21.2.13ME/CFS患者の困難さを描く本出版

2月22日の出版に先立ち、「診断の社会学~『係争中の病』を患うということ」(慶応大学出版会)と題する本を、著者である大阪大学大学院人間科学研究科助教の野島那津子さんに謹呈して頂きましたのでご紹介致します。野島さんには2013年~14年くらいにかけて、会員の患者さんをご紹介させて頂きました。

本の「帯」には、「『そんな病気はありません』 痛みや苦しみを患いながらも、医療者によって『疾患』を診断されず、あるいは診断を受けても、他者から『病い』を認められない。そんな『病い』を生きる人びとの生の困難と希望を描く」と書かれています。

表紙の裏には、「本書では、『痙攣性発声障害』『筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群』『線維筋痛症』という3つの『論争中の病』を取り上げ、50名弱の患者への聞き取り調査などから、当事者が抱える深刻な困難や社会的経験の分析を行う。ここでいう『論争中の病』とは、生物医学的エビデンスを欠いているために、病気の実在性に疑義が呈され、患いの正統化をめぐって医療専門家と患者、医療専門家同士、あるいは患者をめぐる周囲の人びとや世論も加わって『論争』が生じている病を指す。

患いに名前を与えられず、名前を与えられるだけでは必ずしも苦しみを緩和されない『論争中の病』を患う人びとが、この社会で直面する困難や医療に対する希望を、私たちはどのように理解することができるのか。当事者へのインタビュー調査から、彼らが抱える困難や病名診断が当事者に与える影響を明らかにする」と書かれています。

序章には、「患っているにもかかわらず、その状態に対して適切な診断が下されなければ、病むこと――病人であろうとすること――をしばしば容易には許されない私たちの社会において、診断はきわめて重要な出来事でありプロセスである。・・・・この国ないし社会において彼ら(患者)がどのような困難を抱えているか、また、診断をめぐる問題とは何であるのか、その実態が十分に明らかにされているとはいえない。・・・本書は、論争中の病の病名診断が当事者に与える影響を、病気や病人をめぐる既存の社会学的議論や時間的・対他的変動も考慮しながら分析することで、論争中の病を患う人びとの困難および診断の経験を、より多面的に描きだすことを目指すものである」と書かれています。

第4章「何もできることはないけど愚痴なら聞きに来ます」、第5章「そんな病気はありません」で、具体的にME/CFS患者の実例が取り上げられています。