21.1.4Daily Mailにコロナ後遺症と運動療法

1月4日付のThe Daily Newsに、「体を動かせないほどの疲労感にも関わらず運動しろと言われ、『否定的な考え』を追い払えと助言され…長引くCOVIDの治療法は間違っていると医師達が考えるのは当然です」と題する記事が掲載されました。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの医療情報学の専門家であるブレンダン・ディラニ―教授は、毎週日曜日には自転車で80マイル走っていましたが、イギリスで6万人が発症していると考えられている長引くCOVIDを発症してから、電話で患者と話すことすらチャレンジと感じます。体調が良い時もありますが、その後、また再発します。3ヶ月後の6月に、パートタイムとしてやっと復職することができましたが、未だにブレインフォグがあります。

長引く疲労に対する公式の治療法は段階的運動療法です。現在、これが長引くCOVIDの患者にも推奨されており、毎日少しずつ運動量を増やしていくものです。英国国民保健サービスのCOVIDからの回復というHPには、「病院から退院したら、なるべく早く活動的になることが重要です…少なくとも週に5回は、30分の運動ができるように運動を増やすべきです」と提案しています。しかし、電話をかけるだけで体が衰弱する人にとって、それは巨大な仕事に思えます。

この運動療法は、20年近くME/CFS患者に処方されてきました。患者が運動後に体調が悪化すると訴えると、運動できないと間違って信じていると言われ、その結果、段階的運動療法はその間違った考え方を捨てるために、認知行動療法とよく組み合わされていました。

去年の11月に治療法を監視する英国国立医療技術評価機構が、段階的運動療法を推薦から外し、全く逆の治療法に替えるとするMEのガイドラインの草稿を発表しました。これは、ME/CFS患者にとって良いニュースでした。今患者達は、症状が悪化しないレベルで、簡単にできると感じる程度に運動するように言われています。

ディラニ―教授は段階的運動療法を試してみましたが、その結果、再び熱がでて症状がひどく悪化しました。もう一人の長引くCOVID患者であるポール・ガーナ―教授は、コクラン共同計画の上級メンバーですが、長期に及ぶ疲労についての治療法のデータベースを調べた時にショックを受けました。「役に立たない否定的な考え方に挑むために認知行動療法が必要だと書いてありました。これを読んだのは10分間、自転車に乗った後に3日間体調が悪化したすぐ後でした。それは否定的な考え方による結果ではありません。」

7月には、ディラニ―教授やガーナー教授を含む長引くCOVIDの多くの医師達が、自分達の経験を語り、代替の治療法を議論するオンラインのサポートグループを立ち上げました。サポートグループの医師達はそれぞれ違う症状でしたが、自分のペースで行動することが役立ったと、ガーナー教授は語ります。「私たちは、これこそME/CFS患者が段階的運動療法によって苦しんできたことだと気が付きました。」

ME/CFS患者の活動家達は、以前のガイドラインが出された2007年から、段階的運動療法は効果がなく患者に大きな害を与える可能性があると警告してきたと、「MEのためのサイエンス」というオンライングループの共同創立者のアンディ・デヴェロウクック氏は語ります。

簡単にできると感じるレベルの運動にとどめる「ペースの調整」のほうがずっと役立つことが、患者の調査によって繰り返し明らかになっています。2017年に健康心理学会誌に発表された1400人以上の患者調査では、運動中に「ペースの調整」をすると症状が改善したと、44%が報告しています。

「最終的に私のような患者の啓発活動家がアカデミックなサポートを十分に得て、英国国立医療技術評価機構のガイドライン作成委員会の一員として招待された」と、デヴェロウクック氏は説明します。この委員会は、患者の疲労は心理的なものと説明してきた結果、患者に汚名をきせ偏見を助長したガイドラインをやめるべきであるとコメントしました。

英国国立医療技術評価機の専門家達は、極度の疲労は変異したエネルギー代謝の結果であることや、本質的に「ペースの調整」であり、ガイドライン草稿に使われる新しい表現、つまり患者は「エネルギーの許容量」を超えるべきではないという主張を受け入れました。新しいガイドラインはME/CFSに特定されていますが、慢性疲労の治療に対するもっと優しいアプローチは、長引くCOVIDの犠牲になった医師達から強い支持を得ています。

全ての長引くCOVIDの症状に適切に対処するために、すでに分野横断的なクリニックが開設されています。しかし、検討すべき可能性はたくさん残っています。ノルウェーのチームによる研究は2016年に、ME/CFS患者の一部の細胞は健康な人に比較して効果的にエネルギーを作れず、患者が運動する時に過度な量の老廃物を産生すると発表しています。血液中に運ばれる酸素が少なく、脳や心臓に血液が届いていません。

エクセター医科大学の臨床の上級講師のダビッド・ストレイン医師は、長引くCOVIDでも同じことが起きている可能性があると語ります。「COVIDとME/CFSの疲労症状の類似点は、共通の要因を示唆します。COVIDとME/CFSでは、細胞に栄養を供給し老廃物を除去する小血管が閉塞しているエビデンスがあります。これによって、ブレインフォグ、体を動かせないほどの疲労感、運動できない等の症状を説明できる可能性があります。」