20.10.30米国ME/CFS臨床医連合の公開状

10月30日に「米国ME/CFS臨床医連合からの手紙:COVIDが『長引いている人々』とME/CFS」と題する公開状が発表されました。急性期のCOVID-19後、何週間も何ヵ月も具合が悪い「COVIDが長引いている人々」がME/CFSを発症する可能性について懸念し、こうした患者の鑑別診断としてME/CFSを考慮することを、米国ME/CFS臨床医連合は医療従事者に勧めています。
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急性期のCOVID-19後、数週間~数ヶ月たっても、初期感染は軽症であった人でさえ、少なからぬ患者が持続的な体の衰弱や様々な症状を報告しています。「長引いている人々」とか「長引くCOVID」と呼ばれ、臓器障害のエビデンスのある患者もいますが、明確な臓器障害がないのに体調が悪いままの患者もいます。米国国立衛生研究所(NIH)のファウチ博士によると、しばしば感染性疾患後に発症する疾患であるME/CFSを強く連想させるウイルス感染後症候群にかかっている人もいます。例えば、香港におけるSARS後の4年間の評価では、27%の人がME/CFSの診断を満たしていたことが分かりました。症状の類似性と先行する感染性疾患を考慮すると、COVID-19後に長期にわたって具合が悪く、確立したME/CFSの診断基準を満たす患者の鑑別診断において、ウイルス感染後疲労症候群、或いはME/CFS(ICD-10 93.3)と診断することを我々は勧めます。

ME/CFSは体を衰弱させる多系統にわたる慢性疾患で、100万以上のアメリカ人が罹患しています。女性や成人に多くみられますが、男性でも女性でも、全ての年齢、民族、国籍、社会経済的なバックグラウンドの人でもかかり、有色人種に多くみられる可能性があります。ME/CFSは、神経学的・免疫学的・自律神経系・エネルギー代謝の機能障害と関連しています。この疾患の中核症状は、以前は耐性のあった労作に対する全身性の不耐性である労作後の消耗(体調不良)です。他によくみられる症状は、重度の身体的機能障害、極度の疲労、疲労回復のなされない睡眠、認知機能障害、起立不耐性、広範囲の痛み、インフルエンザ様症状、感覚過敏等があります。COVIDが長引いている人々は、中核症状である労作不耐性を含む多くのこうした症状を報告しています。長引いている人々の中には、ME/CFSには典型的でない他の症状も報告する人もいます。

歴史的にME.CFSは誤解され見過ごされてきたため、患者達は正確な診断や適切な臨床ケアを受けることに苦労してきました。COVIDが長引いている人々も似たような問題を経験し、見過ごされています。ME/CFS患者は、この病気による体の衰弱は患者の活動への恐れが原因によるディコンディショニング(長期間の安静・臥床の結果、運動能力の低下・身体調節機能の異常が生じること)のためと推測して一般的に推奨されてきた治療法である、認知行動療法や段階的運動療法による害を報告しています。運動はME/CFSの特徴である全身性の労作不耐性の誘因となる、患者の病状を悪化させる可能性があります。

ME/CFS分野は過去5年間で大きく変わりました。2015年に全米医学アカデミーは、広範囲にわたるエビデンス・レビューと、疾患の主な特徴に焦点を絞った新しい臨床診断基準を発表しました。それと同時に、段階的運動療法と認知行動療法の研究は、効果と安全性を誇張して主張した研究の管理の問題のために、広く非難されてきました。その結果、CDC(米国疾病管理予防センター)や他の臨床的ガイダンスの提供者たちは、この2つの治療法の推奨を削除し、最新のものにしたME/CFSの診断基準とガイダンスを取り入れました。最近、我々ME/CFSの専門家の臨床医連合は、ME/CFSの診断や症状の管理の方法、利用できる医学生涯教育や他のリソースへのリンクなどの情報を載せたホームページを開設しました。連合の多くのメンバーに相談することや照会することが可能です。

上記や臨床医連合のホームページにあるME/CFSの症状を呈する長引いている人々を含め、鑑別診断の中でウイルス感染後疲労症候群とME/CFSを考慮するよう勧めます。ME/CFS特有の市販されている診断のための検査やFDA承認の治療薬はまだありませんが、患者の病気を確証し、病気の負荷を軽減し、既に診断を受けたME/CFS患者とME/CFSを発症するCOVID-19患者の両方の生活の質を改善するためにできることはたくさんあります。

米国ME/CFS臨床医連合
HP:MECFSClinicianCoalition.org

※英語の原文はこちらからご覧頂けます