20.10.27NHKクロ現でCOVID-19後遺症

10月27日(火)にNHKテレビの『クローズアップ現代+』で、「軽症でも後遺症が…新型コロナ・失業も…医療費の負担重く」と題して、COVID-19後遺症について取り上げられました。

新型コロナが陰性になったあと、後遺症が長期にわたり続く可能性のあることが見えてきました。今月、国立国際医療研究センターから発表された最新の調査結果では、退院した人のうち最も多かったのが息切れで約11%、倦怠感と嗅覚の異常は約10%。一定の割合で後遺症が見られることが明らかになりました。さらにこうした症状が120日以上続くということもわかってきました。

後遺症の患者が訪れるヒラハタクリニックで、さらに驚くべき事態が起きていました。コロナ後遺症を訴える患者のなかに、今年の春にPCR検査を受けられなかった患者が相次いでいます。半年たち、今も発熱や倦怠感が続いているという訴えや、中には後に抗体検査で陽性と判明し、過去の感染が明らかになった女性もいました。患者のなかには、寝たきりの状態や夜も眠れないなど深刻なケースもあるようです。

コロナ後遺症が疑われる患者:たぶんコロナ(後遺症)症状だと思いますが、はっきりしないのが一番不安。一番ジレンマに感じるのは、(PCR検査)陽性だと治療もしてもらえますが、陽性が出ません。

平畑医師:ものすごくつらい思い、想像を絶するつらさを抱えてらっしゃいます。(2~4月ごろ)37.5度以上の熱が4日間続かないとPCR検査を受けられず、それをまじめに守って受けなかった方々が、そのあと後遺症で苦しむことが起きており、それを放置してしまうのはかなりよくないことだと思います。非常にそういう方が多いです。

平畑医師は、コロナの後遺症は予想以上に広まっているのではないかと懸念しています。こうした患者のなかにはコロナ後遺症とは理解されず、孤立を深めていった人もいます。2人の子供を持つ専業主婦のSさんは、春ごろから微熱や胸の痛みなどの症状が、半年以上たった今でも続いています。感染したのではないかと家族に相談しましたが、理解をしてもらえず、思い悩んだ末に抗体検査を受け、結果は陽性でした。これで周囲も理解してくれと考えましたが、当時はコロナに後遺症があるとは理解されず、医師からは気のせいではないかと言われ、治療を受けることができませんでした。

Sさん:ほとんどのお医者さんが信じてくれず、このまま死ぬのかな、怖いなと思ったときに、死んだら悩まなくていいから楽になると一瞬思ったときがありました。希望がもてないというのがつらい。

この半年で平畑医師が診察したコロナ後遺症を訴える患者は237人。平畑医師は多くの患者が行き場もなく孤立する現状に危機感を強めています。

平畑医師:サポートがほとんど皆無に近いので、非常にまずいと思います。サポートはもっと手厚くしなければならない。取り残されてしまっていることに、社会として無自覚でいていいはずがありません。

司会:新型コロナでは、倦怠感や全身の筋力低下、脳の機能低下、手足のしびれや脱毛など体中に多様な症状が見られます。また、重症だった人だけでなく、中等症や軽症だった人にも後遺症が現れるのが特徴です。症状をまとめて下さったお一人が、自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長の讃井医師です。

讃井医師:肺の炎症のよる後遺症、血栓症、聴覚異常、味覚・嗅覚障害、全身の倦怠感など。非常に症状が長く続き、しかも症状が悪化したり軽快したりということを繰り返す患者さんがいることがわかってきました。

司会:後遺症に苦しんでいる人の中に、PCR検査を受けられなかった人もいるという医師の指摘がありました。

ニッセイ基礎研究所主任研究員の三原さん:何かしらの対策を打っていかなければならないと思いますが、エビデンスがないというなかで、実態把握が求められます。

司会:長引く後遺症に皆さん苦しんでいますが、その中には経済的不安を抱えて深刻な状況に陥る人も出ています。

新型コロナで重症になり、2か月前に退院した50代の会社員のIさんは、今も酸素吸入器を手放せず、感染が確認された4月から休職しています。重くのしかかるのが医療費です。新型コロナは指定感染症のため、検査が陽性になったら入院措置が取られ、その間の療養費は原則政府負担ですが、入院前と退院後のリハビリなどの費用は通常通り自己負担が発生します。Iさんの場合、陽性確認前のICUの費用が8万円、さらに高額療養費制度を使ってもリハビリなどで27万円かかっています。給与の2/3が保証される傷病手当金が、受けられるのはあと1年あまりです。

司会:このコロナ後の生活に苦しむ人たちをどう支えていけばいいのでしょうか。

三原さん:例えば医療保険の自己負担の軽減、傷病手当金の額の拡充といった政策は考えられると思います。既存の制度に上乗せするような形で。現状では実態把握の方が先決なのかとは思います。

司会:フリーランスの方が手当金も得られずに厳しい状況に追い込まれていることが明らかになりました。

三原さん:例えば国民健康保険の人は傷病手当金を受けられませんでしたが、そういったことがコロナで一気に顕在化したと思っています。今回、パートとかアルバイトで国民健康保険に加入している方は、コロナになれば傷病手当金が受けられるという法改正がなされました。

司会:そもそも苦しんでいる人たちの相談先がないという声を今回の取材の中で大変多く聞きました。

讃井医師:「治療後の相談窓口」のようなものがあればいいと思います。必要であればドクターやナース、リハビリを紹介して頂け、患者さんに安心感を与えるようなハブのような存在が必要ではないかと思います。

司会:三原さんは「社会保障の原点を支えあい」ということですけど。

三原さん:希望が持てないとか孤立しているのは、相談しにくいという差別の問題が背景にあるのではないかと思います。コミュニティーレベルで、差別を克服するような取り組みや復職しやすい雰囲気を作っていくような取り組みが必要だと思います。

司会:コロナの後遺症に苦しんでいる人がいることを前提に、これから社会の仕組みを考えていかなければならないということですね。