21.9.7産経新聞にコロナ後のME/CFS

9月7日付の産経新聞に、「コロナ後遺症 長期化ケース~感染時軽症 悪化…寝たきりも」と題する記事が掲載されました。新型コロナウイルスに感染後、深刻な後遺症を抱える患者が後を絶たちません。感染時の症状は比較的軽くても痛みや倦怠感などが長期間続き、寝たきり状態まで悪化するケースがあり、治療が困難な神経系疾患との関連も疑われます。

昨春から約1年半にわたり、倦怠感などを抱え、今も仕事を休職している埼玉県の男性会社員(51)は「職場への完全復帰は難しい」とつらい胸の内を明かします。症状当時、PCR検査を受けられず、しばらくすると嗅覚障害や睡眠障害、抜け毛などの症状も表れました。数カ月たっても倦怠感などの症状は改善しないまま、無理を強いて仕事を続けていました。

不安が募り複数の診療科を受診しましたが、異常は見つからず、後遺症外来を昨年9月に訪れ、検査では陰性だったものの、新型コロナに感染していた可能性が高いと指摘されました。昨年12月に別の医療機関でも同様の指摘を受け、「筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME・CFS)」と診断されました。

国立精神・神経医療研究センターの山村隆特任研究部長によりますと、ME・CFSはウイルス性の感染症の流行とともに患者が増えることで知られ、2003年にSARSの感染者が相次いだカナダでも、患者が確認されたといいます。国外ではすでに新型コロナの感染拡大下で、ME・CFSが増加しているとの報告もあります。新型コロナ感染との科学的な因果関係は明らかになっていませんが、山村氏は「新型コロナへの感染で免疫機能が過剰に反応し、脳に炎症が起こることで、さまざまな症状が引き起こされているのではないか」と推測します。

発症後、心身に大きな負荷をかけた後に症状が悪化することがあり、介護が必要になるケースもあり、「無理をして元の生活に戻したことで起き上がれなくなり、数カ月間オムツをして介護を受けることになった方もいる」(山村氏)

重症化予防には安静と早期発見が重要ですが、国内に専門医は少なく、患者団体のNPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」によると、医師に症状を訴えても取り合ってもらえず医療機関を渡り歩く患者は多いです。篠原理事長は「国は新型コロナがME・CFSの引き金となる可能性を早急に調査し、診療体制を整備してほしい」と訴えます。

感染第5波で軽症者の多くが自宅療養を強いられる中、一定期間を経ても残る症状が見落とされている恐れもあります。山村氏は「社会復帰に当たっては、決して無理をしない。回復後も少しずつ仕事をこなすなど個々のペースで生活する意識や職場の環境づくりが重要になる」と強調しました。

筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME・CFS) 世界保健機関(WHO)は「神経系疾患」に分類。発症原因は特定されておらず、根治につながる治療法も確立されていません。平成26年度の厚生労働省の調査では、約3割が重症患者でした。