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21.1.14MedscapeにCOVID-19とME/CFS

1月14日付のMedscapeに、「慢性疲労を嘲るスティグマ(汚名・烙印)のように長引くCOVID患者が増えている」と題する記事が掲載されました。

「COVID-19が長引いている人」の一人であるマーゴット・ゲージウィットヴィエ氏は、激しい疲労、ブレインフォグ、頭痛と闘い続けており、症状はもっとやろうと無理をすると悪化します。米国中のCOVID-19患者の10人に1人もが、最初の診断後に何週間も何か月も続く症状を報告しており、ほとんどすべての人がゲージウィットヴィエ氏のように神経系の問題を報告しています。

国立衛生研究所(NIH)の神経内科医であるアビンドラ・ナス先生は、こうしたCOVID-19が長引いている人々の経験を身近に感じますし、ME/CFSを思い起こします。ナス先生は長年、慢性疲労に関連する長引く神経系の問題に関心を持っていました。ME/CFS患者の推定4分の3が、症状はウイルス感染後に始まったと報告し、和らぐことのない極度の消耗、脈拍や血圧の調整困難、痛み、ブレインフォグで苦しんでいます。ナス先生は初めて新型コロナウイルスについて読んだ時に、感染者の一部の人にウイルスが様々な症状を起こすことを心配し始め、ゲージウィットヴィエ氏のようなCOVID-19が長引いている人々の経験を聞くにつけ、ますますいぶかるようになりました。

イギリスの調査によると、COVID-19が長引いている人々と違い、ME/CFSの多くの患者が診断を受けるには少なくとも1年かかります。それは、研究者達には病気の初期段階を研究する機会がほとんどなかったことを意味します。「患者がずっと以前に起きた可能性のあるどんな感染にかかったにしろ、どうやってそれに感染し、何に感染したのか、初期においてどんな影響があったのかを、我々がME患者を診る時に知るすべはありません。我々は2年もたってから患者を診るのですから」とナス先生は語ります。

ゲージウィットヴィエ氏のような患者を研究することは、COVID-19の長期的転帰だけではなく、ME/CFSのごく初期の段階を含む他のウイルス感染後の症候群を理解するまたとない機会を医師や科学者に提供するだろうと、ナス先生はすぐに気が付きました。そこで、NIHにおいて急いで2つの研究に着手し、この現象を検討してきました。 

COVID-19が長引いている人々とME/CFS患者の類似点は明らかだと、ナス先生は語りますが、同じ現象であると推定することには注意を呼びかけます。長引いている人々の中には、回復がただもっとゆっくりである可能性の人もおり、表面的には似ているようにみえて、分子レベルではME/CFSと違う病気である可能性もあるからです。しかし、たとえナス先生がME/CFSとの関連を見出せなくとも、世界中に9250万人以上の記録されたCOVID-19患者がいるのですから、すぐに回復しない相当数の感染患者にとって、この研究は重症な意味をもつでしょう。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます。 

 

21.1.13JDが緊急要望を総理・厚労大臣に送付

当会が加盟している日本障害者協議会(JD)は、2020年3月3日、4月20日、10月20日に続いて、緊急要望「緊急事態宣言発出にあたって」を、13日付けで総理大臣と厚労大臣宛てに送付致しました。

新型コロナウイルスの感染爆発は、さまざまな領域で生活困難を抱える人びとを苦しめており、日本障害者協議会(JD)は、これまで3回にわたり政府に対する要望を行なってまいりました。今般の緊急事態宣言発出にあたり、改めて以下の3点について緊急に要望します。

1.医療崩壊の中で優生思想に基づく障害を理由とした「いのちの選別」を行わないこと
 感染者急増の中で、命を賭した献身的な医療現場の深刻な状況が報道されています。こうした状況下では、医療崩壊を理由に治療の優先順位をつける「いのちの選別」が進められないかと危惧します。医療機関や保健所等が、「いのちの選別」を行わないよう徹底してください。医療・保健分野を充足させるための必要な予算、人的体制を早急かつ抜本的に強化してください。

2.障害のある人や支援者へPCR検査を早急に実施すること
 障害のある人の多くは感染した場合に重症化リスクが高く、生活上、常に人による支援を必要としています。障害のある人や支援者がPCR検査を必要に応じて何度でも受けられるよう財政措置を含め早急に対策をしてください。

3.障害福祉事業所の報酬の日額払い制度を抜本的に改めること
 障害のある人が通う事業所は、感染リスク軽減のため、一時休所や、密を避けるために通所人員を減らす必要が生じます。しかし、日額払いの報酬支払制度では、感染リスク軽減策をとることが、事業所の存続を危うくすることにつながります。現在の在宅支援の柔軟な取り扱いは、各自治体の判断によって運用がまちまちです。
 障害のある人が事業所を安心して利用できるようにするため、上記のような臨時的な対策ではなく、事業運営にあたる費用は月額払い、利用者の個別給付に必要な費用は日額払いとし、基本報酬で安定経営ができる報酬体系に、抜本的に改めてください。

21.1.15NHK「ネタドリ!」でコロナ後遺症

1月15日にNHK「首都圏情報ネタドリ!」で、「感染拡大が止まらない “若い世代”に何が?」と題して、COVID-19の後遺症について取り上げられました。

新型コロナウイルスの感染が止まらない首都圏。その半数以上を占めているのが30代以下の若い世代です。重症化する割合が低いとも言われる若い世代。しかし、取材を進めると、コロナから回復した後に思わぬ影響を受けるケースもあることも分かりました。

首都圏に緊急事態宣言が出されて一週間、医療機関の逼迫の度合いは増しています。こういった中で最も大切なのが、若い世代の感染をどう抑えるかということです。東京で感染者の中で30代以下が半数以上を占め、この傾向が9月から続いています。

街中で30代以下100人に、感染をどれくらい恐れているかを聞きました。感染が怖いと答えたのは48人、どちらでもないと答えた人が43人、怖くないと答えた人は9人でした。更に詳しく聞いてみると、前回の緊急事態宣言の時よりもコロナが怖くないと回答した人が100人中60人、怖いと答えた人が24人、変わらないと答えた人が16人でした。

Kis-My-Ft2のメンバーの千賀さん(昨年11月に感染):自分がコロナにかかってしまい、直さなければならない部分でありますが、人にうつす可能性があることを認識した方が良いと思います。人にうつして、その方が重症化してしまったら、人のいのちをなくしてしまう可能性があり、殺しているのと同じだと思います。そういう意識で日ごろ生活していくと、意識はどんどん変わっていくのかなと感じます。コロナウイルスの脅威をしっかり認識することに尽きると思います。

日本感染症学会理事長の館田さん:前回より怖くないという人が増えていますので、少し慣れてきてしまい、油断してきている人が若い人の中で増えていると思います。

この1ヶ月で家族以外の人と会食したかどうか尋ねたところ、82人がしたと回答しました。回数は平均すると1ヶ月で6.3回で、週にすると1、2回。10回以上会食した人は19人でした。会食した人に何人で集まったかを聞いたとこと、平均で4.8人、4人以下と答えた人は56人でした。

若い世代は重症化する割合が低いと、感染症の専門家から言われてきていますが、回復した後でも長期にわたって影響を受ける人がいることも分かってきています。関東地方に住む20代の女性は、去年9月にコロナに感染しました。感染時は無症状でしたが、4ヶ月たった今、脱毛症状に悩まされています。

今、新型コロナから回復した後も長期間続く症状に悩まされる若い人が後を絶ちません。回復後も倦怠感や息苦しさ、脱毛、味覚障害を訴える人が相次いでいるといいます。患者の中にはこれまでの日常生活が送れなくなった人もいます。都内の高校に通うTさんは、味覚障害に加え倦怠感や息苦しさの症状があり、今も寝込んで起き上がれない日もあり、1ヶ月以上学校を休んでいます。

後遺症によって仕事にも大きな影響が出たという若者がいます。人材派遣会社で働くHさんが、新型コロナから回復したのは半年前。最初は我慢していましたが、日常の業務に体が耐えられなくなっていきました。気分が落ち込み、眠れない日が続いたといいます。心療内科を受診し、うつ状態と診断を受け、休職しました。同世代の若者に、新型コロナの怖さを知ってほしいといいます。

千賀さん:発症してから2ヶ月以上たっていますが、嗅覚障害は完全には治っていません。食事をする時に味覚はありますが、カツを食べてもゴムを食べているような感覚になります。

館田さん:コロナの後の問題が、世界中から報告されてきています。メカニズムは分かっていませんが、いくつかの可能性があります。このウイルスは、体の中の血管の細胞にも感染を起こして血栓を作りやすくさせます。また、血液の中のサイトカインが過活動になりサイトカインストームを起こし、それが後遺症につながっているということも考えられています。

館田さん:学校で子供同士が感染を広げるリスクは、かなり低く抑えられており、家に帰って両親から感染するというケースが多いことが分かっています。また、職場ではマスクをしながら静かに仕事に集中していますので、そこでの感染のリスクもそれほど高くありません。休み時間や終わった後に飲み会に行った時にリスクが高く、会食の場でもリスクが高いことが明らかになっています。

 

20.12.30NIHのCOVID-19患者の脳の研究

2020年12月30日付の米国衛生研究所のHPに、「NIHの研究により、COVID-19患者の脳に血管の損傷と炎症はあるが、感染はしていないことが明らかになった」と題する記事が掲載されました。サブタイトルは「死亡した19人の患者の研究結果は、脳の損傷は患者の疾患による副産物であることを示唆している」

COVID-19がどう患者の脳に影響を与えるのかに関する徹底的な検査において、米国国立衛生研究所(NIH)の研究者たちは、感染したばかりで死亡した患者の組織の検体の中に、薄くなり漏出しやすくなった脳の血管によって引き起こされた損傷の顕著な特徴を何度も見つけました。さらに、組織の検体中に新型コロナウイルスの痕跡は見られず、損傷はウイルスの直接的な攻撃が原因でないことを示唆しています。研究結果は「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に投書として発表されました。

新型コロナウイルスに感染した患者の脳は、微小血管を損傷しやすい可能性があることが分かりました。我々の研究結果は、ウイルスに対する体の炎症反応によって引き起こされた可能性を示唆している」と、NIHの国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)の臨床主任でありこの研究の最終著者であるアビンドラ・ナス先生は語ります。「患者が苦しむ可能性のある全領域の問題を医師達が理解することに役立ち、より良い治療法を見つけ出せることを願っています。」

COVID-19は主に呼吸器系疾患ですが、患者は頭痛、せん妄、認知機能低下、目まい、疲労、嗅覚喪失などの神経系の問題をよく経験します。感染症は脳卒中や他の神経病理学的疾患の原因になる可能性もあります。感染症が炎症や血管損傷を引き起こしうることが、いくつかの研究で示されています。こうした研究の一つで、研究者達は一部の患者の脳に少量の新型コロナウイルスのエビデンスを見つけました。しかしながら、科学者達はまだどう感染症が脳に影響を与えるのかを理解しようとしているところです。

本研究では、2020年3月~7月にCOVID-19に罹って死亡した19人の患者の脳の組織検体を、徹底して検査しました。16人の患者の検体は、ニューヨーク市の検視局から提供され、他の3人はアイオワ市のアイオワ大学医学部病理学部から提供されました。患者は5~73歳までの幅広い年齢で、症状を訴えてから数時間~2ヶ月の間に死亡しました。多くの患者は、糖尿病、肥満、循環器疾患等のリスク要因を1つ以上抱えていました。患者のうち8人は自宅もしくは公共の場で死亡し、他の3人は突然に倒れて死亡しました。

「我々は非常に驚きました。当初は酸素欠乏が誘因となった損傷が見つかるだろうと思っていましたが、一般的に脳卒中や神経免疫系疾患に関連した多病巣領域に損傷を見つけました」とナス先生は語ります。最終的に研究者達は、新型コロナウイルスの遺伝物質や蛋白質を検出するために、いくつもの方法を用いたにも関わらず、脳の組織検体の中には感染が見られませんでした。

「これまでのところ、研究結果は我々が見つけた損傷は、新型コロナウイルスが直接脳に感染したことによって引き起こされたのではない可能性を示唆しています。将来、COVID-19が脳の血管にどうやって害を及ぼすのか、そしてそれによって患者に見られる短期的及び長期的症状の一部は生じているのかを、研究する計画です」とナス先生は語ります。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます

21.1.4Daily Mailにコロナ後遺症と運動療法

1月4日付のThe Daily Newsに、「体を動かせないほどの疲労感にも関わらず運動しろと言われ、『否定的な考え』を追い払えと助言され…長引くCOVIDの治療法は間違っていると医師達が考えるのは当然です」と題する記事が掲載されました。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの医療情報学の専門家であるブレンダン・ディラニ―教授は、毎週日曜日には自転車で80マイル走っていましたが、イギリスで6万人が発症していると考えられている長引くCOVIDを発症してから、電話で患者と話すことすらチェレンジと感じます。体調が良い時もありますが、その後、また再発します。3ヶ月後の6月に、パートタイムとしてやっと復職することができましたが、未だにブレインフォグがあります。

長引く疲労に対する公式の治療法は段階的運動療法です。現在、これが長引くCOVIDの患者にも推奨されており、毎日少しずつ運動量を増やしていくものです。英国国民保健サービスのCOVIDからの回復というHPには、「病院から退院したら、なるべく早く活動的になることが重要です…少なくとも週に5回は、30分の運動ができるように運動を増やすべきです」と提案しています。しかし、電話をかけるだけで体が衰弱する人にとって、それは巨大な仕事に思えます。

この運動療法は、20年近くME/CFS患者に処方されてきました。患者が運動後に体調が悪化すると訴えると、運動できないと間違って信じていると言われ、その結果、段階的運動療法はその間違った考え方を捨てるために、認知行動療法とよく組み合わされていました。

去年の11月に治療法を監視する英国国立医療技術評価機構が、段階的運動療法を推薦から外し、全く逆の治療法に替えるとするMEのガイドラインの草稿を発表しました。これは、ME/CFS患者にとって良いニュースでした。今患者達は、症状が悪化しないレベルで、簡単にできると感じる程度に運動するように言われています。

ディラニ―教授は段階的運動療法を試してみましたが、その結果、再び熱がでて症状がひどく悪化しました。もう一人の長引くCOVID患者であるポール・ガーナ―教授は、コクラン共同計画の上級メンバーですが、長期に及ぶ疲労についての治療法のデータベースを調べた時にショックを受けました。「役に立たない否定的な考え方に挑むために認知行動療法が必要だと書いてありました。これを読んだのは10分間、自転車に乗った後に3日間体調が悪化したすぐ後でした。それは否定的な考え方による結果ではありません。」

7月には、ディラニ―教授やガーナー教授を含む長引くCOVIDの多くの医師達が、自分達の経験を語り、代替の治療法を議論するオンラインのサポートグループを立ち上げました。サポートグループの医師達はそれぞれ違う症状でしたが、自分のペースで行動することが役立ったと、ガーナー教授は語ります。「私たちは、これこそME/CFS患者が段階的運動療法によって苦しんできたことだと気が付きました。」

ME/CFS患者の活動家達は、以前のガイドラインが出された2007年から、段階的運動療法は効果がなく患者に大きな害を与える可能性があると警告してきたと、「MEのためのサイエンス」というオンライングループの共同創立者のアンディ・デヴェロウクック氏は語ります。

簡単にできると感じるレベルの運動にとどめる「ペースの調整」のほうがずっと役立つことが、患者の調査によって繰り返し明らかになっています。2017年に健康心理学会誌に発表された1400人以上の患者調査では、運動中に「ペースの調整」をすると症状が改善したと、44%が報告しています。

「最終的に私のような患者の啓発活動家がアカデミックなサポートを十分に得て、英国国立医療技術評価機構のガイドライン作成委員会の一員として招待された」と、デヴェロウクック氏は説明します。この委員会は、患者の疲労は心理的なものと説明してきた結果、患者に汚名をきせ偏見を助長したガイドラインをやめるべきであるとコメントしました。

英国国立医療技術評価機の専門家達は、極度の疲労は変異したエネルギー代謝の結果であることや、本質的に「ペースの調整」であり、ガイドライン草稿に使われる新しい表現、つまり患者は「エネルギーの許容量」を超えるべきではないという主張を受け入れました。新しいガイドラインはME/CFSに特定されていますが、慢性疲労の治療に対するもっと優しいアプローチは、長引くCOVIDの犠牲になった医師達から強い支持を得ています。

全ての長引くCOVIDの症状に適切に対処するために、すでに分野横断的なクリニックが開設されています。しかし、検討すべき可能性はたくさん残っています。ノルウェーのチームによる研究は2016年に、ME/CFS患者の一部の細胞は健康な人に比較して効果的にエネルギーを作れず、患者が運動する時に過度な量の老廃物を産生すると発表しています。血液中に運ばれる酸素が少なく、脳や心臓に血液が届いていません。

エクセター医科大学の臨床の上級講師のダビッド・ストレイン医師は、長引くCOVIDでも同じことが起きている可能性があると語ります。「COVIDとME/CFSの疲労症状の類似点は、共通の要因を示唆します。COVIDとME/CFSでは、細胞に栄養を供給し老廃物を除去する小血管が閉塞しているエビデンスがあります。これによって、ブレインフォグ、体を動かせないほどの疲労感、運動できない等の症状を説明できる可能性があります。」

※英語の原文はこちらからご覧頂けます

 

21.1.15東京新聞にコロナ後遺症

1月15日付の東京新聞に、「退院しても終わらない  味覚・嗅覚異常、脱毛…続く後遺症~寝たきりで解雇の例も『国は深刻さ知って』」と題する記事が掲載されました。

息苦しさや体の痛み、脱毛、抑うつ症状―。新型コロナウイルス感染が急拡大する中、後遺症の問題が深刻化しています。多様な症状が続くのが特徴で、体調悪化から寝たきりとなり職場を解雇されるケースも。後遺症に苦しむ人たちは「退院しても終わらないのがコロナの怖さ」「後遺症治療にも支援を」と訴えます。

昨年7月にコロナの陽性が判明した東京都内の20代男性会社員は、半年近くたった今も味覚や嗅覚がなく、「感覚が狂い、自分が自分でないみたい」と話します。友達に感染の事実すら打ち明けられず、外食も楽しめなくなりました。耳鼻科に通い、漢方薬や、アロマオイルをかぐ療法も試しましたが改善しません。国が盛んに言うワクチン接種も既に感染した人には遠い話で、孤立感は強まり、「後遺症の問題や治療薬の開発にも、もっと目を向けてほしい」

都内の40代女性は昨年10月中旬に発症し、11月下旬に突然、頭髪の脱毛が始まり、毎日抜ける毛の量は集めるとゴルフボール大で、髪の量は半分ほどに減りました。ウィッグの購入や漢方治療にも費用がかかります。「退院したら終わり、とならない。職場復帰できないほど、症状が重い人もいる。国には少しでも金銭的な支援を検討してほしい」と、この怖さが広く理解されることを願います。

国立国際医療研究センターの研究班が昨年10月に発表した論文によると、63人の退院患者から回答を得、呼吸苦や嗅覚障害、倦怠感などの症状は、発症から120日たっても続いていることが分かりました。

 

21.1.15東京新聞にコロナ後遺症専門外来

1月15日付の東京新聞の一面トップに、「コロナ後遺症専門外来 聖マリアンナ医大病院が開設へ~倦怠感や息苦しさ フォロー」と題する記事が掲載されました。

新型コロナウイルスの後遺症に特化した「感染症後外来」が18日、川崎市の聖マリアンナ医科大病院に開設されます。大坪毅人病院長は「後遺症の詳しいメカニズムは分かっていないが、各診療科の知見を集めて対応する」と話します。

主に重症のコロナ患者の治療に当たる同病院によると、後遺症は倦怠感、息苦しさ、味覚・嗅覚障害、体の痛み、頭髪が抜ける脱毛、不安感や抑うつ状態などの精神疾患まで、さまざまな症状が報告されています。感染症後外来は、陽性判明後2カ月以上たっても症状が続く16歳以上が対象。他の病院の紹介状が必要で、当面は週1回で運用します。同外来とは別に、肺の損傷や筋力の低下が著しい重症患者の予後をフォローする取り組みも始めます。

総合診療内科の土田助教は「倦怠感や呼吸困難感といった症状は『気のせい』とみなされがち。診療科の多い大学病院ならば、呼吸機能や心臓超音波などさまざまな検査を用いて、客観的な評価ができる」と説明します。精神疾患についても専門看護師や精神科医らと連携し、適切な治療を提供していく方針で、後遺症の解明や治療法の確立も目指します。

コロナ後遺症の専門外来を置く病院は、首都圏では、後遺症も含めた漢方のオンライン外来を昨年8月から始めた北里大東洋医学総合研究所などに限られます。

21.1.13日経メディカルに小児のCOVID神経症状

1月13日の日経メディカルに、「Lancet Child & Adolescent Health誌からSARS-CoV-2感染小児の中枢神経異常の特徴~MRIやCT画像は急性散在性脳脊髄炎などを示唆する」と題する記事が掲載されました。

米国California大学San Francisco校のCamilla E Lindan氏らは、SARS-CoV-2感染小児の中枢神経系の症状について分析するために、世界中から症例データを集めて神経画像データを中心に検討し、それまで健康に成長していた小児でも、SARS-CoV-2感染に関連した急性期または遅発型の中枢神経系異常が見つかったと報告しました。結果は2020年12月15日のLancet Child & Adolescent Health誌電子版に掲載されました。

世界的な患者数の増加と共に、呼吸器以外の臓器や全身性の異常についての報告が増えており、小児でも多臓器炎症症候群(MIS-C)と呼ばれる症例が見つかるようになりました。複数の症例研究をレビューしたところ、MIS-C患者の34%に神経症状が見られたといいます。American Society of Pediatric Neuroradiology(ASPNR)の呼びかけに対して、2020年4月30日~9月8日までに32カ国から429件の返答があり、最終的に、SARS-CoV-2感染に関係する中枢神経障害と判定された小児患者38人を選んで分析しました。

それらの患者を、SARS-CoV-2に曝露したと考えられるタイミングと症状に基づいて、以下の4群に分類しました。急性COVID-19(カテゴリー1;12人)、無症候性の急性または亜急性のSARS-CoV-2感染症(カテゴリー2;8人)、MIS-C(カテゴリー3;11人)、不確定(カテゴリー4;7人)。

カテゴリー1の患者の画像で最も多かったは、自己免疫性と見なされる兆候で、12人中6人(50%)に認められました。カテゴリー2に分類されたのは、受診時にはCOVID-19の症状はありませんでしたが、PCR検査でSARS-CoV-2感染が診断された8人の患者(症例13~20)でした。カテゴリー3に分類されたMIS-C患者11人のうち7人(症例21、23、26~30)は、脳梁膨大部に単独病変があるか、または脳の他の部位にも病変が見られました。カテゴリー4に含まれている7人は、SARS-CoV-2抗体陽性で、神経画像により病変が見つかった患者で、PCR検査を受けた患者も、受けていなかった患者も含まれていました。

これらの結果から著者らは、小児には急性期型と遅発型のSARS-CoV-2に関連する中枢神経異常が見つかったと結論しています。SARS-CoV-2感染に由来すると思われる神経画像には、非定型的なパターンが多く見られ、アウトカムは良好な場合が多いですが、急性期に他の感染症を合併した小児は、既往症がなかったにも関わらず全員が死亡しました。感染が小児の中枢神経系に及ぼす短期的および長期的な影響に関する理解を進めるためには、小児のコホート研究が必要だと著者らは述べています。

原題は「Neuroimaging manifestations in children with SARS-CoV-2 infection: a multinational, multicentre collaborative study」

 

21.1.13日経メディカルにコロナ後遺症

1月13日付の日経メディカルに、「その倦怠感、COVID-19の後遺症かも~軽症でも侮れないCOVID-19」と題する記事が掲載され、国立精神・神経医療研究センターの山村隆先生のコメントが取り上げられました。

海外ではCOVID-19の“後遺症”について、「Long-COVID」として早くから警鐘が鳴らされてきました。2020年7月には、イタリアのグループがJAMA誌に、大学病院にCOVID-19で入院した143例のうち、87.4%で2カ月後も何らかの症状があることを発表。後遺症として最も多かったのは疲労感で、53.1%に見られたといいます。

米国立アレルギー感染症研究所所長のAnthony Fauci氏も同月、国際エイズ学会の記者会見の席上、「COVID-19から回復したにもかかわらず、ブレインフォグや倦怠感、集中力の低下などME/CFSを強く示唆する症状を持っている人がかなりの数いる。これはCOVID-19のウイルス感染による可能性が高い」とコメントしています。実際、MEはウイルス感染後に発症する例があることが知られており、カナダでは2003年のSARSの流行後には、集中治療を受けた107人のうち87%にME/CFSに酷似した症状を発症していたことが報告されています。

国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部特任研究部長で、AMEDのME/CFSの研究班班長を務める山村隆氏も、「今回、COVID-19の回復後に体調を崩した人の話を聞くと、職場や学校に戻って休んだ分を取り戻そうとして発症するケースが何例もある。ME/CFSの確定診断は基本的に症状が半年以上続く必要があるが、相当ひどい症状が出ていれば、COVID-19の後遺症として半年以上経過していなくてもME/CFSと考えてよいと思っている」と話します。

山村氏は今後、各種の画像検査などによって、既存のME/CFSと、COVID-19の後遺症としてのME/CFSが同じかどうかを明らかにしていく予定だといいます。もっとも、ME/CFSは現在、診断基準こそあるものの確立した治療法がなく、COVID-19の後遺症についても同様です。

山村氏が行っているのは体力や気力を補う漢方薬、睡眠障害に対する睡眠導入剤の投与です。ただし、「漢方薬については、実際にどの程度効果があるかは分からない」。また、ME/CFSでは脳血流が低下すると知られているため、アデノシン三リン酸のような脳血流を増やす薬を投与したり、痛みを訴える患者に対しては対症療法を行っています。

「上咽頭擦過療法を行うことで症状が多少楽になったという患者もいる」。睡眠障害に対しては通常のベンゾジアゼピン系薬剤を処方しているものの、ME/CFSの患者では不眠状態から急に24時間の睡眠状態に陥ることがあるため、まずは短時間作用型を投与しているといいます。他に、ステロイドの投与により急速に回復した例もあったものの、「まだエビデンスが乏しく、全例に勧められるものではない」

COVID-19の後遺症としてME/CFSのような症状を示す患者が無理に身体を動かすことに対して強い懸念を示します。「治療の方向性が明らかになるまでは、無理して動いたり働いたりするなというメッセージを伝え、様子を見ながら付き合っていくことになるのだろう」。

ドイツなどではCOVID-19で亡くなった患者の脳の解剖なども行われており、今後、急速に研究が進んでいくことが期待されます。「医師に求められているのは、情報を随時確認しながら、最善のことを行うことではないか」と山村氏は話しています。

 

21.1.13朝日新聞に武漢での後遺症調査の記事

1月13日付の朝日新聞に、「患者7割 後遺症か~武漢拠点病院 新型コロナ」と題する記事が掲載されました。

新型コロナウイルスの感染症が最初に拡大した中国・武漢の医師らでつくる研究チームが、拠点病院の患者約1700人の7割以上に退院から半年が経っても後遺症とみられる症状があったとの県空結果を英医学誌ランセット(電子版)に発表しました。

研究チームは、昨年1~5月に退院した人を対象に、退院日からおよそ半年がたった時点で診察と身体検査、6分間の歩行テストを実施。結果が得られた約1700人のうち、何らかの症状があった人は76%に上りました。最も多かったのは「倦怠感や筋力低下」(63%)で、「睡眠障害」(26%)が続きました。こうした傾向は、「SARS患者の追跡調査と一致する」としています。