature」で紹介されました。最近では COVID-19の感染後にME/CFSを発症するのではないかと盛んに言われており、海外ではかなり確実なことになっていますし、日本でも多くの人が言っております。

アメリカの神経学会の雑誌「Neurology」に、NIHのナス先生が「Long-haul COVID(長引くCOVID)」に関して総説を出しています。COVID-19がなかなか治らない患者さんの中には自己免疫病的な変化が出ていて、それがME/CFSに似たような症状につながっているのではないかと言われ、脳神経内科でMEを研究するべきだと発言されています。NIHの感染症のトップのファウチ先生も、COVID-19の後にME/CFSのような病態を発症している方がかなりいるのではないかとコメントされ、世界的に理解が進み、私は時代が大きく変わりつつある、これは一つの転機だと思っております。

MEの患者さんの30%が寝たきりに近い状態、70%の患者さんが家事などの後に動けなくなります。私もこれまでに200人ぐらいの患者さんを診察室やZOOMで診療しました。現在80人ぐらいの方を継続して診ておりますが、私が診察室で拝見できる患者さんは、まだ軽い方、つまり病院に来る余力のある方です。

アメリカの疾病対策の司令塔「CDC」では、色々な教育プログラムを医師向けに発信しており、ME/CFSの診断などについて専門家がディスカッションしている動画を、誰でも見られるようになっています。日本では情報が十分伝わっていないことが大きな問題を産んでいると思います。ME/CFSの診断基準は色々ありますが、カナダの診断基準が圧倒的に良く、これを丁寧に使えば、かなりの精度で診断ができると思っています。

ME/CFSは、一般の病院でできる検査では異常が出ない病気ですが、専門的なセンターで詳しい解析をしますと異常が確認できます。これは生物学的な問題のある状態であって、新しい治療薬の開発の対象となる病気であることを、少しずつ皆が理解するようになっていると思います。

ME/CFSはWHOの国際疾病分類において神経系の疾患と分類されています。しかし、国内の神経内科医の多くがこの病気に対して無関心で、少し懐疑的なところがあります。それをどういう形で説得していくかが、大きな問題です。5年前に京都大学の高橋良輔教授(前日本神経学会代表理事)が理解を示し、「BRAIN and NERVE-神経研究の進歩」という雑誌で、この病気の特集を組んでくれました。この雑誌に取り上げられたということは、神経内科の病気として認められたということになり、これは大きな進歩であったと思います。

この病気の症状「ブレインフォグ」がかなり注目されています。集中力・処理能力低下、物忘れ、頭の中に霧がかかってくるような感じで、何も考えられなくなる。これはワーキングメモリーの問題ではないかと推測しております。実際、SPECTという脳血流検査をしますと、多くの患者さんではっきりとした異常(血流低下)が出てきます。このSPECTを時々やることによって病気が良くなったか悪くなったかが判断できると言われてきましたが、私も診療経験の中から、そのように感じています。

労作後の消耗で、数十メートル歩くだけで一週間寝たきりになったり、突然ガツンと悪くなる方がいらっしゃいます。それまで車椅子で移動できたのに、寝たきりになってしまい、アイマスクをして耳栓をして2週間も3週間も横たわるという状況になることが、この病気の1つの症状です。この症状を今までの学問ではよく理解できず、そこに研究の余地があると考えるドクターと、とても理解するのは無理と逃げ腰になるドクターとがおり、後者の方が多いことが問題です。

国立精神・神経医療研究センターで5年以上研究をしておりますが、2018年には MRIの拡散強調画像解析という方法で、通常の保険診療のMRIでは全然異常がない患者様20名を解析したところ、脳の構造の乱れがあることを確認し、発表しております。右の上縦束に異常があるという部分がポイントで、上縦束はワーキングメモリーと関連することが知られております。ワーキングメモリーとは、何か仕事をする時に必ずある程度メモリーの空いているところが必要な訳ですが、上縦束が冒されるとメモリーが不足して色々な作業ができなくなると言うことです。

昨年発表した論文では、自律神経の受容体に反応する抗体が、この病気の3割から4割の患者さんの血液の中で見つかり、その異常の程度と脳の異常の程度が関連しているということを報告しました。ここまで明らかになってきますと、この病気のことは相当わかってきたと言っても良いのではないかと、私は感じています。

私の視点からはME/CFSは自己免疫性の病気だと見えます。この病気は女性に多いことや、患者さんの病歴や家族歴に、SLEとか関節リウマチとか免疫の病気を持っている方がそれなりに多いこと、これも自己免疫性疾患の特徴です。それからCOVID-19を含め感染症の後に起こる、あるいは感染症に罹患した後にすごく悪くなるという状況がありますが、これも自己免疫性の疾患に多いパターンです。

米国のグループはこの病気の免疫異常をはっきりと証明しています。ドイツの研究グループはかなり先端的な研究をされています。その他、英語の論文がいくつも出ており、ME/CFSは自己免疫病であることを示す証拠があると、皆が言っています。自己免疫病には色々な病気があり、関節リウマチでは何種類も免疫をターゲットとする治療薬ができています。自己免疫病の治療薬開発は、他の病気に比べて専門家の経験の蓄積があるので、MEは自己免疫病であった方がはるかに対応が容易であり、しかも先が見える病気になってくると思っております。なお、カナダの診断基準でMEと診断がついた方は、ほとんどが免疫の異常をもった方だと思っています。

4月27日にNCNPで記者会見をし、ME/CFSの新しい免疫異常を見つけたと発表しました。論文は「Brain, Behavior, and Immunity」という雑誌に出しました。ME/CFSは、これまで病歴を聞いて診察して診断していましたが、血液ではっきりとMEを診断する異常が出たということがこの研究のポイントです。血液のB細胞を見るだけで、8割から9割以上の精度で診断ができることをこの研究で示しました。MEも客観的な診断ができる病気になり、疾患概念も明確になりますね。この成果をもとにさらに色々な所に働きかけて、この病気の患者さんの救済に役立てていただければと思います。詳しい論文の内容はプレスリリースをお読みください。

B細胞は抗体を作る細胞で、抗体はB細胞を離れて血液に出ていきます。それぞれ一個一個のB細胞が違う抗体を出すわけです。抗体はB細胞の標識で、まさしくバーコードみたいなものです。B細胞には本当に多くの種類(1兆個以上)がありますが、このバーコード(抗体の遺伝子配列)を調べれば、身体の中でどのB細胞が増えているのかがわかります。

このバーコードの中の特定の部分を見ますと、B細胞を100種類ぐらいに分類できます。その100種類くらいに分類した内の6種類のB細胞がME/CFSの患者さんで増加しており、この6種類のB細胞が増えているのか、あるいは減っているのかを評価すれば、ME/CFSの診断ができることがポイントです。特定のバーコードのバーに注目することによって、この病気の特徴を明らかにしたということです。

この業績は単にMEの診断に役に立つだけでなく、この病気の本質を示している可能性があります。少し難しくなりますが、特定のバーコードを持ったB細胞が増えるということは、特定のタンパク質の断片に反応するB細胞が増えているということになります。B細胞は、最初はウイルスのタンパク質断片に反応して増えるが、ウイルスがいなくなった後も、ウイルスと似た脳(中枢神経系)の成分に反応して増え続け、B細胞から作られた抗体が脳の成分に反応して、この病気になるではないかという可能性を仮説として提唱し、論文の中でもはっきり書きました。

論文に発表したデータにROC曲線というのがありますが、これは上にいけばいくほど診断の精度が高いというものです。私達は6種類のB細胞の遺伝子を調べることにより、9割方の確率でこの病気を診断できることになります。

治療のお話をします。「リツキシマブ」という悪性リンパ腫の治療薬はB細胞を殺すお薬で、そのお薬がMEに効くと、ノルウェーの先生達が論文に書いています。論文が2つ出ておりますが、治験の規模を大きくしたら良い結果が出ずに頓挫しています。しかし、薬を開発するにあたって、最初の段階で成功したけど、最後のstudyで失敗することはそんなに珍しいことではなく、やり方を改善すると成功することがあります。今後まだポテンシャルがあって、特定の患者さんにピタッと効くようなお薬である可能性があると思っており、先ほどのBCRレパトア解析などを活用していきたいと思っています。ドイツのグループは、免疫性神経疾患であるということを確信しており、免疫吸着療法をやって、論文を二つも出しています。残念ながら、日本の保険診療ではこの治療は受けられません。

MEの患者さんの大体50%は感染症の後に発症していますが、残りの50%の方の半分はやはり感染が関係していると思います。COVID-19に感染しても症状が出ない人があることは報道されており、感染症の既往が確認できないから感染症でないということは言えない訳で、全てが免疫異常に繋がる可能性を私は考えております。スタンフォードのLawrence Steinman教授は大変好意的なコメントを寄せてくれています。ME/CFSはこれまで集団発生をしています。ロス、ロンドン、ネバダ州、2003年のSARSと繰り返しており、ウイルス感染で起こる病気です。

最近の医学雑誌で、COVIDの感染に伴ってMEが出るのではという論文をまとめた特集号が出ています。日本では公的な研究で出てきておらず、神経・精神に関する専門家が入っていないことが問題ではないかと思っています。ベルリンの研究で 「COVID-19で半年以上の症状が続く人の半分はMEだ」ということが論文に出ております。私もコロナ後遺症の方を診ておりますが、MEと診断していいような方が何人もいらっしゃいまして、脳の血流の異常もあります。

ME/CFSは検査で異常が出ない病気と考えられてきましたが、今回血液のB細胞を調べることによって異常が確認できました。それは客観的な診断につながる成果であると思います。普通に病院に行って血液検査をして診断がつくような時代がやって来ると思います。しかし、この検査が全国に展開するまでには、まだ色々と努力が必要になります。科学的にデータを出していきますと、誰も抗えないことになりますので、科学的な研究が必要です。研究費が要りますし、研究体制を維持することが重要になりますので、皆様のご理解とご支援をいただきたいと思います。

注:B細胞の表面に突起のように出ているのが、B細胞抗原受容体(BCR)で、BCRは抗体分子と同じ構造をしています。B細胞が抗原に遭遇してBCRを介してその抗原を取り込むと同時に、同じ抗原をT細胞が認識して、T細胞とB細胞の相互作用が起こると、B細胞は抗体を活溌に作る細胞へと分化します。そこで、BCRと同じ構造の抗体が大量に産生されることになります。

※山村先生の講演の動画はこちらからご覧いただけます

21.5.9啓発イベントの山村先生の講演をYouTube

当法人では5月9日に筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の啓発デーイベントを開催し、国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部長の山村隆先生(神経内科医)に、「感染後に発症する神経免疫系難病ME/CFS:COVID-19時代の医学常識」と題してご講演頂きました。動画をアップ致しましたので、ご覧ください。

講演のまとめ
・血液のB細胞を調べることによって、客観的な診断が可能であることが確認された。
・客観的な検査に基づいてME/CFSを診療する時代がやってきた。
・科学的な手法で、この病気に対する誤解や偏見を克服する活動を推進する必要がある。
・国や社会全体の理解を得るための活動は重要で、継続する必要がある。

◎世界で最も信頼されているカナダの診断基準

◎2021年4月にNCNPから発表された血液検査でME/CFSを診断できることを示す論文

◎「Brain and Nerve」に掲載された山村隆先生の論文

◎「Brain and Nerve」に掲載されたハーバード大学のコマロフ先生の論文

◎「Brain and Nerve」に掲載された前日本神経学会代表理事の高橋良輔先生の論文

◎NPO法人筋痛性脳脊髄炎の会のHP「ME/CFSとは」

◎NPO法人筋痛性脳脊髄炎の会のHP「COVID-19の後遺症が続いている方へ

◎NPO法人筋痛性脳脊髄炎の会のHP「COVID-19とME/CFS関連の情報」