20.10.30#MEActionのプレスリリース

国際的アドボカシー団体#MEActionは、米国の300の主なメディアに対して、「ME/CFSを発症する『COVID-19が長引いている人々』を知って下さい~長引くCOVIDとMEの関連を理解するために」と題してプレスリリースしましたので、概要をお知らせします。

「COVID-19が長引いている人々」の転帰は一様ではないでしょう。中には回復する人もいるでしょうし、長期に及ぶ臓器の損傷に苦しむ方もおり、明確なウイルス感染後の疾患を発症する人もいるでしょう。ME/CFSは、そうしたウイルス感染後の疾患の一つです。過去のウイルス性の集団発生の科学的エビデンスを基にすると、COVID-19の全感染者の10~12%がME/CFSを発症すると予期されます。

「新型コロナウイルスのパンデミックは、時間がたてば一種のMEのパンデミックを作り出す可能性が非常に高いです」と、ME/CFSの研究者でありマサチューセッツ総合病院の外科医であるロン・トンプキンス先生は、TIME誌の記事の中で語っています。

労作後の消耗(体調不良)は、ME/CFSの中核症状であり、この疾患特有です。認知的又は身体的に無理をすることで、多くの場合はきっかけとなった出来事の24時間後に症状が再熱、及び/又は新しい症状の出現につながります。極度の疲労もME/CFS患者に現れえますが、労作後の消耗(体調不良)はただの疲労ではありません。

「長引いている人々」は体位性頻脈症候群(POTS)の症状も報告しています。「長引いている人々」について伝える時に、メディアや医療界の方々がME/CFSとPOTSを区別することが非常に重要です。ME/CFSとPOTSを併発する方も多いですが、この2つは違う病気で、POTSに有効な治療法がME/CFS患者には害になる可能性があります。    

複数の「長引くCOVID」のクリニックにおいて、「長引いている人々」に段階的な運動やリコンディショニング・プログラムを提供しています。横になったままする運動が一部のPOTS患者に有効なことが示されていますが、ME/CFSの症状を呈している「長引いている人々」には、長期的な深刻な健康上の影響を及ぼす可能性がありますので、段階的運動療法を始めるべきではありません。米国疾病管理予防センター(CDC)は、ME/CFSに段階的運動療法を推奨しておらず、段階的運動療法は害をもたらす可能性があると明言しています。 

ME/CFS患者は、運動に対する心血管反応が著しく損なわれていると、パシフィック大学の健康・運動・スポーツ科学のマーク・ヴァンネス准教授は説明します。「有酸素運動はME/CFS患者の体調を非常に悪化させる可能性があります。」

ME/CFS患者は、たとえ短時間の軽レベルの運動であっても、段階的運動を開始後に体調が悪化したと長い間、報告してきました。英国の2274人による最近の調査によると、80%のME患者は段階的運動療法による益は何もなかったか、著しく悪化したことが分かりました。この研究では、発症時から強制的な休養期間が与えられた患者が、予後が一番良かったです。

ME/CFSの症状を呈している「長引いている人々」は、活動のペースの調整することを奨励されるべきです。ペースの調整とは、できる時に活動し、疲れたら休み、激しい活動の前には事前に休養を追加することです。ペースの調整の目標は、無理してクラッシュする(倒れ込む)サイクルを避けることです。#MEActionでは、「長引いている人々」が必要な時に休み、無理して運動しないことを奨励するために、「ストップし、休んで、ペースの調整」を呼びかけるキャンペーンに着手しました。

「長引いている人々」が明らかにME/CFSの症状を呈していても、大部分の医療従事者はME/CFSについて教育されていないため、この病気の診断を受けることは困難です。「長引いている人々」が診断に時間がかかることは、長期的に見れば回復の機会を妨げる可能性があります。

米国における現在のCOVID-19感染率は、今後2年間でME患者が2倍以上に増えることを意味し、目下の臨床現場の危機を悪化させる可能性があります。パンデミックが始まる前に、100万人のアメリカ人がすでにME/CFSを闘っていました。

コロナウイルスによってME/CFSが確認されたのは、これが初めてではありません。ウイルス感染がこの疾患の誘因となったことを文書で立証してきた長い歴史があります。ME/CFSのきっかけとして感染が最も多く、80%までの患者は感染後にME/CFSを発症します。

「COVID-19後の人々の間でME/CFSの症状が出現することは、私達にとっては驚きではありませんでした」と、国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)の臨床主任であるアビンドラ・ナス先生は、8月11日のNIHの政府機関間のME/CFS会議の中で語りました。

SARSの研究において、回復した人の27%が、SARS発症から数年後にCFSの診断基準を満たしていたことが示されています。

EBウイルス、Q熱、ロスリバーウイルスの研究は、国境を越えた患者の12%までが、感染が消えた6ヶ月後にME/CFSの診断基準を満たしていたことを示しています。

伝染性単核球症(EBウイルス)患者の研究において、国境を越えた患者の12%までが、感染が消えた6ヶ月後にME/CFSの診断基準を満たしていたという、上記と一致した数字を示しています。

広く報道されたME/CFSの集団発生もあります。最も大きかった集団発生のいくつかは、ニューヨークでのEBウイルスの集団発生、ネバダ州のタホ湖における集団発生、ロンドンのロイヤルフリー病院での集団発生などです。

アンソニー・ファウチ博士はいくつかのインタビューの中で、COVID-19に罹った後回復しない人々は、極度の疲労、認知機能低下、悪寒と発汗、睡眠障害などを含むME/CFSの症状を強く連想させる症状を呈していると強調しました。

多種多様の異なった感染性微生物が、同じ病態の誘因になる可能性があることに驚かれるかもしれませんが、ME/CFSは数々の攻撃に対する思いもよらない均一の身体の反応が原因である可能性があります。「コロナウイルスがMEの原因であると示唆しているわけではなく、むしろウイルスに対する応答における生まれつきの免疫のメカニズムが引き起こしている可能性があります。つまり、恐らく多くのウイルスによってME/CFSは引き起こされうるということです」と、感染症と免疫センター長でありコロナウイルスとME/CFSの専門家であるイアン・リプキン博士は語ります。

「ME/CFS患者、そして多分「COVID-19が長引いている人々」には、脳内の低レベルの持続的炎症、脳への血流低下、体が脳を攻撃する抗体を作る自己免疫の状態、或いはこれらのいくつかの異常がある可能性があります」と、ハーバード大学医学部教授のアンソニー・コマロフ先生は書いています。

パンデミックは、ウイルス感染がどのようにME/CFSの誘因になるのかをリアルタイムで理解するための、他に類をみない機会をつくりました。スタンフォード大学、コロンビア大学、米国国立衛生研究所(NIH)のME/CFSの研究者達は、ウイルスがどのようにME/CFSの誘因になるのかを理解するために、COVID-19患者の研究に着手しています。

「COVID-19のパンデミックは、ME/CFSの発症を決定、あるいは発症を予測する可能性のある生物学的要因を研究する、過去に類を見ない機会です」と、スタンフォード大学のゲノム技術センター長である、ロン・デービス博士は語ります。デービス博士は、新型コロナウイルス感染がME/CFSの誘因になるのか、そしてその方法について理解するために、COVID-19患者を調査する研究者チームを監督しています。

「長引くCOVID」とME/CFSに関する資料
・この病気に関する事実や歴史について学び、報道が正確で確かな情報に基づくものであるよう、ME/CFSの報道のためのジャーナリストガイドをみて点検して下さい。
・ME/CFSの診断の可能性について「長引いている人々」のためのセミナーを見て下さい。
・ME/CFSの過去10年間の研究について研究概要を読んで下さい。

※英語のプレスリリースはこちらからご覧頂けます