20.9.8週刊朝日にCOVID-19とMEの記事

9月8日発売の週刊朝日に、「本当に怖い“コロナ後遺症”~軽症でも頭痛、倦怠感…5ヶ月経っても社会復帰できず」と題する記事を掲載して頂きました。

新型コロナウイルスの後遺症を訴える報告が相次いでいます。退院後も学校や職場に復帰できずに苦しみ、治療法も見当たらず、いわれのない誹謗中傷を浴び、絶望の淵にいる患者さんが“コロナの恐怖”を語りました。

首都圏に住む男子高校生のTwitterアカウントには、罵倒の言葉が日々投げつけられています。その理由はただ一つ、今年4月に新型コロナウイルスに感染したこと。

Sさんは、5月にPCR検査で「陰性」とわかったため、帰宅しましたが、症状は一進一退の繰り返し。激しい頭痛や倦怠感、喉の痛み、関節痛などの「コロナ後遺症」に苦しんでいます。「学校に通うこともできず、症状がひどい時は、横になって寝ています。」体調が良い日の散歩も10分ほどが限度で、自宅から4キロの病院にもタクシーを使います。退院後の再入院や通院、薬剤費はすべて自費負担で、通院する時のタクシーだけでも往復50000円かかります。

Twitterで罵倒されるようになったのは、コロナ後遺症の深刻さについてインターネットで発信を始めてからです。「『若い人のほとんどはコロナで重症化しない』という話が多いので、『実際はそうではない』ということを伝えたかった。」

コロナ後遺症については、すでに海外で報告が相次いています。イタリア・ローマのジェメッリ大学病院の調査では、発症から2ヶ月の時点で87.4%の患者に何らかの症状が続いていました。8月には米国科学誌「ニューロロジー」電子版に、コロナ後遺症に関するレポートが掲載されました。米国の感染症の権威で、ホワイトハウスのコロナ対策チームの顔となっているアンソニー・ファウチ博士は、コロナ後遺症について「筋痛性脳脊髄炎ME(ME)の症状に似ている」と発言しています。

この病気に詳しい国立精神・神経医療研究センターの山村隆医師は、「コロナウイルスの一種で2002年に流行したSARSでも、MEは多発しました。ウイルスに感染した後に発生する人が多いのが特徴で、すでに日本でも、コロナ後遺症でMEの確定診断を受けた人がいます。しかし、日本ではMEに詳しい医師が少なく、診断がつかないまま経過観察になっているのが実情です。」

「筋痛性脳脊髄炎の会」は、コロナ後遺症に悩む人にアンケートを実施しました。同会の篠原理事長は、「コロナ後遺症でMEに似た症状が出ている人は、軽症の人も多い。アンケートにすでに約270人から回答を得ていますが、『コロナは若い人は安心』という訳ではありません。」

山村先生は、「MEは、からだから排出されていないウイルスに対して、自分自身の免疫が過剰に反応して症状を引き起こしている可能性が指摘されています。一度、免疫の反応にスイッチが入ると、ウイルスが排除されても、スイッチが入りっぱなしになるため、海外では免疫を抑制する治療薬『リツキシマブ』が症状改善に効果があったとの報告もあります」と語ります。

政府は実態調査を始めることにしました。調査の一部を委託された日本呼吸器学会理事長は、「コロナ後遺症は、症状が重い人から軽い人まで幅広く実施する必要があります。どの症状がどういった人に発生するのか分からないからです。実態を把握するためにも、コロナに感染した人は調査に積極的に協力してほしい」と語ります。

篠原理事長は、「新型コロナ後にMEを発症するメカニズムの研究は、治療法の開発にもつながります。国は一日も早く研究班を設立し、治療法を確立してほしい」と話します。

今後、後遺症に悩む人が増えることは確実ですので、一刻も早い実態調査と治療法の確立が求められています。