21.5.11日経メディカルにコロナ患者の神経疾患

5月11日付の日経メディカルに、「COVID-19患者は神経/精神疾患のリスクも高い~COVID-19の診断から6カ月間の発症率を他の呼吸器疾患と比較」と題する記事が掲載されました。

英国Oxford大学のMaxime Taquet氏らは、14種類の神経疾患と精神疾患について、COVID-19患者の後遺症としての発症リスクを調べるためのコホート研究を行い、インフルエンザやCOVID-19以外の呼吸器感染症から回復した患者に比べ、COVID-19患者では診断から6カ月間に神経/精神疾患を発症するリスクが有意に増加していたと報告し、結果は2021年4月6日のLancet Psychiatry誌電子版に掲載されました。

COVID-19パンデミックが宣言された当初から、COVID-19患者では神経系の後遺症が懸念されていた。その後、COVID-19が中枢神経系に及ぼす影響が報告され、気分障害や不安障害の発症リスクが高いことなども報告されるようになりました。


著者らは、COVID-19の診断から6カ月間の、神経疾患と精神疾患の発症率を調べ、別の呼吸器感染症を経験した人々の発症率と比較して相対リスクを推定するために、後ろ向きコホート研究を行いました。加えて、COVID-19の重症度の代替指標として、入院またはITU(ICUとほぼ同義)に入院した患者を対象とする分析と、COVID-19の合併症の中で脳に有害な影響をもたらす可能性が高い脳症を経験した患者を対象とする分析も行いました。

COVID-19の診断から6カ月以内の、以下の14の神経疾患と精神疾患の発症の有無を調べました。頭蓋内出血、脳梗塞、パーキンソン病/パーキンソン症候群、ギランバレー症候群、神経/神経根/神経叢疾患、神経筋接合部/筋疾患、脳炎、認知症、精神病性/気分/不安障害、物質使用障害、不眠症。COVID-19または呼吸器感染症を発症する前から既にパーキンソン病などの慢性疾患と診断されていた患者は、分析から除外しました。


COVID-19の診断から6カ月間に、14種類の疾患のどれかと診断されていた割合は、33.62%でした。入院治療を受けたサブグループでは、その割合は38.73%で、ITU入院を経験した患者では46.42%、脳症患者では62.34%でした。COVID-19コホートの個々の疾患ごとに発症率は、頭蓋内出血が0.56%、脳梗塞が2.10%、パーキンソン病/パーキンソン症候群が0.11%、認知症が0.67%、精神病性障害が1.40%、不安障害が17.39%などでした。

インフルエンザ後の患者コホートとの比較では、パーキンソン病/パーキンソン症候群と、ギランバレー症候群は有意差を示しませんでしたが、その他の疾患はどれもハザード比の下限が1を超えていました。また、呼吸器感染症を経験した患者コホートと比較すると、全ての疾患の発症リスクがCOVID-19患者のコホートで有意に高かったです。

これらの結果から著者らは、COVID-19の診断から6カ月間は、この呼吸器疾患患者に比べ精神疾患と神経疾患の発症リスクが高く、COVID-19の症状が重度だった患者ほどリスクが増加していたと結論しています。そのため後遺症としての神経/精神疾患の発症を予想して、臨床現場が対応できるよう準備する必要があると述べています。