21.1.29MDPIにME/CFSのプロテオームの論文

1月29付のMDPI(スイスの出版社)に、「ME/CFSの血漿プロテオームの詳細な解析によりeph/エフリンシグナル伝達と免疫系シグナル伝達が中断していることを暴露」と題する論文発表されました。論文の最終著者はコーネル大学分子生物学&遺伝学部のモリーン・ハンソン教授です。

要約
ME/CFSにおける分子の中断に関する洞察を得るために、我々はアブタマ―(特定の分子と特異的に結合する核酸分子やペプチド)を基礎とする科学技術を用いた。それは、4790個の特有のヒト・タンパク質を数量化するもので、9ログ・ダイナミック・レンジにおいて非常に豊富な蛋白質及び稀な蛋白質を検出し、ME/CFSでは今までで最大のプロテオミクスのデータセットを得ることを可能にした。全員女性の、20人のME/CFS患者と20人の対象群のパイロット・スタディについて報告する。患者と対象群の間に見られる、19個の蛋白質のレベルの有意な差は、細胞外マトリックス、免疫系、細胞間のコミュニケーションに関する経路を暗示する。

経路の出力とクラスター分析は、エフリン経路を強く強調している。それは、軸索ガイダンス、血管形成、上皮細胞の移動、免疫応答を含む、細胞間のシグナル伝達や広範囲の様々は生物学的プロセスの調整に関与している。ROC曲線(受信者動作特性曲線)解析は、ME/CFS患者と対象群の血漿プロテオームを高精度で区別し、蛋白比を用いるとさらに高精度で区別する。そこには、実証された生物学的妥当性のあるいくつかの蛋白質ペアが含まれている。我々の研究結果は、ME/CFSの診断と分子的基盤を解読するために、血漿プロテオームが有望であることを示している。

結論
この予備的研究において、我々のコホートは小規模であったが、対象群に比べて患者群において著しく相違する、あるいは強く影響を受けるレベルで、蛋白質を検出することができた。ME/CFS患者と対象群間において個別の分類指標0.85以上で9つの蛋白質、及び分類指標0.92以上の9つの蛋白比を同定した。実際、ME/CFSの診断検査は、疲労や体調不良を訴えていない患者には用いられないだろう。これらの蛋白質の差異は、うつ病、癌、慢性ライム病などのME/CFSと混同される可能性のある疲労性疾患に対して検査される必要がある。疲労や体調不良を呈していない個人を除外することで、感受性や特殊性がどのように影響を受けるのかを確定するために、こうした研究が必要である。

概括すると、これらの望みを与える結果は、分子的基盤がまだ不明瞭である疾患を調査する上での、大規模研究の力を示している。