国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所免疫研究部の山村隆部長や佐藤和貴郎室長らの研究グループは、ME/CFSの新たな免疫異常を発見し、それが診断に有用な血液診断マーカーとなりうることを発見しました。
研究グループはリンパ球の一種であるB細胞に着目した研究を展開し、B細胞受容体(BCR)レパトア解析という手法を用い、特定のB細胞受容体が患者群で増加していること、この解析法が診断マーカーとしても有用であることを突き止めました。この研究成果は、ME/CFSにおける感染と免疫病態の関連性の理解につながるものであり、ME/CFSの客観的診断法の確立や治療薬開発への応用が期待されます。
この研究成果は、2021年4月27日に「Brain Behavior and Immunity」オンライン版に掲載されました。当日は掲載時刻に合わせ、記者発表会がWEBで開催され、多くのメディアの方が取材して下さいました。
研究成果のまとめ
・ME/CFS患者では特定のB細胞受容体(BCR)ファミリーが血液中で増加
・感染症様エピソード後の発症と関連するBCRファミリーの同定
・ME/CFS患者のプラズマプラスではインターフェロン誘導遺伝子の発現が増加
・BCRレパトア解析はME/CFSの診断バイオマーカーとなりうる
論文名:Skewing of the B cell receptor repertoire in myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome
著者名:Wakiro Sato, Hirohiko Ono, Takaji Matsutani, Masakazu Nakamura, Isu Shin, Keiko Amano, Ryuji Suzuki and Takashi Yamamura
雑誌:Brain Behavior and Immunity
DOI:https://doi.org/10.1016/j.bbi.2021.03.023
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