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17.3.31国際シンポジウムをYouTubeにアップ

昨年10月23日に東京大学鉄門記念講堂において、「注目される神経内科領域の疾患:筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)~ME/CFSも治療の時代へ」と題する医療関係者向け国際学術シンポジウムを開催致しました。そのシンポジウムの一部をYouTubeにアップ致しましたので、ご紹介致します。

このシンポジウムは、世界保健機関において神経系疾患(ICD-10 G93.3)と分類されているこの病気を、神経難病として捉え、神経内科領域の研究者に研究を促進していただくことを目指しました。当日は、米国からME/CFSのオピニオンリーダーであるコマロフ・ハーバード大学教授と、前国際ME/CFS学会長のクライマス先生をお招きし、日本神経学会代表理事の高橋良輔先生にオープニング・リマークを頂きました。国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部部長の山村隆先生と、前鹿児島大教授であり和温療法研究所所長である鄭忠和先生の講演は、残念ですが今回は公開致しません。

当日のプログラム
司会:申 偉秀(東京保険医協会理事)
開会の辞:高橋 良輔先生(日本神経学会代表理事・京都大学医学部神経内科教授)
基調講演:ME/CFSのバイオロジー
・アンソニー・コマロフ先生(ハーバード大学医学部教授)
講演:シンポジウムまでの道
・篠原 三恵子(NPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」理事長)
講演:ME/CFSの分子標的治療開発のための仮想病態の提案
・ナンシー・クライマス先生(前国際ME/CFS学会会長・ノヴァサウスイースタン大学教授)
講演:ME/CFSの免疫療法に向けて:フローサイトメーター解析
・山村 隆先生(国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部部長)
講演:ME/CFSの症状緩和に有効な治療法:和温療法
・鄭 忠和先生(独協医科大学特任教授、和温療法研究所所長)
閉会の辞:山村 隆先生

日本神経学会の高橋代表理事の開会の辞より:
「私自身も、篠原さんに教えていただきまして、日本神経学会の代表理事として、神経学会もこの病気にもっと目を向けなくてはならないと認識した次第でありまして、本日、この国際シンポジウムが、参加者の皆さまの病気へのご理解をさらに深めるとともに、ここに参加されている医療関係者、研究者の方々に、疾患に対する取り組みをさらに真剣に考えて頂き、研究を推進していただけることを心より祈念いたしまして、私の開会のご挨拶とさせて頂きます。本日は宜しくお願い致します。」

当日、出席することができなかったの患者・家族の方だけではなく、多くの医療関係者、製薬会社の方々にご覧いただけることを願っております。

シンポジウムのYouTubeはこちらからご覧いただけます

17.3.7テレビ東京に山村隆先生が出演

3月7日(火)夕方3:55からのテレビ東京のL4YOU(エルフォーユー)という番組で、「疲れが取れない…疲労回復徹底研究!慢性疲労症候群とは」と題した特集の後半で、ME/CFSが取り上げられ、この病気を神経系疾患と捉えて研究してくださっている、国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部部長の山村隆先生が生出演されました。

国内で慢性疲労症候群の研究の第一人者である山村先生は、「慢性疲労症候群は脳の成分に対する免疫応答が異常に活性化して起こる自己免疫疾患ではないかという議論が、最近盛んになっています」と話します。慢性疲労症候群は自己免疫による神経系疾患で、疲れとは全く別のメカニズムで起こる病気だそうです。

「免疫は、ガン細胞を殺す良い免疫もありますが、一方で悪い免疫、自分を攻撃してしまうような免疫もあります」と山村先生。私達の体の中には病原体を倒そうとする免疫システムがあります。免疫には二種類あり、体にとって良いものと、時として悪い働きをしてしまう悪い免疫があります。例えば花粉症は、花粉に対して悪い免疫が過敏に反応し、炎症を起こすために起きる症状です。山村先生によると、慢性疲労症候群は、その悪い免疫が脳細胞に対して過敏に反応し、脳が炎症を起こして運動障害を起こしている可能性があるのだそうです。

なぜ慢性疲労症候群という名前がついてしまったのか。「その病名をつけられた教授と、昨年話しましたが、先生はこの名前を付けたことを後悔されていました。病気の本質をあまり言い当てていませんから」と山村先生。慢性疲労症候群は1988年にアメリカで命名され、当時の医学では原因不明、極度の疲労によるものと判断されました。こうしたことから怠け病と呼ばれ、差別を生んだ時期もありました。「今は筋痛性脳脊髄炎という病名が代わりに使われるようになっていますが、この方がまだ患者さんの実態を反映していると思います」と山村先生。

(スタジオから)疲労が名前に付いていますが、疲労とは全く違い、深刻な病状です。「この病気は、一般の検査をしても異常は出ないため、診断がつかずに発見も遅れるのが問題です。元々、アレルギーや免疫病になりやすい体質があって、その上に強い感染症が重なって発症することが多いです」と山村先生。

「治療法として、まず和温療法があります。低温サウナに入って芯から体を温めるもので、リンパ液の流れが良くなり、自律神経のバランスを整えます。一部の患者さんには効果があり、かなり有効です。ビタミン剤や酵素でいくらか症状が軽くなることもあるようですが、根本治療ではありません。根本的な治療を開発して、深刻な病気を克服し、完治させることが我々の目標です」と山村先生。

(映像)実際にこの病気と戦っているMさんは中等度で、坐りながらであれば台所仕事や洗濯を行うことができます。Mさんが発症したのは2年前で、臨床検査技師の仕事をフルタイムでこなしていましたが、経験のない体調の変化に、すぐに検査を受け、筋痛性脳脊髄炎と診断されました。

「お正月にインフルエンザにかかり、1ヶ月近くだるい状態が続きました。その内に3月に別の風邪にかかってしまい。自分の脳と意思に反して、足が半歩しか動かなくなり、一生懸命動きたいのに動けないので恐ろしかったです」とMさん。「最初はどうなることかと思って、本当に不安でした」とMさんのお母様。聞きなれない病名に最初は恐怖心があったものの、ネットを使い海外から資料を取り寄せて丹念に病気について勉強するにつれ、この病気についての理解を深めました。

Mさんは慢性疲労症候群という病名のせいで、中々理解されなかったそうです。「主人にこの名前を使うと、慢性疲労ということは、頑張ってリハビリなどをすれば治るのではないかと言われました」とMさん。今は理解を得られ、家族で病気と戦っています。発病当初から和温療法を続け、一年前から臨床検査技師の職場に復帰し、週2日4時間ずつ働いています。「この病気を慢性疲労ということではなく、筋痛性脳脊髄炎という言葉で皆さんに知って頂けるように啓発し、病気と戦っていきたいです」とMさん。

(スタジオ)「周囲の人にはよくわかるようです。とくかく動かない、理由もないのに会社に行けない、起き上がれない、突然眠りこけてしまうなど、色々な症状が出てきます」と山村先生。早期発見できれば、進行は抑えられるのでしょうか。「医学の根本は早期発見、早期治療なのですが、この病気は早期に診断しても、次に何をするかが今一つはっきりしていません。ただ、診断がつかずに関係のない治療を受ける場合もありますので、きちんとした診断を受ける方が良いと思います」と山村先生。

今後の治療の方向性として何があるでしょうか。「血液のがんを治す薬で、リツキシマブという薬がありますが、これをノルウェーの医師がある患者さんに使ったところ、劇的に良くなりました。それをもとに100名以上の患者さんにリツキシマブを使う研究が海外で進んでおり、それが日本にも入ってくる可能性があります」と山村先生。まず病気のことをきちんと知ることが大事だと思います。

17.1.2プレジデントに山村隆先生の記事掲載

2017年1月2日号のプレジデント「患者だけが知らない医者の診断のウラ側」と題する特集号の「30代から黄信号、ビジネスマンに急増中『新病・奇病・慢性病』診察ノート」というセクションで、慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)が神経内科の病気として取り上げられ、国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部長・多発性硬化症センター長である山村隆先生のコメントが掲載されました。山村先生は国際神経免疫学会理事、日本神経免疫学会理事を務めていらっしゃいます。

慢性疲労症候群を「心の病気」ととらえるのは早計です。発症メカニズムは明らかではありませんが、ウィルスや細菌の感染などの複合的な要因が引き金になると考えられ、最近の研究では、患者の血液や髄液を調べたところ、健常者に比べて炎症を引き起こす物質であるサイトカインがわずかに上昇していると報告され、患者の脳は各所に炎症を起こしていることがPET検査で明らかにされています。そのため慢性疲労症候群という病名はこの病気の実態を正確に表していないとして、ヨーロッパの一部やカナダでは筋痛性脳脊髄炎(ME)という名称で統一されており、日本でも慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎と併記する動きがあります。

神経難病に詳しい山村先生は、「患者は免疫の異常によって起こる病気にかかったことのある人が多く、家族も慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患をもっているケースが少なくありません」と説明します。内科で血液検査をしても異常が見つからず、精神の病気が疑われることもあり、正しく診断されずに寝たきり状態になることもあります。難病ですが公的支援の対象外で、治療に絶望して自殺する患者も少なくないそうです。

「診断がつきにくく、効果的な治療法もまだありませんが、病気の解明は少しずつ進んています。」ノルウェーの臨床試験では、悪性リンパ腫を併発した慢性疲労症候群の患者に、B細胞性悪性リンパ腫の治療薬であるリツキシマブを投与したところ、慢性疲労症候群の症状も劇的に改善したそうです。いまのところは完治させるのは困難で、予防法もありません。健康な人で風邪のような症状がいつまでも長引いて、休んでも改善せず、不眠などを伴ったりする場合には慢性疲労症候群の可能性がありますので、医療機関を探して受診することが勧められます。

17.3.7テレビ東京で放送されます

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日時   3月7日(火)夕方3:55からの番組後半
テレビ局 テレビ東京
番組   L4YOU(エルフォーユー)
番組HP   http://www.tv-tokyo.co.jp/l4you/
テーマ  疲れが取れない…疲労回復徹底研究!慢性疲労症候群とは
ゲスト  佐藤藍子
専門家  国立精神・神経医療研究センター 山村隆先生

「なんだか最近疲れが取れない…とお悩みの方に疲労のメカニズムと対策法、疲労回復食材をご紹介。また、近年研究が進む慢性疲労症候群とはどんな病気なのか解説します。」

フェイスブック、twitter、ブログ等で、多くの方にお知らせいただければ幸いです。

※よほど大きな事件がない限りは放送されますが、万が一、中止の場合もございます。

17.1.30国際ME/CFS学会会報に実態調査掲載

菜の花国際ME/CFS学会のニュースレターVolume 10,Issue 1に、2015年7月の「ノーマライゼーション」に掲載された患者の実態調査の記事とその補足を英語に訳したものを、「日本政府により委託されたME/CFS患者の全国調査」と題して、Reserch(研究)欄に掲載して頂きました。

「2014年に日本の厚生労働省は、日本全国のME/CFS患者の実態調査を委託しました。この結果、日本のME/CFS患者の30%は重症患者であることが明らかになりました。NPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」理事長の篠原三恵子氏は、実態調査について補足し、実態調査の結果を要約してくれました。この調査は元々2015年7月号の『ノーマライゼーション』に掲載されたものです。」

(科学の共通語としての英語のステータスにも関わらず、英語で出版あるいは翻訳されないために、英語圏の科学界や医学界にとって、ME/CFSに関する貴重な調査が”失われて”います。従って、もしあなたが英語以外の言葉で書かれた興味深い研究論文を読み、その結果を今後のニュースレターのために要約して下されば、歓迎致します。)

【実態調査の補足】
日本では、この疾患をストレスが原因の疲労の病気として捉えた研究が、今も継続されている。2010年には、40%の患者は完治し、5年以上症状が続いている患者の多くは学校や会社に復帰できるとする発表さえあった。このため、重症患者は必要な家事支援を受けられず、医療からも行政からも顧みられることはなかった。こうした状況で、患者会の強い働きかけにより厚労省による実態調査が行われ、初めて深刻な実態が明らかになった。

中等度~重症患者の日常生活は、多くが家族の支援に依存している状況にあることが明らかになり、家族・親戚など近親者のサポートが日常的に受けられない一人暮らしの患者の日常生活困難度の深刻さを考えると、本疾患に対して早急な支援体制構築・対策が急務であると考える。本疾患は進行性疾患ではないが、重症化する患者も多いことから、環境因子が悪化の一因となり得ると考えられる。また、重症化を防ぐために、重症患者に加えて中等度困難者から支援・介入を行なう意義が高いと考える。

電話や訪問での聞き取りにより、身体障害者手帳を取得後、寝返りもできないほど重症で日中は家族が仕事のために誰もいないにもかかわらず、行政より居宅介護を1日1時間しか認められないといった事例や、行政より居宅介護が認められても、ヘルパー不足により介護者が見つからず、ほとんど介護が受けられないといった事例もあることが判明している。こうした問題の解決も急務である。苦しんでいる患者を救済し、実際に患者の生活の質の向上にむすびつく研究が遂行されることが切に求められている。

※掲載にあたって、学会副会長のLily Chu先生とやり取りしましたが、他の人種にもME/CFS患者がいることは知っていますが、欧米の研究論文の95%は白人対象の研究であるため、アジア圏の患者に関するこの情報は、非常に貴重だと言って頂き、今度も日本の状況を投稿してほしいと頼まれました。

17.2.1保団連誌の診療研究に申理事の記事掲載

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申理事のプロフィール:1990年東京大学大学院医学系研究科修了。1989~1991年文部省学術振興会特別研究員、1991~1994年ハーバード大学血管内科研究員、1995~2001年東京大学保健センター助手を経て、2001年から関町内科クリニック院長。

ME/CFSは、脳と中枢神経に影響を及ぼす多系統にわたる複雑な慢性疾患であり、患者のQOL を著しく低下させる重大な疾患であるにもかかわらず、客観的診断指標がないために、医療者から心因性、詐病扱いを受けてきた。また患者数が多いとの理由により指定難病の対象外とされ、患者は疾患による苦痛に加え、社会から疎外され孤立している。かかりつけ医として、現状を打破するために患者会活動に参加した内容を報告する。

米国NIHは、「ME/CFSはいかなる種類の労作でも激しい症状の再発につながる全身性の労作不全を特徴とする、後天的な多系統にわたる慢性疾患であり、免疫障害・神経機能障害・認知機能障害、睡眠障害、自律神経系の機能障害を含み、激しい疲労を伴う著しい機能障害が引き起こされる。また、広範囲の筋肉痛・関節痛・咽頭痛・リンパ節圧痛や頭痛などがみられ、ある罹患時期に4分の1の患者は寝たきりか家から出られず、多くの患者では発症前のレベルの身体機能を取り戻すことはない」とHPに発表している。

このように極めて重篤な疾患であるのに、日本では医療関係者ですら正しく理解しておらず、診療にあたる医師もごく限られ、患者は医療機関から疎外され、社会からも孤立していた。1990年米国留学中にME/CFSを発症、帰国後2006年から寝たきりに近い1人の女性患者が、2008年に国内で困難の下で生きている他の患者と出会い、翌年ME/CFSを題材にした米国映画を翻訳・上映し、2010年に数人で患者会「慢性疲労症候群をともに考える会」を立ち上げ、2012年にはNPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」となった。

英国では1955年に集団発生があり、1956年に筋痛性脳脊髄炎(ME)という病名が「ランセット」に提案された。1980年代に集団発生があった米国では、CDCが研究を始めたが、心因性疾患との認識が医療人や社会で根強かった。その後、治療とされた認知行動療法や段階的運動療法の有効性は否定された。米国で1988年に命名された「慢性疲労症候群(CFS)」は病態を表さず、現在は世界的にME/CFSと呼ばれることが多い。

米国では、2015年に大増額された予算でNIHが国立神経疾患・脳卒中研究所が主導する多施設研究を行うと発表。その背景には、近年ME/CFSに特異的な脳画像所見が報告されるようになったこと、ME/CFSに特異的な免疫異常も多く報告され、並行してノルウェーでの免疫調整剤リツキシマブを用いた臨床試験が顕著な効果を示していることがある。

患者会ではこれら知見をもとに、ME/CFSの病態解明と治療法開発に神経内科の関与の必要性を、2015年の日本神経学会総会で訴え、視神経脊髄炎を免疫調整剤で治療した実績を持つ国立精神・神経医療研究センターの山村隆先生の協力を得ることができた。また、脳卒中後麻痺に効果のある経頭蓋磁気刺激法で実績のある国際医療福祉大学の角田亘先生の協力も得られ、実際症状の改善を得ている。患者会では重症心不全の高度先進医療である和温療法を用いた入院治療(静風荘病院天野顧問)を推奨しており、ME/CFS患者で顕著な効果を報告している。

2010年に篠原患者会代表が東京保険医協会を訪問、協会として支援を開始した。筆者は一開業医として、篠原代表が翻訳した海外文献、診断基準、講演録などの医学監修、上映会での講演、医師会・保険医協会での発表、厚労省、東京都など行政要請行動での医学的説明、研究協力者との打ち合わせなどをしながら、徐々にME/CFS患者の外来治療を始めた。

患者会では2016年10月に米国のME/CFS専門家、国立精神神経医療研究センターの山村隆先生、鄭忠和前鹿児島大教授(和温療法開発者)を招請して「ME/CFSも治療の時代へ」と題する国際シンポジウムを開催した。ハーバード大コマロフ教授は、米IOM(医学研究所)が全世界9000以上の論文をレビューし、「ME/CFSは生物学的ベースの疾患である」と結論付けたことが米国医学会を納得させ、国を挙げて研究に動き出した経緯を報告。前国際ME/CFS学会長のクライマス教授は、ME/CFSの基礎・臨床面での知見と現在進行形の臨床試験について報告し、同疾患が神経免疫疾患であることを強調した。講演内容と共に患者に勇気を与えたのは、日本神経学会代表理事の高橋良輔京都大教授の開会あいさつであった。高橋教授は、コマロフ教授と山村先生と共同で、ME/CFSの神経系異常についての論文を執筆し、日本神経学会誌へ掲載する予定である。

今まで患者たちは、病院を受診しても普通の検査では異常が認められないために「心因性」疾患として心療内科、精神科へ紹介されることも多々あった。見慣れぬ疾病の診療には腰が重いものであるが、治療法の開発、診療拠点の構築の途において、是非日常診療への参与を諸先生へお願いしたい。

全文はこちらからご覧いただけます。HPから全文をダウンロードする許可を下さった保団連に感謝致します。

17.2.1東久留米市広報に記事掲載

images篠原 三恵子
市民に障害者差別解消法についての理解を促すために、東久留米市では広報に「障害などの当事者が考える差別・配慮について」の欄を設けています。2月1付けの広報のその欄に、「病気に起因する障害も対象です」と題した原稿を掲載して頂きました。

4月から障害者差別解消法が施行されましたが、難病や難治性疾患に起因する心身の機能の障害も、障害者差別解消法の対象であるのをご存じでしょうか。難病患者の多くは、体力がないために活動を制限せざるを得ず、無理をすると悪化し、体調に波があるために継続的活動が困難です。さらに、体調が不安定で短時間しか活動できない等の困難を抱えていますので、社会参加するためには、障害(病気)の特性に応じて、一人ひとりの体調や体力に応じた合理的配慮が必要です。

平成26年に厚労省よりME/CFS患者の実態調査が行われ、寝たきりに近い重症患者が約3割もいるという、深刻な実態が明らかになりました。昨年には障害者総合支援法の福祉サービスの対象疾患が拡大されましたが、依然、ME/CFSなどの多くの難治性疾患が除外されています。そのため、ME/CFS患者は社会参加どころか、命を維持していくことさえできないほど重症化しても、必要な介護を受けられない方、必要な車椅子を支給されず、月に一回の通院で体力を使い果たす方や、それすらできない方もいます。登校拒否と思われ、義務教育すら保障されなかった小児患者もいます。その他、患者達には医療を受ける権利、選挙権を行使する権利、働く権利等、他の人と平等に社会参加する権利が保障されていません。

難治性疾患によって日常生活又は社会生活に相当な制限を受けているのに、病名により除外される難治性疾患があることは、差別ではないでしょうか。福祉サービスの対象は病名で区切らず、生活の困難さに応じて支援する仕組みに抜本的に変え、疾患によって生活のしづらさがある全ての人に必要な合理的配慮が提供されるようになることを願っています。