21.2.24立憲民主党難病PTが総会開催

2月24日に衆議院第一議員会館において、立憲民主党障がい・難病PTの総会が開催され、 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所免疫研究部特任部長の山村隆先生より、 「COVID-19の後遺症としてME/CFSを発症する可能性について」と題して医学的情報が提供されましたので、ご紹介致します。先生は神経免疫学が専門の神経内科専門医で、NCNPでは多発性硬化症センター長も兼務され、国際神経免疫学会理事、日本神経免疫学会理事でもあり、米国臨床免疫学会前副会長等も務められました。

出席された議員の方は、阿部知子議員、石橋通宏議員、打越さく良議員、尾辻かな子議員、金子恵実議員、川田龍平議員、原口一博議員、山花郁夫議員、横沢高徳議員、早稲田夕季議員(50音順)。その他、多くの秘書の方や、厚労省より健康局難病対策課課長補佐と大臣官房厚生科学課参事官が出席されました。当会の篠原理事長は感染予防のため出席は叶いませんでした。

COVID-19感染で武漢の病院に入院した重症患者の退院後の調査では、半年経過しても4分の3に疲労や筋力低下などの症状が残っていたとする論文が、今年1月に医学誌「ランセット」に発表されました。

1月13日付の日経メディカルには、「その倦怠感、COVID-19の後遺症かも」と題する記事が掲載され、山村先生のコメントも取り上げられました。「ME/CFSには現在、診断基準こそあるものの、確立した治療法がなく、COVID-19の後遺症についても同様です。」

海外ではCOVID-19の“後遺症”について、『Long-COVID』として早くから警鐘が鳴らされてきました。2020年7月には、イタリアのグループがJAMA誌に、大学病院にCOVID-19で入院した143例のうち、87.4%で2カ月後も何らかの症状があることを発表。後遺症として最も多かったのは疲労感で、53.1%に見られたといいます。

米国立アレルギー感染症研究所のAnthony Fauci所長も、『COVID-19から回復したにもかかわらず、ブレインフォグや倦怠感、集中力の低下などME/CFSを強く示唆する症状を持っている人がかなりの数いる。これはCOVID-19のウイルス感染による可能性が高い』とコメントしています。実際、MEはウイルス感染後に発症する例があることが知られており、カナダでは2003年のSARSの流行後には、集中治療を受けた107人のうち87%にME/CFSに酷似した症状を発症していたことが報告されています。(日経メディカルより)

都内で後遺症の治療に当たっているクリニックの調査では、82%の人が思考力低下を訴えています。後遺症には様々な症状がありますが、中でも倦怠感、記憶障害などは、脳内の異常によるものです。

ME/CFSの中核症状である「激しい疲労」「労作後の消耗」「睡眠障害」「思考力・集中力・記憶力低下」「起立不耐性」は、脳機能の異常を反映しています。その他、光・音・においに対する過敏症、消化器症状、体温調節障害、関節・筋肉痛、食品・化学物質過敏症などの症状もあります。

ME/CFSは1934年にロサンジェルスで集団発生。1955年のロンドンでの集団発生後に筋痛性脳脊髄炎の病名が提案されました。1984年のネバダ州での集団発生後に慢性疲労症候群の病名が採択。2003年のSARSの流行後に香港やカナダで集団発生しています。

2014年に厚生労働省による患者の実態調査が行われました。発症の契機は、急性感染症が34.4%、急な発熱が30.0%。発症時の中心的な自覚症状は、リンパ節痛が83.6%、疲労が92.0%、睡眠障害が90.4%、集中力低下が80.4%、体温調節障害が78.0%等でした。日常生活上の身の回りのことができずに介助を要する重症の方が30.2%、立位保持や歩行困難な方が43.1%という、深刻な実態が明らかになっています。

国立精神・神経医療研究センター病院においてME/CFSと診断された42名の患者さんにおいて、MRI画像を用いた構造ネットワーク解析を行い、抗自律神経受容体抗体価との関連について調べた結果、抗β1および抗β2アドレナリン受容体抗体が、ME/CFS患者の痛みを始めとする様々な症状を説明しうる脳内の特定の部位の異常と結びついていることが明らかになりました。

次世代シークエンサーを用いて、B細胞受容体のシークエンスを網羅的に解析したところ、B細胞クローナリティーの増加、免疫グロブリンH鎖で特定の遺伝子の使用が多いことが確認されました。医療のレベルを格段に高めるためには、ME/CFSの明確なバイオマーカーに基づく診断が必要で、私達はB細胞免疫グロブリン遺伝子解析によるME/CFS診断技術の開発を進め、成果が挙がりつつあります。