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20.9.25東京新聞に「コロナ後遺症」の研究

9月25日付の東京新聞に、「『後遺症かな?』続く不安~息切れ、抜け毛も…『いつまで』」と題する記事が掲載されました。COVID-19回復後も体調不良が続くことや、後遺障害の3つの研究が国内で進んでいることが取り上げられました。

新型コロナ感染症で入院した名古屋市の40代の男性会社員は、8月中旬に退院しましたが、感染前と比べて体調の変化に気付きました。胸が痛む日もあります。洗髪中に抜けた髪の毛を数えてみると300本ほど。「後遺症だろうか。」症状は日常生活に支障があるほどではないため、仕事に復帰しましたが、単に入院で体力が落ちたせいか、後遺症かは分からず、「いつまで続くのか」と人知れず不安が募ります。

ツイッターにも、この男性のように後遺症への心配や理解不足を嘆く声が寄せられています。新型コロナについては、医学的に長期間の影響がどう残るかは明らかになっておらず、後遺症の実態も調査、研究途上にあります。世界保健機関は8月、「呼吸器だけでなく心血管や末梢神経への後遺症を示唆する研究もあるほか、精神的な後遺症も報告されている」と指摘。各国に継続的な追跡と支援を求めています。

感染したことがない人でも。「経済不安や家族の感染などコロナ禍に関連するストレス」で抜け毛を訴える例があるといいます。厚労省の調査は来年3末までの予定で、感染から回復した2000人を対象に呼吸機能への影響を検査したり、自覚症状を尋ねます。

新型コロナウイルス感染症対策を厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の24日の会合で、厚労省の補助金を活用し、後遺障害の実態や原因についての研究3件が進められていると報告されました。年度内に一定の結果が出る予定です。横山彰仁・高知大教授のチームは回復後の呼吸苦などの実態調査を担当。福永興壱・慶応大教授のチームは後遺障害の持続する期間などを、三輪高喜・金沢医科大教授のチームは味覚や嗅覚障害を解明するための研究をしています。

アドバイザリーボード座長の脇田隆字国立感染症研究所長は会合後の記者会見で、「味覚や嗅覚が戻らないとか、呼吸困難が続く、また有症の方は筋力の低下がかなり進むなどの報告がある。しっかり研究する場が必要で、データを共有したい」と述べました。

20.9.9EMS WORLDにCOVID-19とME

9月9日付のEMS WORLD(救急医療分野の報道)に、「長びいている人々:COVID-19による障害者」と題する記事が掲載されました。

慢性疲労、労作時呼吸困難、心筋炎、凝固亢進障害、ブレインフォグ(脳に霧がかかったようで頭が働かない)、筋肉痛、知覚障害、睡眠パターン変容、精神障害、肺の瘢痕化、胃腸障害、COVIDつま先、脱毛。これらは、COVID-19から回復中の患者が闘っている、一握りの体を衰弱させる病状にすぎません。COVID-19のパンデミックの大半において、医学界は病人が何とか死なないように懸命な努力をしてきました。今は、ウイルス感染に続発して機能障害を抱えた生き残った患者を、助けるために努力する時です。

不思議なことに、こうした「長引いている人々」の多くは、若くて感染以前は健康だった人達であり、また病気の重症度によってどんな障害を患者が発症する可能性があるのかを強く示すことはないようです。この「長引いている人々」の中で、最もよく見られる長く続く症状は、体を衰弱させる疲労です。多くの研究で、生残者の78~87%が感染症から回復後数週間も、様々な症状が続いていることが示されています。

患者の多くが、ウイルス感染が関連していることで知られる、いつまでも続く病気であるME/CFSの診断基準を満たす方向に向かっていることに、フロリダのEMS医療部長であるケン・シェプケ先生は気付きました。SARSの流行の研究から洞察を得ることができます。シェプケ先生がレビューした一つの研究において、369名のSARSから回復した人の27%近くが、ME/CFSを発症し、感染から何年もたって、40%の人が他の症状を抱えていました。このウイルスで死ぬことがなくとも、何年でないとしても、何か月も障害が残る可能性があることを、一般の人に教えることが重要だとシェプケ先生は話します。

「世界が直面しているCOVID-19の規模の大きさから、医療・財政システムに計り知れない負担となりうる、膨大な数のME/CFSや他の長引く様々な症状の患者が見込まれる可能性を示唆しています。医学や科学が、ウイルスにかからないためのワクチンや抗ウイルス薬に追いつくまでは、COVID-19の拡大を最小限に抑えるために、できることは何でもする必要があります。もし多くの人を感染させてしまえば、このパンデミックは何十年にもわたってそれが反映される可能性があり、障害を持った人々の大群を生んでしまいます」とシェプケ先生は語ります。

ME/CFSは、SARS、EBウイルス、ロスリバー熱を含む多くのウイルスの副作用であると、シェプケ先生は語ります。ME/CFS患者は比較的少数であるため、主流医学はこの病気の研究に、十分なエネルギーを集中してきませんでした。しかし、今は無視することが不可能です。

「今こそ医学がこのウイルス感染後症状群や疲労に結集した目を向け、この病気で苦しんでいる人達を助けることができるよう、何が起きているのかを把握する時です」とシェプケ先生は語り、COVID-19により死亡する危険性を一般の人に知らせることは重要ですが、他の危険性が存在することも、特に、高齢者や併存疾患を持った人よりも自分達はかかりにくいと思っている可能性のある健康な若い人に対して、警告しなければならないと付け加えました。

ME/CFSに根治薬はありませんが、活動した12~24時間後にクラッシュする(倒れ込む)ことが多いので、患者は十分に休み、身体活動のレベルのペースの調整をすることを学ぶよう勧められています。「このウイルス感染後症候群にかかっている人が非常に多いので、将来はME/CFSに医学は注目するのではないかと私は思う」とシェプケ先生は語りました。

科学者や医師たちの長引く症候群の説明として、免疫系にやられて検査では検出できないくらいの「生ウイルスの蓄積」が残っていて、まだ体には影響を及ぼすという説や、ウイルスㇽが特に確固として根付いてしまった臓器から免疫系が完全にウイルスを取り除くことができないという説があります。細胞に残ったウイルスの破片が存在し、それが炎症反応を引き起こし、症状が出ると考える人もいるし、ウイルスは完全に体から出たにも関わらず、免疫系を改造してしまい、過剰に反応する状態のままにするのではと推測する人もいると、シェプケ先生は語ります。ウイルスがミトコンドリアを損傷し、エネルギー産生の欠乏を生じさせ、最終的に慢性疲労状態を引き起こすという説もあります。

英語の原文はこちらからご覧頂けます

20.9.23JAMAにCOVID-19とME

9月23日付の米国医師会誌JAMAに、「数が増えるにつれて、COVID-19が『長びいている人々』は専門家を悩ませる」と題する記事が掲載されました。

パンデミックが長引くにつれ、COVID-19は荷造りして出て行かない招かざる客のようであることが、一部の患者にはさらに明らかになりました。

「何人かに聞いた話を基にすれば、いわゆる回復してウイルスが取り除かれた後に、何週間にもわたって多くの点で普通には生活できなくなってしまうウイルス感染後症候群にかかっている人が相当数いることは、疑いようもありません」と、米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長であるアンソニー・ファウチ博士は、7月に国際エイズ学会が主催したCOVID-19のウエブセミナーで語りました。

最近のJAMAのリサーチレターに、19~84歳までの143名のイタリア人患者の内の125人は、発症後平均2ヶ月後になっても、医師により確定したCOVID-19関連の症状をまだ経験していました。入院期間の平均は2週間で全員が入院し、80%はいかなる呼吸器も使用しませんでした。

パリ病院の医師たちは、フランスでCOVID-19のロックダウンが終わった5月中旬から7月末までの間に、平均で毎週30人の「長引いている人々」を診たと報告しました。患者の平均年齢は約40歳で、女性の数は男性より4倍多かったです。イギリスのチームは、全体の約10%のCOVID-19患者が、長期的な症状を経験していると、急性期後のCOVID-19の管理について最近発表されたBMJ(英国医師会誌)の記事の中で推定しています。しかし、プライマリーケア医には診療の手引きとなるエビデンスがほとんどないと、著者らは書いています。

ペンシルバニア大学医学大学院の肺専門医のジェシカ・ダイン先生は、「私が診察するCOVID-19後症候群の患者のほとんどは入院せず、かなり重症でしたが自宅療養でした」と語ります。

3分の1以上の患者が陽性の検査後2~3週間後も、普段の健康状態に戻っていないと、研究者達は週刊疫学情報に書いています。18~34歳までの若者ですら、4分の1の患者は、健康を取り戻していないと語っています。

ヴァンダービルト大学医療センターの救急医療医のウイスリー・セルフ先生らは、COVID-19が免疫系の長く続く変化の起因となる疑いがあると語ります。「率直に言って、いつまで続くのか分かりません。」その疑問を解く助けとなるよう、セルフ先生らは外来患者の健康を評価するために、COVID-19の診断後6ヶ月間の追跡調査を実施しています。

米国国立衛生研究所(NIH)所長のフランシス・コリンズ博士は、「COVID-19はとても新しい疾患なので、何が原因で様々な症状が持続するのか、何が完全な回復を妨げているのか、どうやって『長引いている人々』を助けたら良いのかは、ほとんど分かっていない」と語りました。

多くの「長引いている人々」は、多くの場合極度の疲労を伴う記憶力と集中力の低下が、持続している最も衰弱させる症状であると説明します。7月のウエブセミナーでファウチ博士は、ブレインフォグ(脳に霧がかかったようで頭が働かない)や疲労のような『長引いている人々』の症状の一部は、ME/CFSを強く暗示している」と言及しました。

コロンビア大学医療センター疫学部のマディ・ホーニング先生は、病因や発症メカニズムが不明のME/CFSのような脳の病気の発症に関する、微生物・免疫・毒性因子を長く研究してきました。彼女は今、医師や科学者としてだけではなく、自身が「長引いている人」として、これらの関係を調べています。彼女は3月に喉のむずがゆさと咳を感じ、4月24日に熱で目が覚めました。他の症状がありましたが、4月27日のPCR検査は陰性でした。検査が受けるのが早すぎたか遅すぎたからでしょう。彼女の医師たちは、様々な症状をCOVID-19以上によく説明できるものはないと告げました。

ME/CFSと診断された患者の4人に3人は、EBウイルスが原因の伝染性単核球症などの感染症らしい症状から始まったと報告します。ME/CFSの国際疾病分類の診断コードの一つは、この病気をウイルス感染後疲労症候群と呼んでいます。EBウイルスはコロナウイルスではなくヘルペスウイルスですが、COVID-19が潜伏EBウイルスを再活性化して、疲労を引き起こしているかもしれないと、ホーニング先生は推測しました。

このアイデアを詳しく調査するためにホーニング先生は、the Solve ME/CFS Initiativeと一緒に前向き研究を考案しました。COVID-19が「長びいている人々」、ME/CFSと診断された人や健常対照群からデータを集めるために、7月にはレジストリーとバイオバンクを開始しました。「これらが、ME/CFSと診断された何百万人ものアメリカ人に、治療法候補の可能性や手がかりを提供するでしょう」と、ホーニング先生は語りました。

ホーニング先生や他の科学者は、自律神経系の調整障害が「長引いている人々」の頻脈、極度の疲労や他の持続する症状を説明する可能性があると指摘しています。国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)の主任研究員であるアビンドラ・ナス先生は、COVID-19にかかった患者のME/CFSタイプの持続症状についての前向き研究を計画しています。「この症候群について我々が認識していることを一般の人々に確信させる必要があると思います」と、インタビューの中で答えました。

多くの「長引いている人々」はCOVID-19の確定検査を受けていないために、自分達の持続的症状の生理学的根拠に対して、医療従事者の一部は懐疑論を増大させていると話します。

ボディーポリティックの調査では、回答者の4分の1だけが検査でCOVID-19陽性で、多くは検査を受けるリクエストを否定されたために、半分近い人は一度も検査を受けていませんでした。しかし、全員の回答が解析に含まれました。陽性の人と陰性の人の主な違いは、発症後どのくらい早く検査を受けたかでした。「将来の研究は、検査の結果いかんに関わらず、ウイルスをより理解し、早期の検査拡充の重要性を明確に示すために、COVID-19の症状のある全ての人の経験を検討しなければならないと信じている」と、報告者の著者達は書いています。

自律神経系疾患が専門のスタンフォード大学の神経学者のミッシェル・ミグリス先生は、「これらの謎の診断は本物で、患者の気のせいではない」ことは明らかですと語ります。「長引く人々」、特に女性は、いつも真剣に取り合ってもらえないと、彼らは言います。「性差による偏見は間違いなくあり、持続的症状のある女性は男性よりも、『大げさで不安』であるとみなされます」とダイン先生は語ります。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます

20.9.18Frontiers in Neurology にMEの論文

9月18日付けのFrontiers in Neurologyに、米国国立衛生研究所(NIH)・国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)の主任研究員であるアビンドラ・ナス先生らによる、「ME/CFS患者における労作後の消耗(体調不良)の特性評価」と題する論文が掲載されましたので、一部を紹介します。ナス先生はNIHにおけるウイルス感染後ME/CFSの包括的研究の主任研究者です。

背景
ME/CFSは、持続的で何もできなくなるほどの疲労、運動不耐性、認知機能低下、筋骨格痛/関節痛などに特徴付けられる。「労作後の消耗(体調不良)」は、身体的活動や認知的活動後にこれらの症状が悪化するもので、この疾患の中心的特徴だと考えられている。入手可能な文献を見ても、ME/CFS患者の「労作後の消耗(体調不良)」の質的評価が提供されていることは少ない。そこで、我々の理解を高めるために、外来患者のフォーカスグループを招集した。

方法
ME/CFSと診断された合計43人の患者のフォーカスグループが、2016年11月~2019年8月までに9回開催された。フォーカスグループは、日常生活における「労作後の消耗(体調不良)」について、また、心肺運動負荷試験の運動によって誘発された「労作後の消耗(体調不良)」に関する参加者の後ろ向きの記憶について質問した。体系的にコード化し、データを分類して有意義なパターンを見つけるためのグラウンデッド・セオリー(質的な社会調査の一つの手法)の方法後に、データ解析を行った。データをコード化する際に、テキストを分類分けするために、定性ソフトウエアパッケージを使用した。

結果
広範囲の症状が、日常生活と心肺運動負荷試験後の運動に起因していた。3つの中核症状(極度の消耗、認知機能低下、神経筋疾患)が出現するとはいえ、参加者たちが語ったそれぞれ独特の変化は注目に値する。心肺運動負荷試験後の様々な症状について集中して回答した18人の内、17人は心肺運動負荷試験後、24時間以内に症状が現れ、72時間以内に最大に悪化したと報告した。患者たちは、労作後の消耗によって「普段の」生活を送る能力が妨げられると述べた。

結論
ME/CFSにおける「労作後の消耗(体調不良)」の経験は、個人によって非常に異なり、生活の質の低下につながる。「労作後の消耗(体調不良)」は、体のすべての部分に影響を与える様々な症状による包括的なもので、予測したり管理したりするのが困難で、完全/ある程度回復するためには絶対安静が必要であると、ME/CFS患者は説明する。患者によって広く変化するため、「労作後の消耗(体調不良)」のサブタイプを同定する更なる研究によって、より的を絞った治療オプションにつながる可能性がある。

英語の原文はこちらからご覧頂けます

20.9.14NatureにCOVID-19とME

9月14日付のNatureに、「新型コロナウイルス感染症が長引いている人々の持続する苦悩」と題する特集記事が掲載されました。サブタイトルは「新型コロナウイルス感染後数ヶ月たっても、激しい疲労、肺の損傷、他の『長引くCOVID』の様々な症状と闘っている人達もいる」

サザンカリフォルニア大学の臨床放射線科医のGholamrezanezhad先生のチームは1月に、CTスキャンを使って患者の肺の追跡調査を開始しました。33人を1ヶ月以上フォローしたところ、3分の1以上が目に見える傷跡が残るほどの組織死を起こしていました。ほとんどの方は入院しませんから、このような中期的な肺障害は感染者全体の10%以下ではないかと、先生は推測しています。これまでに2820万人が感染していることが分かっており、肺は臨床医たちが検出した損傷個所の一つにすぎないことを考えると、その低い割合でも何十万人もの人々が持続的な健康上の影響を経験していることを暗示しています。

医師たちは今、パンデミックによって持続的な病気や障害と闘う人々が大幅に急増することを懸念しています。この感染症は非常に新しいため、どんな長期的な影響が出るかは誰にも分かりません。予備研究や他のコロナウイルスの今までの研究は、ウイルスは複数の臓器を傷つけ、予期しないような様々な症状を引き起こしうることを示唆しています。軽症であっても、人生を変えるような影響、特に慢性疲労症候群に似た体調不良がいつまでも続く可能性があります。

多くの研究者が、COVID-19患者の追跡調査に着手しており、特定の臓器やシステムに焦点を絞っている研究者もあり、様々な影響を追跡することを計画している研究者もいます。イギリスの「退院後COVID-19研究(PHOSP-COVID)」は1万人の患者を1年間フォローすることを目指しており、アメリカでは7月末に、2年間にわかって数百人を対象として似たような研究を開始しました。「COVID-19の回復者のケアはどうあるべきかについての臨床ガイドラインが必要です」と、COVID-19患者をサポートするクリニックを設立しているボストン大学医学部の感染症臨床医であるナヒド・バデリア先生は語ります。

アメリカ国立アレルギー・感染症研究所の免疫学者であるヘレン・スー先生は、「初期には全てが急性でしたが、今では更なる問題がある可能性を認識してきています。長期的研究は明らかに必要です」と語りました。medRxivというプリプリントのサーバーに8月に掲載された研究では、入院患者を追跡し、退院後1ヶ月たっても70%以上の患者が息切れを報告し、13.5%が自宅で酸素を使用していることが分かりました、

 2003~2018年に北京大学人民病院のPeixun Zhang氏らは、SARSで入院した71人の健康を追跡調査し、15年後にも4.6%には肺に可視病巣があり、38%は肺の拡散容量が減少しており、これは肺が酸素を血液中に運び、二酸化炭素を取り除く力が弱っていることを示しています。

COVID-19から回復した人の中には、免疫系が弱くなってしまった人がいる可能性がありますが、多くの他のウイルスも同様のことをすると考えられています。ス―先生らは、免疫系を傷つけ、ウイルスに感染しやすくする遺伝的変異体を見つけることを目的に、世界中から何千人もの人をプロジェクトに登録したいと思っています。なぜ症状が持続するのかを理解し、助ける方法を見つけるために、長期的な機能障害を有する人達にも研究を広げる計画です。

ウイルスは、免疫の一部を過活動にさせ、全身に有害な炎症を引き起こす、逆の影響を及ぼす可能性もあります。少数のCOVID-19の子どもたちが、なぜ広範囲の炎症や臓器の問題を発症するのかを説明できるかもしれません。こうした過剰反応は、重症の成人COVID-19患者にも起こりえ、ウイルスが自然経過をたどった後の連鎖反応について、研究者達はもっと知りたいと思っています。

過活動の免疫系は炎症をもたらす可能性があり、特に影響を受けやすい臓器は心臓です。中国の四川大学の循環器専門医のChen先生は、「COVID-19の急性期には、約3分の1の患者が循環器症状を示し、これは短期的な影響です。中には、循環器症状が『長い間残る』危険性のある患者もいます」と語ります。

6月初めにイギリス心臓病支援基金は、6つの調査プログラムを発表しました。その中の一つでは、6ヶ月にわたって入院患者の心臓や他の臓器への損傷を追跡します。3月に着手されたCAPACITYレジストリーのようなデータ共有イニシアチブでは、循環器系の合併症のあるCOVID-19患者について、数十のヨーロッパの病院から報告を集めています。

COVID-19の神経系や心理的予後を理解するためにも、同様な長期的研究が必要です。多くの重症患者は、せん妄のような神経系の合併症を経験します。混乱や記憶喪失などの認知機能低下が、急性期の症状が一掃された後にしばらく持続するというエビデンスが存在します。

COVID-19の長期的影響の一つで、最も油断のならない極度の疲労は、最も理解されていません。この9か月間に、ウイルス感染後に体の自由を奪うほどの極度の消耗や体調不良を報告する人々の数が増えています。Facebookのようなサイト上の支援グループは、時に彼らを「長引いている人々」と呼んでいます。ローマの病院を退院した143名のCOVID-19患者の研究では、発症して平均2ヶ月後にまだ53%が疲労を訴え、43%が息切れをしていました。中国の研究では、3ヶ月後に25%に肺機能の異常があり、16%に疲労感が残っていたことが示されました。

英国のリバプール熱帯医学校の感染症研究者であるポール・ガーナー先生は、最初の症状は軽かったのですが、体調不良、極端な感情や極度の消耗などの急激な変化を経験しました。頭は霧がかかったようになり、息切れから両手の関節炎まで、ほとんど毎日のように新しい症状が現れました。これらの症状はME/CFSに似ています。医療従事者は何十年もこの疾患を定義しようと苦労してきました。バイオマーカーが知られていないため、症状に基づいて診断することしかできず、原因が十分理解されていないため、どうやって治療法を開発するかも明らかではありません。患者たちによると、医者の否定的態度も続いているそうです。

COVID-19後に慢性疲労を訴える患者も、同じような困難さを語ります。多くの「長びいている人々」は、医師からのサポートがほとんど得られないか、全く得られないと話します。なぜなら彼らの多くはほんの軽症か、あるいはまったく症状が無く、入院することもなく、死の危険に陥らなかったからです。疲労は重症患者に限られていないようで、軽症患者で、ウイルスの検査を一度も受けなかったかもしれない人々にもよくみられます。

新型コロナウイルスがこれらの症状の背後にあるかどうかを確かめる唯一の方法は、ウイルスにかかったことが分かっている人とそうでない人を比較し、疲労が現れる頻度や形を見ることだと、米国国立衛生研究所(NIH)臨床センターで新興病原体を研究しているダニエル・シャートー先生は話します。そうでないと、異なる理由で疲労が出現し、違った治療を必要としているかもしれない人を一緒にする危険性があります。

コロナウイルスによる感染が長期的な疲労を引き起こすという、SARSからのエビデンスがあります。カナダのトロント大学のモルドフスキー先生らは、感染後に13~36ヶ月間働けない状態であった22名の患者について、持続的な疲労、筋肉痛、抑うつ、睡眠障害があったと説明しています。2009年に発表された別の研究では、SARS患者を4年間追跡し、40%に慢性疲労がみられました。多くは失業し、社会的な汚名を着せられていました。

ウイルスがどうやってこうしたダメージを与えうるのかは明らかではありませんが、2017年の慢性疲労症候群に関する論文のレビューによると、多くの患者には感染がきっかけとなった可能性のある低レベルの炎症が持続していることが分かりました。

イギリスのME協会は、ウイルスに感染後、エネルギーレベルが元に戻らないという、感染前は健康であった多くの患者からの報告を受けており、慢性疲労症候群の新しい症例が増えると予期しています。研究者達は、長期的影響について徹底的な調査を今、開始することが極めて重要であると語っています。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます

20.9.16Care Net:コロナは男性で重症化しやすい

9月16日付のCare Net(HealthDay News提供)に、「COVID-19が男性で重症化しやすい理由の一端を解明」と題する記事が掲載されました。詳細は「Nature」8月26日オンライン版に掲載されました。

新型コロナウイルスに対する免疫システムの反応が、男女間で異なることを示す研究結果が発表されました。この研究を実施した米イェール大学の岩崎明子先生らは、「女性と比べて男性ではCOVID-19が重症化しやすく、死亡リスクも高い理由の一端を説明し得る結果」と、同大学のニュースリリースの中で述べています。

岩崎先生らによると、世界のCOVID-19による死亡例の約60%を男性が占めており、「我々の研究によって、COVID-19患者における免疫の全体像に性差があることを示す明確なデータを得ることができた。男性が重症化しやすいことには、このような免疫系の性差が関係している可能性がある」と説明。また、「治療薬やワクチン投与に際して男女ともに同程度の効果を得るためには、性差に基づくアプローチが必要であることを示唆する研究結果」との見方を示しています。

今回の研究で、男性ではIL-8やIL-18などの炎症を起こす数種類のタンパク質(サイトカイン)の量が多いなど、女性と比べて感染初期の免疫反応に違いのあることが判明しました。COVID-19の重症例では「サイトカインストーム」と呼ばれる状態に陥ってしまうことがあり、サイトカインストームが起こると、肺に水がたまって血液中の酸素が不足したり、組織の損傷やショック状態、多臓器不全に至る可能性があります。男性は感染初期にサイトカインの濃度が高くなりやすく、こうした深刻な状態に陥るリスクが高まると考えられます。

一方、女性は男性よりも、T細胞の活性が高いことが明らかになりました。男性では女性よりもT細胞の反応が弱いため、そのことも男性がCOVID-19に罹患すると重症化しやすい一因である可能性があると岩崎先生らは指摘しています。ただ、女性でも感染初期にサイトカインの量が多い人は、重症化する頻度が高いそうです。

20.9.13GuardianにCOVID-19とMEの記事

9月13日付のThe Guardianに、「3月に新型コロナウイルスにかかり、6ヶ月たっても体調が悪い」と題する記事が掲載されました。サブタイトルは「27歳のチャーリー・ラッセルは、60万人がかかっていると推定されるCOVID-19後症候群の一人だが、これはMEに対する洞察を与える可能性がある。」

チャーリー・ラッセル氏はCOVID-19にかかって182日たちましたが、以前のように週に3回、5キロ走ったり、パブに行ったり、仕事をしたりすることもできず、体調も良くなっていません。今は、胸痛、耐えがたい片頭痛、激しい息切れ、めまい、極度の消耗などに苦しむ、新型コロナウイルス感染後に長期に及ぶ症状が「長引くCOVID」の一人です。

英国公衆衛生庁によると、COVID-19陽性の20代の若者の数は記録的な多さで、9月最初の週だけで3,366人がウイルスに罹患しました。ラッセル氏のような20代の若者が、他のどの年代よりもはるかに多くCOVID-19にかかっており、新規感染者の28%近くを占めます。入院が必要になる人は少数ですが、長引くCOVID-19サポートグループや医療専門家たちは、少数だが無視できない数の人が、科学者たちがまだ理解していない非常に体を衰弱させる病状に移行することを懸念しています。

「若い人が外出すべきでない主な理由は、祖父母を感染させるといけないからという考えを未だに強調している」と、ME/CFS患者をサポートする英国ME協会の顧問医師であるチャールズ・シェパード先生は語ります。ME協会にサポートを求める「長引くCOVID」患者が、相当数います。「若い人は入院するほど悪化しないかもしれませんが、体を消耗させるCOVID-19後症候群にかかる可能性があります。大多数の人ではありませんが、無視できない数の若者に強い危険性があります。」

キングス・カレッジ・ロンドン遺伝疫学のティム・スペクト―教授によれば、約60万人の人が何らかのCOVID後の不調を抱えており、苦しんでいる人の約12%が、COVID追跡アプリに30日以上にわたって症状を報告しているとのことです。200人に1人が、影響は90日以上続いていると話しています。

長引くCOVID SOSというサポートグループの創設者のフランシス・シンプソンは、多くの人が経験している様々な症状を、医療従事者から真剣に受けとめてもらうのに苦労していると語ります。ラッセル氏は抗体検査を受けることができ、ウイルスにかかっていたことが確認され、今ではCOVID-19の影響を調べるCOVERSCAN臨床試験に参加する500人の患者の一人です。

長引くCOVID SOSや他のグループは、メンバーはほとんど助けを得られず、この病態に対する認知度も低いと語ります。ウイルスの長期的影響を政府が正式に認め、長引くCOVIDのために働けない人達のために経済的支援を提供し、患者のアセスメントや治療をするための多分野クリニックを創設してほしいと思っています。

研究者達は最近やっとCOVID-19の長期的影響についての研究を開始しましたが、新型コロナウイルスが免疫系を混乱させ、サイトカインストームや、ME/CFSの要因でもあると考えられている体の防御システムの過剰反応を引き起こすというのが実用的な理論であると、シェパード先生は話します。

「この2、3年のいくつかの研究で、恐らくMEには免疫系の機能障害が関与していることが示されています」と語ります。免疫系が低レベルで活性化し続け、すでに存在しないウイルスを撃退させようとしているようで、その反応が中枢神経系や視床下部に影響を与えているのかもしれません。

もしCOVID-19後疲労とMEが関連しているのであれば、研究は両方の病気に解決策を提供する可能性があります。ME患者のほとんどは、発症から何か月もこの病気を抱えていますので、この病気の研究をするのは困難でした。もしウイルスが関与していても、研究者たちが患者に会うまでには、ほとんど痕跡を残していないからです。

「患者を発症日に近い日からフォローできる、これが初めての機会です。研究者達は大きな患者群を作り、血液検体も採取し、感染してすぐの時点からウイルス感染後疲労を発症するまで、フォローすることができます。過去にこのような機会は一度もありませんでした。」

※英語の原文はこちらからご覧頂けます

20.9.14COVID-19後遺症のアンケート最終報告

日本においてもCOVID-19後の体調不良(後遺症)が続いている方が、ME/CFSを発症する可能性を調べ、COVID-19とME/CFSに焦点を絞った研究の早期開始を促すデータを提供するために、当法人ではアンケート調査を実施し致しました。8月23日に中間報告を発表しましたが、この度、最終報告がまとまりました。

アンケート調査は5月31日よりウエブ上で開始し、当初はPCR検査陽性の方のみを対象としていましたが、PCR検査を受けられなかった方や、PCR検査陰性だったけれども体調不良が続いているという声が多く寄せられ、7月初めよりPCR検査が未検査の方や陰性の方も対象に含めました。8月末日にアンケートを締め切り、回答者は、PCR検査陽性の方が27名(全体の8.3%)、陰性の方が82名(全体の25.2%)、未検査の方が217名(全体の66.6%)、合計326名でした。

日本でもCOVID-19後にME/CFS発症する可能性を確認
326人の回答者の内、ME/CFS様の症状を呈した人は全体の27.9%(91人)でした。PCR検査陽性の方が6名(陽性患者全体の22.2%)、陰性の方が26名(陰性患者全体の31.7%)で、未検査の方が59名(未検査患者全体の27.2%)で、3つの患者グループにおいてME/CFS様症状を呈した患者の割合に、大きな差は認められませんでした。その後の専門医によるZOOM面談や実際の診察を経て、3名(未検査)の方がME/CFSの確定診断を受け、日本においてもCOVID-19後にME/CFSに移行する可能性が明らかになりました。この3名の内のお2人はご夫婦で、2月に旅行した際、宿泊したホテルにたくさんの中国の方がおり、レストランで隣に座った方が咳をしていたそうで、次の日には微熱や咳などの症状が出現。8月にME/CFSの確定診断を受けました。

陰性の方の割合が少し高い傾向がありますが、陰性の方の中には偽陰性であった方が含まれ、PCR検査で偽陰性の結果が出る割合は2~3割とも言われていることを考慮すれば、陽性者より陰性者の方がME/CFSの症状を呈している方が多くても不自然ではありません。初めて症状がでてからPCR検査を受けるまでの期間を尋ねたところ、平均は41.9日後で、2ヶ月後であった方が23名、中には5ヶ月後という方もおり、発症から10日以内にPCR検査を受けられたのは14人にすぎませんでした。

未検査の方(未回答の方4名を除く213名)にPCR検査を受けられなかった理由(複数回答あり)を尋ねたところ、自己都合で検査を受けなかった4人を除く209人(98%)の方が、「熱が37.5度以下」「保健所に拒否」「渡航歴がなく濃厚接触者でない」「医師による判断」「CT・レントゲン・血液検査で異常なし」「肺炎症状なし」「(医療機関不明)拒否された」等の理由により、検査を受けたくても受けられなかったことが分かりました。

後遺症に苦しむ方々の深刻な実態
回答者全体の40.5%(132人)が「仕事(学校)に戻ることができない」、11.3%(37人)が「身の回りのことができない」、12.6%(41人)が「寝たきりに近い」、3.7%(12人)が「基本的動作(飲み込みや歩くなど)を学習する必要がある」と回答しており、多くの方が生活に著しい支障をきたしている深刻な実態が明らかになりました。グラフ深刻な状況の

自由回答欄に寄せられた切実な声
・体調が悪く、病院に行っても治療法がない。医師は感染症の後遺症に理解がなく、若いから大丈夫などの無責任な対応をされる。体調不良で仕事も退職し、いつ復帰できるか分からない。同居の妹も私よりひどい症状で仕事を辞め、療養している。
・複数の医療機関でのあらゆる検査で異常なしなので、治療がはじまらない。
・辛いのに誰にも取り上げられず、話題にもしてもらえず、治療もしてもらえない。同じ症状の人が何万人もいるのに、見殺しにしようとしている。
・ほとんどの症状が2月から続いて、普通の生活もできず、学校へも行かれない。
・保健所にPCR検査を断られ、罹患証明ができず、保険請求もできず、金銭的に困難で、いつ元の生活に戻れるかが分からず、精神的に不安定。
・倦怠感が強く、長時間歩くことができず、息も切れてしまうのでスーパーにも行かれない。
・急に不安な気持ちになって震えたり涙が出たりする。
・微熱が5ヶ月たっても平熱にもどらず、この先どうなるのか不安。

PCR検査陰性の方や未検査の方から伺った感染経路と思われるエピソード
・上司が2月にヨーロッパ旅行から帰って来て高熱があるのに職場で働いていた
・団体の中国人観光客と空港の喫煙待合室で一緒だった
・1月~2月中旬に子供の学校のクラス(中国の同級生が数人いる)で体調不調の生徒がたくさんおり、「よくわからないけど怠い」「動くのがしんどい」「頭が痛い」と言いながら学校に来て、体がきつく授業中に寝ていた子や早退を繰り返す子、何度もトイレに駆け込む子がいた。両親も体調不良。
・同居の姉が陽性だったのに自分はすぐにPCR検査を受けられず、数ヶ月後に受けたら陰性だった
・職場の前の席の人がずっと咳をしていて体調不良で何週間も休んでいたら、自分も同じ症状が出た。
・2月の大阪のライブハウスのクラスター後に、大阪の友人と一緒に鍋を囲んで食事をした。

一日も早く研究体制の構築を!
世界の多くの専門家の警告通り、日本においてもCOVID-19後にME/CFSを発症する可能性が確認されました。感染症の収束の見通しはたっておらず、今後さらにME/CFSを発症する方が増加することが予想されます。早期に診断し治療につなげることで、重症化を防ぐことができますので、一日も早く診療体制を整備することが急務です。そのためには、COVID-19後にME/CFSを発症する可能性があることを、広く医療関係者に周知する必要もあります。

急性のCOVID-19から回復された方の中で、どういった方がME/CFSを発症し、どういった方が同じような症状を呈していてもME/CFSを発症しないのかを研究することができれば、発症のメカニズムの解明の研究のために大いに役立ちます。また、ウイルス感染後に発症することが証明できれば、ME/CFSの原因・病態解明、診断基準作成の研究に大いに進む可能性があり、このまたとない機会を逃すことなく、早期に研究体制を構築することが非常に大事です。

アンケート調査を開始するまで、PCR検査が抑制されたことにより、日本でどんな影響が出ているのかについて、当法人でも気付いていませんでした。陽性の方は、少なくとも精神的なものと言われることもなく、ある程度の治療が受けられますが、COVID-19にかかってもPCR検査すら受けられなかった方たちは、治療の面でも精神的な面でも、違う意味でより困難な状況に追いやられていると言えると思います。こうした問題を解決するためには、PCR検査を希望する全ての人が検査を受けられるよう、検査体制の拡充が大事だと考えます。

このアンケート調査に、PCR未検査の方や陰性の方を含めましたので、COVID-19でない方も含まれた可能性は否定できません。しかし、調査結果を比較した時に、ME/CFSの発症率や生活の困難さにおいて有意な差は認められず、日本においてPCR検査が抑制されていましたし、PCR検査のタイミングが遅れた影響も大きいことから、検査で陽性の結果が出なかったからといって、COVID-19の症状ではないと切り捨てるべきでないと考えます。COVID-19患者の実態調査をする際に、PCR検査陽性の方に限定してしまうことで、かえって重要な情報が失われる可能性があると思います。

PCR検査と抗体検査の問題
パンデミック初期においてPCR検査が不足していたために、検査を受けられずにCOVID-19の後遺症が続いている多くの人がいる問題は、アメリカにおいても問題化してきました。中には、後に受けた抗体検査において陰性の結果が出た方も多くいることが分かってきました。

新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査に関して、その正確性を裏付ける質の高いエビデンスはほとんどなく、特に検査室外で実施するタイプの検査についてはエビデンスが弱いとする研究結果が、カナダのマギル大学ヘルスセンターのバストス氏らにより「BMJ(英国医師会の医学雑誌)」7月1日付けオンライン版に報告されました。日本におけるPCR検査数は、今でも国際的に非常に低いことを鑑みると、抗体検査陰性の結果をもってして、COVID-19に感染していなかったと判断することはできないと思います。

後遺症外来と社会保障の必要性
アンケート調査にも、後遺症の診療体制を求める声が多く届いており、海外においてすでに取り組みが始まっています。そして、回答者の約4割が仕事・学校に復帰できないと回答していますので、それに対する社会保障の必要性も明らかになりました。全ての後遺症に対する治療薬ができるまでには時間がかかるでしょうから、診療体制と社会保障を整備することが求められます。その場合には、PCR検査陽性の方だけではなく、全てのCOVID-19患者を対象とすることができるよう、柔軟な対応を願います。

このアンケート調査はインターネット上で実施されたため、アンケートにアクセスできた方は限定的であることを付け加えます。最後に、アンケートにご協力頂いた皆様に心から感謝致します。

※アンケートの最終報告の全文はこちらからご覧頂けます

20.7.13医療NEWSに抗体検査の正確性

7月13日付の医療NEWSに、「新型コロナ抗体検査、感度66.0~97.8%、特異度96.6~99,7%と検査で差」と題する記事が掲載されました。抗体検査の正確性を裏付ける質の高いエビデンスは、ほとんどないことが取り上げられました。

様々な国で新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査が進められていますが、その正確性を裏付ける質の高いエビデンスはほとんどなく、特に検査室外で実施するタイプの検査についてはエビデンスが弱いとする研究結果が、カナダのマギル大学ヘルスセンターのマヤラ・バストス氏らにより「BMJ(英国医師会発行の医学雑誌)」7月1日付けオンライン版に報告されました。

新型コロナウイルス抗体スクリーニングの診断精度を調べるために、様々な種類の新型コロナウイルス抗体検査の感度と特異度を評価した研究論文を検索し、基準を満たした40件の研究結果についてメタ解析を実施しました。なお、感度とは疾患が陽性であることを正しく判定する確率(真陽性率)、特異度とは疾患が陰性であることを正しく判定する確率(真陰性率)を指します。

バストス氏らは、「新型コロナウイルスの血清学的検査、特に、POCT(患者の傍らで迅速診断キット等を用いて行う検査)として市場に出回っている検査に対するエビデンスの弱さを示した研究結果だといえる」と説明。その上で、「POCTは、新型コロナウイルス感染歴の有無を判定する上で正確性が極めて低いため、今後、この目的でPOCTを使用すべきではない」とする見解を示しています。

米ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターの感染症専門医アメッシュ・アダルヤ氏は、「抗体検査への関心は高いが、多くの検査キットは信頼性を裏付ける適切な検査特性を有していないことを認識しておくことが重要だ」と指摘。また、「この研究により、抗体検査の結果の解釈、感度や特異度の許容範囲、検査結果を踏まえた対応などを標準化する必要性が明確に示された」としています。

BMJの英語の論文はこちらからご覧頂けます

20.9.9BBCNewsでCOVID-19の後遺症

9月9日付のBBC News Japanに、「COVID-19の症状がなくならない……イギリス感染者の訴え」と題して、動画と記事が掲載されました。「COVID-19の症状がなくならないのはなぜ?」

3月にロンドン・マラソンに向けてトレーニングをしている最中にCOVID-19を発症したエリーさん(37)と、サイクリングが趣味で4月に症状に気がついたメレディスさん(22)は、COVID-19の症状が長引いていると感じています。ウイルス検査で陰性になってから数ヶ月たった現在でも、体が衰弱したような症状が続いています。

メレディスさんは、「以前は週6日は自転車に乗っていました。発症から数週間後にトレーニングに戻ろうとしましたが、ほとんど歩けず、息切れがし、筋肉痛や足がちくちく痛むようになりました。」

エリーさんは、発症から6カ月近くがたった今も、同じ症状に苦しめられています。「以前は毎日運動し、ヨガやロッククライミングをしていました。COVID-19で最低でも6ヶ月は体を蝕んでいます。」

メレディスさんは医師から、「今できることは、ただ休養を取ってペースを乱さないことだ」と言われました。エリーさんは、「5、6人の医師に話を聞いてもらいましたが、誰も助けになることは言ってくれませんでした。良い診療所を見つけ、現在可能な素晴らしいケアを受けていますが、どうすれば回復できるかは分かりません。」

イギリスの王立開業医学会は、「長引くCOVID-19に対処する診療所がもっと必要だと指摘しました。国民保健サービス(NHS)イングランドも、「新しく強化された(COVID-19の)リハビリセンターを急速に増やしている」といいます。

メレディスさんは、「一日無理をすると、次の日にほとんど歩けなくなり睡眠が必要になります。動悸や息切れが続いて、生活に支障が出ています。この病気は本当に長引きます。」