20.9.23JAMAにCOVID-19とME

9月23日付の米国医師会誌JAMAに、「数が増えるにつれて、COVID-19が『長びいている人々』は専門家を悩ませる」と題する記事が掲載されました。

パンデミックが長引くにつれ、COVID-19は荷造りして出て行かない招かざる客のようであることが、一部の患者にはさらに明らかになりました。

「何人かに聞いた話を基にすれば、いわゆる回復してウイルスが取り除かれた後に、何週間にもわたって多くの点で普通には生活できなくなってしまうウイルス感染後症候群にかかっている人が相当数いることは、疑いようもありません」と、米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長であるアンソニー・ファウチ博士は、7月に国際エイズ学会が主催したCOVID-19のウエブセミナーで語りました。

最近のJAMAのリサーチレターに、19~84歳までの143名のイタリア人患者の内の125人は、発症後平均2ヶ月後になっても、医師により確定したCOVID-19関連の症状をまだ経験していました。入院期間の平均は2週間で全員が入院し、80%はいかなる呼吸器も使用しませんでした。

パリ病院の医師たちは、フランスでCOVID-19のロックダウンが終わった5月中旬から7月末までの間に、平均で毎週30人の「長引いている人々」を診たと報告しました。患者の平均年齢は約40歳で、女性の数は男性より4倍多かったです。イギリスのチームは、全体の約10%のCOVID-19患者が、長期的な症状を経験していると、急性期後のCOVID-19の管理について最近発表されたBMJ(英国医師会誌)の記事の中で推定しています。しかし、プライマリーケア医には診療の手引きとなるエビデンスがほとんどないと、著者らは書いています。

ペンシルバニア大学医学大学院の肺専門医のジェシカ・ダイン先生は、「私が診察するCOVID-19後症候群の患者のほとんどは入院せず、かなり重症でしたが自宅療養でした」と語ります。

3分の1以上の患者が陽性の検査後2~3週間後も、普段の健康状態に戻っていないと、研究者達は週刊疫学情報に書いています。18~34歳までの若者ですら、4分の1の患者は、健康を取り戻していないと語っています。

ヴァンダービルト大学医療センターの救急医療医のウイスリー・セルフ先生らは、COVID-19が免疫系の長く続く変化の起因となる疑いがあると語ります。「率直に言って、いつまで続くのか分かりません。」その疑問を解く助けとなるよう、セルフ先生らは外来患者の健康を評価するために、COVID-19の診断後6ヶ月間の追跡調査を実施しています。

米国国立衛生研究所(NIH)所長のフランシス・コリンズ博士は、「COVID-19はとても新しい疾患なので、何が原因で様々な症状が持続するのか、何が完全な回復を妨げているのか、どうやって『長引いている人々』を助けたら良いのかは、ほとんど分かっていない」と語りました。

多くの「長引いている人々」は、多くの場合極度の疲労を伴う記憶力と集中力の低下が、持続している最も衰弱させる症状であると説明します。7月のウエブセミナーでファウチ博士は、ブレインフォグ(脳に霧がかかったようで頭が働かない)や疲労のような『長引いている人々』の症状の一部は、ME/CFSを強く暗示している」と言及しました。

コロンビア大学医療センター疫学部のマディ・ホーニング先生は、病因や発症メカニズムが不明のME/CFSのような脳の病気の発症に関する、微生物・免疫・毒性因子を長く研究してきました。彼女は今、医師や科学者としてだけではなく、自身が「長引いている人」として、これらの関係を調べています。彼女は3月に喉のむずがゆさと咳を感じ、4月24日に熱で目が覚めました。他の症状がありましたが、4月27日のPCR検査は陰性でした。検査が受けるのが早すぎたか遅すぎたからでしょう。彼女の医師たちは、様々な症状をCOVID-19以上によく説明できるものはないと告げました。

ME/CFSと診断された患者の4人に3人は、EBウイルスが原因の伝染性単核球症などの感染症らしい症状から始まったと報告します。ME/CFSの国際疾病分類の診断コードの一つは、この病気をウイルス感染後疲労症候群と呼んでいます。EBウイルスはコロナウイルスではなくヘルペスウイルスですが、COVID-19が潜伏EBウイルスを再活性化して、疲労を引き起こしているかもしれないと、ホーニング先生は推測しました。

このアイデアを詳しく調査するためにホーニング先生は、the Solve ME/CFS Initiativeと一緒に前向き研究を考案しました。COVID-19が「長びいている人々」、ME/CFSと診断された人や健常対照群からデータを集めるために、7月にはレジストリーとバイオバンクを開始しました。「これらが、ME/CFSと診断された何百万人ものアメリカ人に、治療法候補の可能性や手がかりを提供するでしょう」と、ホーニング先生は語りました。

ホーニング先生や他の科学者は、自律神経系の調整障害が「長引いている人々」の頻脈、極度の疲労や他の持続する症状を説明する可能性があると指摘しています。国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)の主任研究員であるアビンドラ・ナス先生は、COVID-19にかかった患者のME/CFSタイプの持続症状についての前向き研究を計画しています。「この症候群について我々が認識していることを一般の人々に確信させる必要があると思います」と、インタビューの中で答えました。

多くの「長引いている人々」はCOVID-19の確定検査を受けていないために、自分達の持続的症状の生理学的根拠に対して、医療従事者の一部は懐疑論を増大させていると話します。

ボディーポリティックの調査では、回答者の4分の1だけが検査でCOVID-19陽性で、多くは検査を受けるリクエストを否定されたために、半分近い人は一度も検査を受けていませんでした。しかし、全員の回答が解析に含まれました。陽性の人と陰性の人の主な違いは、発症後どのくらい早く検査を受けたかでした。「将来の研究は、検査の結果いかんに関わらず、ウイルスをより理解し、早期の検査拡充の重要性を明確に示すために、COVID-19の症状のある全ての人の経験を検討しなければならないと信じている」と、報告者の著者達は書いています。

自律神経系疾患が専門のスタンフォード大学の神経学者のミッシェル・ミグリス先生は、「これらの謎の診断は本物で、患者の気のせいではない」ことは明らかですと語ります。「長引く人々」、特に女性は、いつも真剣に取り合ってもらえないと、彼らは言います。「性差による偏見は間違いなくあり、持続的症状のある女性は男性よりも、『大げさで不安』であるとみなされます」とダイン先生は語ります。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます