20.7.6RareS.にNCNPの論文の記事

7月6日付けのRareS.(レアズ:難病・希少疾患 情報サイト)に、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の発症に関わる脳領域を特定」と題して、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の研究グループが、ME/CFSの発症メカニズムに関連した脳内のネットワーク構造の異常を明らかにしたことが取り上げられました。

ME/CFSは、軽微な家事を行っただけでも寝込んでしまうほど日常生活が困難になるほか、睡眠障害、記憶障害などの高次脳機能障害も特徴的な症状です。過去の研究より脳の右上縦束と呼ばれる領域の異常が、ME/CFS患者の高次脳機能低下の原因である可能性が示唆されています。

今回の研究では、通常のMRI画像では捉えられないような脳の異常をも検出可能な画像解析手法を用いて、ME/CFS患者の脳内構造ネットワークの異常と抗自律神経受容体受容体抗体価との関連を調べました。

今回の研究では、採取した血液より、抗β1アドレナリン受容体抗体、抗β2アドレナリン受容体抗体、抗M3アセチルコリン受容体抗体、抗M4アセチルコリン受容体抗体といった血清抗体を測定し、MRI撮像を行いました。

その結果、抗β1アドレナリン受容体自己抗体価と右背外側前頭前野の媒介中心性に正の相関、抗β2アドレナリン受容体自己抗体価と右中心前回の特徴的経路長に負の相関が見られました。脳の背外側前頭前野領域は、注意力やワーキングメモリなどの脳機能に関与していることが知られ、さらに痛みの受容を調節していることで知られます。また、中心前回は運動を司る領域として知られます。

研究結果より抗β1および抗β2アドレナリン受容体抗体と、脳の痛みや運動を調節する領域に関連性があることが示唆され、今後は、これらの自己抗体がどのように脳内で異常を引き起こすのかといった解明が待たれます。