21.2.4日経メディカルに「ポスコロ症候群」

2月4日の日経メディカルに、「今こそ医療機関も『ポスコロ症候群』に対応する準備を」(國松淳和先生:南多摩病院総合内科・膠原病内科)と題する記事が掲載されました。

厚生労働省が示している「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第4.1版 」では、退院時(隔離解除時)に症状が完璧に無くなっていることを前提にしておらず、「コロナウイルスが体から排出して他人へうつるリスクはないが、当人に症状がまだ続いている」という状況です。

COVID-19の後遺症は下記の4つの病態が複合的に絡み合った病態とされています。
(1) 肺、心臓への恒久的障害
(2) 集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)
(3) ウイルス後疲労症候群(post-viral fatigue syndrome)
(4) 持続するCOVID-19の症状

 (3)、(4)に相当するか、これに近い人たちが今後増え、それらの症状にうまく対処されないままでいることを懸念しています。例えば、実際にCOVID-19にかかり、「『もう大丈夫』と病院や保健所からは言われたけどまだ症状があるし心配だ」という人。その心配を、近所の人や知人、職場や学校などに言うことができずにいる人。またその心配を聞かされた身内・家族、あるいは友人。COVID-19にかかったことが近所・地域の人や周囲の人や遠い親戚などに無用に知れ渡り、しかもその人らに合理的な根拠のない偏見の言葉を言われたり、感染源のような扱いを受けたりした人。おおむね日常生活は普通に送れるけれど、微妙に嗅覚が戻らなかったり、気落ちしたりしてしまい、日々の生活がいまだにさえない人。

“post COVID-19”(ポスコロと略す)の症状について、米国感染症学会が提供する情報サイトでは、「重症ではなかったが症状はあったCOVID-19にかかった後の、一連の諸症状」となると思います。日々、診療する中でポスコロ症候群にはいくつかのパターンがあると感じており、以下に、そのパターンと対応方法について記します。

(1)かぜ症状が続く人
 これは、咳、咽頭痛、たん、鼻水・鼻づまりといった症状がじとっと続いている感じです。その場合、対症療法を行います。行う対症療法は普通のものです。特にCOVID-19だから特殊な対処があるわけではありません。

(2)味覚・嗅覚が低下している人
 回復のスピードが非常にまちまちです。個人的には、あまりまだ特効薬的な治療法を見いだせていません。現時点では嗅覚について、神経性嗅覚障害に対して漢方薬を投与して有効だったという知見を応用して、当帰芍薬散や加味帰脾湯などを試してみてはいます。

(3)気道過敏・アレルギーのような症状が残る人
 これは咳がずっと続いている人のイメージです。基本、咳の患者さんには胸のレントゲンはとります。アレルギーを抑える治療も考えると思います。

(4)咳反射亢進状態
 この診断・治療は普通は難しく、疑った際には呼吸器内科専門医への紹介が必要になるかもしれません。私が治療する際はプレガバリンを処方し、咳の反射が過敏になってしまっているのを抑える治療を試みています。

(5)微熱・体力低下・意欲減退・疲労感
1人ひとり、症状や困っている内容が異なるため、これらに対する画一的な治療はありません。この(5)については、つらい症状や、その人が同時に持っている病気(例えば片頭痛、便秘症、不眠症、過敏性腸症候群、月経困難症、頸椎症、過活動膀胱など、他なんでも)の全てにまず取り組むようにしています。

COVID-19に感染した人たちは、命に別条なく隔離期間を終えても、さまざまな苦痛を内に秘めて暮らしています。その苦痛の内訳が「症状」であるならば、医療機関の出番だと思っています。命に別条のない軽微な不快症状、あるいは呼吸・循環や神経などの重要システムには影響のない後遺症も、社会不安と相まって増幅しコロナ感染者に“感染症以上の”影響を及ぼしかねないです。皆で力を合わせたいところです。