20.9.11ジェイソン先生のCOVID-19とMEの研究

9月11日付のSTAT (医療分野に特化した米国のニュースサイト)に、「COVID-19後の症状の原因を探すために、研究者達は伝染性単核球症の大学生のデータを再び使う用意をしている」と題する記事が掲載されました。

デポール大学の心理学者レオナード・ジェイソン先生らは、2014~2018年に4500人以上の健康な大学生から、個人情報と血液サンプルを集めました。伝染性単核球症を発症し、その後ME/CFSに移行した人もおり、研究者達はこのグループをフォローしていました。

ME/CFSは、急性ウイルス感染症が引き金になることが多いです。今年初め、ジェイソン先生のチームは、なぜ健康を保つ学生もいるのに、病気になり具合が悪いままになってしまう学生がいるのかを説明しうる可能性のあるパターンを探るために、データを解析していたところ、COVID-19後に体調不良が何週間も何か月も続くという訴えが表れ始めました。労作後の極度の消耗や記憶力・集中力低下を含むCOVID-19後の症状の一部は、ME/CFS患者が経験している症状と似ています。

すぐに研究者たちは、何千人もの学生から集めた豊富な基本データや生物学的データが、新型コロナウイルス感染後の急性疾患と長引く疾患を発症するリスク要因を調査するために、他に類をみない機会を生み出していることに気が付きました。「COVID-19の流行前と流行中に若者が経験する生物学的データと行動データを比べることができるであろう」と、ジェイソン先生は最近の学会のプレゼンテーションにおいて研究について特に言及しました。

病気発症前から登録するこの種の前向き研究計画によって、研究者が健康を取り戻す人と回復しない人の強固な比較を行うことを可能にします。しかし、こうした研究は高価な上に、何年もかかる可能性があり、素早く変化するパンデミックの最中にまとめることは特に困難であるがやりがいがあります。これによって、なぜウイルス感染後に長期間持続する健康問題を発症する人がいるのかが、ほとんど知られていないのかを説明するのに役立ちます。

SARS、ウエストナイルウイルス、エボラ熱、2009年のH1N1インフルエンザのパンデミックなどのウイルス感染を調査した研究者達は、長期的な健康上の悪影響を受けた人がいたことを報告しています。COVID-19では、重症と軽症の両方の症例で、持続的症状が報告されています。入院した患者の研究では、急性期後も70%以上の人が持続的問題を抱えていることが分かったとする研究もあります。米国疾病管理予防センターが実施した、入院を必要としなかったCOVID-19患者の研究では、35%の人が陽性のウイルス検査後2~3週間たっても普段の健康状態に戻っていないと報告しています。

オンラインの患者サポートグループであるボディーポリティックが、驚くほど多くの症状を記録した、640名の「長引いている人々」の調査結果を5月に発表しました。このグループは、第二弾のさらに包括的な調査を開始しました。新しい調査には、抗体検査、神経系の症状、メンタルヘルスへの影響なども含まれます。ME/CFS患者と一部の「長引いている人々」が経験している様々な症状の類似性は、一つの病気に至るプロセスの研究が、他の病気への洞察を提供する可能性があることを示唆していると、研究者達は語ります。

ジェイソン先生は、ME/CFSに関する多くの論文の著者・共著者であり、米国で最も尊敬されており多作なME/CFSの研究者です。この研究結果はまだ発表されていませんが、米国国立衛生研究所(NIH)から300万ドルの資金提供を受けた大学生の研究において、約5%が伝染性単核球症を発症し、その内の8%が6ヶ月後にME/CFSの診断基準を満たしたと、ジェイソン先生は語ります。ME/CFSの発症にはいくつかの免疫学的マーカーが関与していますが、心理的要因は関与していないと、先生は特に言及しました。

パンデミック開始前に、ジェイソン先生らは何千という研究参加者の追跡調査を実施するために、追加の資金提供を受けていました。新しい状況の発生に伴い、COVID-19とCOVID-19後の症状に関する質問を加え、アウトリーチも開始されています。「つまり、病気を発症し、その後、病気から回復しない傾向の人々の素因となる何らかの遺伝子的、生理学的、行動における個人の特徴があるのかもしれません」と、ジェイソン先生は語りました。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます