21.2.25朝日デジタル論座にCOVIDとME

2月25日付の「論座」(朝日新聞社の言論サイト)に、「新型コロナワクチンの接種開始で知っておいて頂きたいこと」と題する記事が掲載されました。サブタイトルは「コロナ感染後遺症の深刻さと、体質や病気で打ちたくても打てない人のこと」。執筆は、星槎大学副学長の細田満和子教授。

新型コロナのワクチンが日本各地に到着し、医療従事者を対象に接種が始まりました。予防接種のリスクとしては、長期的な効能や副作用について十分に知られていないことなどが挙げられます。ベネフィットとしては、新型コロナにかかりづらくなることや、後遺症に苦しまなくても済むことなどが挙げられます。後遺症については、時間の経過とともにさまざまなことがわかってきました。本稿では、後遺症について現在明らかになっていることをできる限り紹介し、ワクチン接種を判断する情報の一つになればと思います。

新型コロナの深刻な後遺症も問題になっています。代表的なのは、強い倦怠感が続いたり、ちょっとした労作で極度の疲労を感じるようになったり、頭の中に霧がかかった状態になったりするような症状です。これは、一般に筋痛性脳脊髄炎(かつては慢性疲労症候群と言われていた)と診断される病気の症状に近いです。

米国立保健研究所(NIH)の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長であるアンソニー・ファウチ氏は、いち早く2020年7月9日に「新型コロナ後に長引く症状は、筋痛性脳脊髄炎の症状に似ている」と発言しました。ファウチ氏によると、相当数の患者が新型コロナ感染後に長期にわたる疲労症候群を発症するエビデンスがあるといいます。

また英国国立衛生研究所(NHSR)は、フェイスブック上にある長期コロナ(Long Covid)支援グループのメンバー14人への聞き取り調査と最新の研究資料によって、体のあらゆる部分に新型コロナが影響を及ぼしていることを明らかにしました。2020年10月に発表されたこの研究によると、新型コロナの後遺症には4つのパターンがあり、その一つがウイルス感染後疲労症候群です。ちなみに、他の3つのパターンとは、COVID-19の症状持続のほか、肺と心臓への恒久的な臓器障害と集中治療後症候群です。こうした症状は、重症で長期入院した人に限らず、軽症だったり、検査も陽性診断も受けたことのなかったりする無症状の人にもでる可能性があるといいます。

日経メディカルの1月13日の記事では、コロナで通院していた病院にコロナの後遺症を訴えても、「気のせいだと言われて困っている」という患者の様子が書かれました。都内のクリニックには、コロナから回復したはずの患者から、倦怠感や睡眠障害を訴える声が日々寄せられているといいます。

2021年1月28日にはAERAdot.に、「40代男性の告白『自殺を考えた』 ”コロナ後遺症”に悩む患者の深刻な現実」と題する記事が載りました。コロナ後遺症の40代男性患者は、入院時の担当医を受診しても「あとはメンタルの問題」と言われ、インターネットで症状を調べ続け、自分は「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」なのではないかと思ったといいます。

ワクチンを接種するかしないかは、一人ひとりの判断で決めることです。筆者は、日本で接種が始まったワクチンはベネフィットがリスクを大きく上回ると考えています。ただ、自分にとってのベネフィットとリスクだけ考えて判断して頂きたくないとも思います。体質や病気によってワクチンを打ちたくても打てない人がいる。そうした人たちをコロナ感染から守るには、周りのみんながワクチンを打っている状況を作り出す必要があります。「集団免疫」によって感染を封じ込めるのです。

この意味で、ワクチン接種は、他者をどのくらい思いやることができるかと、私たちの社会が試されているといってよいでしょう。