20.10.11 NewYorkTimesにCOVIDブレインフォグ

10月11日付のThe New York Timesに、「認知症にかかったように感じる:ブレインフォグがCOVID-19の回復者を悩ませている」と題する記事が掲載されました。サブタイトルは「こうした状態が何千人もの患者に影響を及ぼし、働いたり日常生活を送ったりする能力を妨げている」

マイケル・リーガン氏は3月に新型コロナウイルスに罹った後、つい数週間前に行ったばかりのパリでの12日間の休暇を全く思い出すことができません。吐き気や咳などのCOVID-19の症状から回復して数週間後に、エリカ・テイラー氏は混乱したり物忘れをするようになり、アパートの駐車場の自分の車がどれだか認識できません。

予約なしで診療するクリニックのナースプラクティショナーであるリサ・ミゼーレ氏は、7月に感染した後、所定の治療や臨床検査を忘れ、以前は自動的に出てきた専門用語を同僚に尋ねなければなりません。「部屋を出ると、患者さんが今言ったことが思い出せません。認知症にかかったように感じます」と語り、もし医療休暇を使い果たしていなければ、もっと休みを取ると付け加えました。

記憶障害、混乱、集中力低下、めまい、日常の用語の検索困難などの認知機能低下の症状は、COVIDブレインフォグ(脳に霧がかかったようで頭が働かない)として知られるようになってきています。増々多くのCOVID-19から回復した人々が、ブレインフォグが働いたり日常生活を送ったりする能力を妨げていると語ります。

「何千人もにこの症状があります」と、COVID-19後の症状を診るクリニックで、すでに何百人もの回復者を診療した、ノースウェスタン大学医学部の神経感染症セクション部長のイゴー・コラルニック先生は語ります。「影響を受ける労働力への衝撃は大きいでしょう。」

症状が広範で、COVID-19の症状が非常に軽く、既往症のなかった人々もかかるブレインフォグは、何が原因であるのか、科学者達は確かではありません。ウイルスに対する体の免疫応答が停止しない、あるいは脳に向かう血管内の炎症によって起きるというのが、主な仮説です。

長期に持続するブレインフォグについての研究は、始まったばかりです。入院した120名の患者を対象にした8月のフランスの報告では、34%に記憶障害があり、数ヶ月後にも27%に集中力低下があることが分かりました。

COVID-19後の生活について議論するために集まったグループによる、近日中に発表される3930人の調査によると、半分以上が集中力低下を報告していると、調査の主導を手伝ったインディアナ大学医学部の准教授であるナタリー・ランバート先生は語ります。COVID-19から回復した人々が報告した101の長期的・短期的な身体的・神経学的・心理的な症状の中で、4番目によく見られた症状でした。記憶力低下、めまい、混乱は3分の1以上の回答者が報告しました。

症状が非常に様々であることなどから、ブレインフォグの原因は謎です。米国国立神経疾患・脳卒中研究所の神経系の感染セクション部長であるアビンドラ・ナス博士は、「最初の感染が落ち着いた後も、持続的な免疫の活性化が起きているというのが、最も簡単な答えです」と語りました。

血管や血管に沿った細胞の中の炎症が関与している可能性があると、イェール大学医学部の神経系感染症とグローバル神経学セクション部長である、セリーナ・スプディッチ先生は語ります。有効な免疫応答において放出される炎症分子が、「特に脳にとっては、一種の毒素となる可能性があります。」他の原因の可能性は、「抗体が間違って神経細胞を攻撃する時の」自己免疫応答であると、スプディッチ先生は語ります。

チクチクしたりしびれたりする症状は、損傷した神経が間違ったシグナルを送る時に起こる可能性があると、マウントサイナイ・ヘルスシステムの神経感染症専門医であるアリソン・ナヴィス先生は語ります。ブレインフォグのある患者の中には、神経系の症状を悪化させる可能性のある、肺や心臓の問題をまだ抱えている人もいます。 

専門家達はブレインフォグのある患者に、他の病気を除外し、残っている身体的症状を治療するために、医師の診療を受けるよう助言しています。症状が改善するのか、時間とともに消失するのか、医師たちにも分かりません。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます