20.4.30ウイルス感染後疲労症候群とME/CFS

4月30日にイギリスME協会のHPに、顧問医師であるシェパード先生による「新型コロナウイルとウイルス感染後疲労症候群」と題する記事が掲載されました。ウイルス感染後疲労、ウイルス感染後疲労症候群、ME/CFSはどう違うのでしょうか。

ウイルス感染後のある程度の疲労や体の衰弱は、どんなタイプのウイルス感染後にもかなりよくみられます。幸い多くの場合、疲労は短い間にすぎず、回復して数週間のうちに元の健康を取り戻します。しかし、元の健康を取り戻すのに数週間ではなく、何か月もかかる場合もあります。他の症状も出現してきた場合には、ウイルス感染後疲労症候群の方がより適切な診断であるかもしれません。

ウイルス感染後疲労の正確な原因を説明することは困難ですが、感染症の急性期に、疲労やエネルギーの欠如、筋肉痛、一般的な体調不良を感じる一つの理由は、体の免疫系によって生産されるサイトカインと呼ばれる化学物質です。この免疫系の化学物質は、どんなウイルス感染に対しても最前線で闘うための攻撃の一部を形成します。コロナウイルスによる感染により重篤な呼吸器系の合併症を発症する人は、「サイトカインの大波」と呼ばれるものが関与する過剰な免疫応答による可能性があります。

急性感染症からは回復した後も、ME/CFSと同様に疲労やインフルエンザ様症状が長期にわたって持続する場合、急性感染症には完全に正常な免疫応答であるものが、通常の状態に戻っていないことを示す、研究によるエビデンスが存在します。また、ME/CFSと同様に、ミトコンドリア内の細胞レベルにおいて、エネルギー産生が行われる方法に問題がある可能性があります。

C型肝炎やHIVのようには持続していることを示すエビデンスはありませんので、長引く疲労は持続的なウイルス感染によるものではないようです。従って、疲労が長引いているものの、コロナウイルスの他の症状がない人は、現在の我々が知る限りにおいて、外の人に感染させることはありません。

ウイルス感染後疲労のほとんどの人は、正常な健康状態に戻りますが、どんな自然な回復プロセスを助けるためにも、ごく初期の段階にうまく症状を管理することは重要な要因です。ウイルス感染後疲労の初期にうまく症状を管理することで、ME/CFS様の疾患を発症する機会を減少させることを、患者によるエビデンスは示しています。

ウイルス感染後疲労の主な症状は疲労、もしくは通常のエネルギーレベルに戻らないことです。実際的には、家庭・職場・学校等において、通常範囲の身体的活動を実行することができないことを意味します。

同様に、ウイルス感染後疲労症候群の人も、短時間であれば身体的及び/又は脳を使った活動を行うことができますが、その後、活動をやめて休養しなければなりません。通常のレベルの身体的活動を持続することはできず、走りに行くといような、短時間に大量のエネルギーを使うことが関与することは、何であってもできません。

ウイルス感染後疲労症候群には、何らかの形の睡眠障害を伴うことが多いです。身体活動にエネルギーが必要とされるように、脳を使う活動にも必要です。身体活動をすると簡単にエネルギーがなくなるのと同じように、長めに脳を使う活動には対処できない方もあり、集中力や情報をプロセスしたり検索したりする力を失い始めます。短期記憶も影響を受ける可能性があります。

上記の症状が持続し、インフルエンザ様症状を伴う場合には、ウイルス感染後疲労症候群と診断するほうがより適切である可能性があります。症状が2,3ヶ月以上持続し、学校や職場などの他の主要な活動に戻れなければ、ME/CFSの診断を考慮すべきでしょう。

ウイルス感染後疲労症候群の症状の一部となりえ、ME/CFSの診断を示唆する症状は以下のものです。
・アルコール不耐
・フラフラしたり不安定な感じ
・新規発症の頭痛
・起立不耐性として知られる、長時間、背中を起こした姿勢の維持が困難なこと
・筋肉痛
・咽頭痛とリンパ節圧痛
・体温調節困難
・労作後の消耗(体調不良)/症状の悪化

※英語の原文はこちらからご覧頂けます