21.4.30RareS.に免疫バイオマーカの論文

4月30日付のRareS.(難病・希少疾患情報サイト)に、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の新たな免疫異常を発見、診断に有用な血液診断マーカーとして期待」と題する記事が掲載されました。

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は4月27日、ME/CFSの新たな免疫異常を発見し、その異常が診断に有用な血液診断マーカーとなりうることを発見したと発表しました。この研究は、同センター神経研究所免疫研究部の佐藤和貴郎室長、山村隆部長らの研究グループによるもので、医学誌「Brain Behavior and Immunity」オンライン版に4月27日付で掲載されました。ME/CFSにおける感染と免疫病態の関連性の理解につながるものであり、同疾患の客観的診断法の確立や治療薬開発への応用が期待されます。

ME/CFSの診断は、なかなか診断がつかないケースも多く、その理由として、血液検査や画像検査では異常が出ないことがあげられます。その一方で近年、脳内炎症を示す研究論文や免疫治療の有効性を示唆する報告が発表され、世界的にME/CFSの研究が活性化しています。

感染症様エピソードとB細胞受容体(BCR)の関係について調べたところ、IGHV3-30(および3-30-3)を持つBCRファミリーを持つ患者さんは、感染症様エピソードのあとME/CFSを発症し、発症後の期間が比較的短い患者さんでとくに多いことが判明したそうです。さらにBCRが抗原と結合する部位として重要なCDR3(相補性決定領域3)について調べたところ、特定の長さのCDR3をもつIGHV3-30(3-30-3)が増えていることが確認でき、抗原によって選択されたことが強く示唆されました。

ただ、IGHV3-30(および3-30-3)は、インフルエンザウイルスやマラリア、COVID-19感染症によって誘導されやすいB細胞受容体で、多様な病原体がこのB細胞受容体をもつB細胞に反応すると考えられるため、「抗原」は必ずしも病原体由来とは限らず、自己由来、腸内細菌など共生微生物由来である可能性も考えられることから、今後の検討が必要としています。