21.6.12Business Journalにコロナ後のME

6月12日付のBusiness Journalに、「激しい倦怠感で日常生活に支障、『慢性疲労症候群』の可能性…病院でも理解されず悪化も」と題する記事が掲載されました。

今まで一部の人が患う難病ととらえられてきた「慢性疲労症候群」(別名・筋痛性脳脊髄炎)が、新型コロナウイルスの感染拡大によって私たちに身近になってきています。ウイルス発症者の後遺症として、慢性疲労症候群に似た症状に苦しむ人が国内外で多くいることが明らかになっています。

欧米ではすでに、新型コロナウイルスが慢性疲労症候群の引き金になる可能性があると多くの専門家が警告しており、研究も始まっています。国内に10万人の患者がいると推定されているにもかかわらず、日本では欧米に比べて認知度が低く、専門医も少ないのが現状です。

山梨県に住むA子さん(34歳)が体調を崩すようになったのは、21歳のときでした。仕事を終えて帰宅しても体が鉛のように重く、シャワーを浴びる余力も残っていませんでした。働くことを断念せざるを得なくなり、25歳の時に生活保護を申請しました。申請は通ったものの、検査をしても体の異常が見つからないため、福祉事務所には「怠けている、または、精神的な疾患ではないか」と疑われました。

2019年11月、インターネットテレビ番組に登場した慢性疲労症候群という病気を患う患者の症状が、自分と酷似していました。発症から10年以上たって、やっとA子さんは専門医のいる病院を探して、現在通院中です。

慢性疲労症候群と聞くと、「休養すれば治る」と思われがちですが、極度の疲労感や倦怠感、全身の痛み、睡眠障害、思考力・集中力の低下などの症状がある神経系疾患で、日常生活に支障を来します。発症後に仕事を継続できたのは2%にとどまり、重症の場合にはほとんど寝たきり状態になります。有効な治療法がなく、何十年もこの病と闘っている患者も少なくありません。現段階では原因が特定されていませんが、歴史的に見ると、SARSなどウイルス疾患の集団発生後に多発しているという事実があります。

「慢性疲労症候群」と「筋痛性脳脊髄炎」の2つの呼び名があり、日本では今まで慢性疲労症候群と呼ばれてきたが、筋痛性脳脊髄炎の会によれば、11年に発表された「国際的合意に基づく診断基準」には、筋痛性脳脊髄炎という病名のほうが正確であると明記されているといいます。

筋痛性脳脊髄炎の会では昨年5月31日より3カ月間、新型コロナウイルス後に体調不良が続いている人を対象にウェブ上でアンケートを実施しました。326人の回答者のうち、慢性疲労症候群に似た症状を呈した人は91人、全体の約28%で、その後専門医による診察を経て、5人に慢性疲労症候群の確定診断が下りました。

この病気の診断基準を満たすためには症状が半年以上続く必要があることや、慢性疲労症候群を疑われた人全員が専門医を受診できたわけではないという状況から、10月の時点で診断にまでたどり着いたアンケートの回答者はそれほど多くなかったと推察されます。つまり、発症した人は「5人」ではなく、「少なくとも5人」ということになります。

重症者だから後遺症が残るというわけではなく、軽症者でも後遺症に苦しむ患者も少なくないと聞きます。重症化のリスクが少ないため気にしない若者が多いかもしれませんが、後遺症のリスクは知っておいたほうがいいのではないでしょうか。