20.8.19AtlanticにCOVID-19とMEの記事

8月19日付のThe Atlanticに、「長引いている人々はCOVID-19を再定義している」と題する記事が掲載されました。サブタイトルは「一部の患者が経験しているいつまでも続く病態を理解することなく、このパンデミックを理解することはできない。」この長い記事の中には、COVID-19の後遺症やME/CFSを発症する可能性について書かれています。

ニューヨーク市のマウントサイナイ病院の、神経科学者でありリハビリテーションの専門家であるデイビッド・プツリーノ先生は、COVID-19後の症状が「長引いている人々」の多くをケアしてきました。プツリーノ先生の調査した「長引いている人々」のほとんどは女性で、平均年齢は44歳です。ほとんどの人は以前は元気で健康でしたし、基礎疾患のある高齢者という典型的なイメージとは非常に違って見えます。そして、その一部の人は、数ヶ月の病気のはずが、何年にも及ぶ障害に変わる可能性があります。

「長引いている人々」は、自分達でサポートグループを立ち上げ、調査プロジェクトを始めなければならず、自律神経失調症やME/CFSのような、似たような病気の人々と連携しました。英国の「LongCovidSOS」というグループは、政府が認知し、研究、支援を推し進めるよう、キャンペーンを開始しました。これらの努力が効果を発揮し始め、研究者の中には治療やリハビリテーションのプログラムを開発している方もいます。

3月20日にCOVID-19を発症した、サザンプトン大学公衆衛生学教授のニスレン・アルワン先生は、専門家などが、入院しなかった患者を「軽症」と呼ぶのをやめ、病院を退院した後やウイルス検査陰性になった後の、患者の生活の質を含めた回復の定義に同意するべきだと語ります。

イタリアの研究では、入院患者の87%が2ヶ月たっても様々な症状が続いていました。英国の研究でも似たような傾向です。自宅療養した多くの患者を含むドイツの研究では、78%の患者が2,3ヶ月後に心臓に異常が認められました。米国疾病管理予防センター(CDC)のチームは、270人の入院しなかった患者の3分の1が、2週間後に元の健康状態に戻っていなかったことを認めました。米国だけでもCOVID-19と確定した症例が500万人にのぼりますので、数十万人の長引いている人々がいると思われます。

多くの「長引いている人々」は、検査が不足していたために、発症した時に検査を受けられませんでした。今は不完全だと分かっているリストにある症状と一致しなかったために、検査を拒否された人もいました。多くの「長引いている人々」が、発症して数週間から数ヶ月後にやっと検査を受けられても、結果は陰性であるなど、時間が経過すると偽陰性もよく起こることが分かってきました。平均して比べると、検査で陰性だった「長引いている人々」は、陽性だった人と様々な同じ症状を経験しており、実際にCOVID-19にかかっていたことを示唆しています。しかし、陰性の検査結果のために、研究や治療から締め出されています。

いくつかの抗体の研究は、新型コロナウイルスに対して産生され、数か月間持続することを示してきましたが、これらの研究は、入院患者か軽症者で早く回復した人々に焦点が絞られていたという問題があります。対照的に、プツリーノ先生の1400人の「長引いている人々」の調査において、症状はCOVID-19と一致していたにも関わらず、抗体検査をした3分の2は結果が陰性であったと、先生は語りました。例えばニコラスさんは、新型コロナウイルスの検査で2度、陽性でしたが、抗体検査が陰性でした。「抗体検査が陰性だからと言って、COVID-19にかかっていなかったという意味ではありません」と、プツリーノ先生は語りました。

7月に英国では、COVID-19の長期的予後を研究するために1100万ドルを割り当てましたが、「選ばれるのは、病院に入院した人に限られます」と、オックスフォード大学プライマリー・ヘルス・ケア科教授であるツリシャ・グリーンハルフ先生は語りました。

プツリーノ先生は3月に、自分の病院に紹介されてきた患者の中に、体調は悪いが入院するほどではない人がいることに気づきました。先生のチームは、遠隔でこうした人々の経過を追うアプリを作りました。5月下旬には、「約10%の人が良くなっていない」ことに気づいたと語ります。それから彼は、マウントサイナイ病院において、「長引いている人々」のケア専用のプログラムを開始しました。

しかし、こうしたプログラムはまだまだ不足しており、「長びいている人々」が助けを得られない地理的な大きな砂漠が存在します。プツリーノ先生はニューヨーク州以外に住む患者を診ることができませんし、同様のプログラムを運営しているノースウェスタン・メディスンの神経内科医であるイゴー・コラルニック先生は、2021年の4月まで予約がいっぱいでしたので、その後、もっと患者を受け入れられるようにスタッフを増やしました。カナダの「長びいている人々」は、トロントにクリニックが一つあるだけです。

プツリーノ先生は、多くの「長引いている人々」には自律神経に似た症状があると考えます。また、診療した90%以上の「長引いている人々」には、ほんの軽い身体的又は認知的な労作が重症の生理学的クラッシュ(倒れ込み)を引き起こす「労作後の消耗(体調不良)」があります。「階段を歩いて上がっただけで、2日間も動けなくなるようなことを言っています」と、プツリーノ先生は語ります。これはME/CFSを定義する症状です。

全部ではありませんが、多くのME/CFSの症例は、ウイルス感染が引き金となっており、歴史的にウイルス感染の集団発生後に新しいクラスター(患者集団)が出現しています。しかしCOVID-19はまだ新しい疾患で、ME/CFSは可能ないくつかの転帰の一つにすぎません。(ME/CSFの定義にある)6ヶ月の閾値前に回復する人もいますし、労作後の消耗(体調不良)がない人もおり、ME/CFSの典型的症状ではない肺の損傷や呼吸の問題のある人もいます。自律神経失調症、線維筋痛症、マスト細胞活性化症候群を含む、他の慢性疾患の症状に近い人もいます。プツリーノ先生は、どれくらい長引くCOVIDが他の既知の症候群とオーバーラップするかを示すデータを集めると同時に、「患者を助け始めましょう」と語ります。

「正確な診断」がどのようなものであろうと、COVID-19のパンデミックは、慢性的に障害を持った人々の大きな波をほぼ間違いなく作り出すでしょう。数が多いですし、パンデミックや、女優のアリッサ・ミラノやジャーナリストのクリス・クオモなどの有名人の話によってもたらされた強い関心ゆえに、この集団を無視することは難しい可能性があります。

「私達は何十年も何とかするように要求してきました」と、ME/CFS患者であり#MEActionの活動家であるテリー・ワイルダーは語ります。「米国国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長にも会いましたし、アンソニー・ファウチ博士や州知事にも電話しました。未だにFDAに認可された薬も、ケアを受けるシステムもなく、この国には10~15人しかME/CFSの医療専門家がいません。私達は皆、元の生活を取り戻し、壊れたシステムを直したいと思っています。」

※英語の原文はこちらからご覧頂けます