21.1.13日経メディカルにコロナ後遺症

1月13日付の日経メディカルに、「その倦怠感、COVID-19の後遺症かも~軽症でも侮れないCOVID-19」と題する記事が掲載され、国立精神・神経医療研究センターの山村隆先生のコメントが取り上げられました。

海外ではCOVID-19の“後遺症”について、「Long-COVID」として早くから警鐘が鳴らされてきました。2020年7月には、イタリアのグループがJAMA誌に、大学病院にCOVID-19で入院した143例のうち、87.4%で2カ月後も何らかの症状があることを発表。後遺症として最も多かったのは疲労感で、53.1%に見られたといいます。

米国立アレルギー感染症研究所所長のAnthony Fauci氏も同月、国際エイズ学会の記者会見の席上、「COVID-19から回復したにもかかわらず、ブレインフォグや倦怠感、集中力の低下などME/CFSを強く示唆する症状を持っている人がかなりの数いる。これはCOVID-19のウイルス感染による可能性が高い」とコメントしています。実際、MEはウイルス感染後に発症する例があることが知られており、カナダでは2003年のSARSの流行後には、集中治療を受けた107人のうち87%にME/CFSに酷似した症状を発症していたことが報告されています。

国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部特任研究部長で、AMEDのME/CFSの研究班班長を務める山村隆氏も、「今回、COVID-19の回復後に体調を崩した人の話を聞くと、職場や学校に戻って休んだ分を取り戻そうとして発症するケースが何例もある。ME/CFSの確定診断は基本的に症状が半年以上続く必要があるが、相当ひどい症状が出ていれば、COVID-19の後遺症として半年以上経過していなくてもME/CFSと考えてよいと思っている」と話します。

山村氏は今後、各種の画像検査などによって、既存のME/CFSと、COVID-19の後遺症としてのME/CFSが同じかどうかを明らかにしていく予定だといいます。もっとも、ME/CFSは現在、診断基準こそあるものの確立した治療法がなく、COVID-19の後遺症についても同様です。

山村氏が行っているのは体力や気力を補う漢方薬、睡眠障害に対する睡眠導入剤の投与です。ただし、「漢方薬については、実際にどの程度効果があるかは分からない」。また、ME/CFSでは脳血流が低下すると知られているため、アデノシン三リン酸のような脳血流を増やす薬を投与したり、痛みを訴える患者に対しては対症療法を行っています。

「上咽頭擦過療法を行うことで症状が多少楽になったという患者もいる」。睡眠障害に対しては通常のベンゾジアゼピン系薬剤を処方しているものの、ME/CFSの患者では不眠状態から急に24時間の睡眠状態に陥ることがあるため、まずは短時間作用型を投与しているといいます。他に、ステロイドの投与により急速に回復した例もあったものの、「まだエビデンスが乏しく、全例に勧められるものではない」

COVID-19の後遺症としてME/CFSのような症状を示す患者が無理に身体を動かすことに対して強い懸念を示します。「治療の方向性が明らかになるまでは、無理して動いたり働いたりするなというメッセージを伝え、様子を見ながら付き合っていくことになるのだろう」。

ドイツなどではCOVID-19で亡くなった患者の脳の解剖なども行われており、今後、急速に研究が進んでいくことが期待されます。「医師に求められているのは、情報を随時確認しながら、最善のことを行うことではないか」と山村氏は話しています。