20.8.26STATにCOVID-19「長引いている人達」

8月26日付のSTAT(医療分野に特化した米国のニュースサイト)に、「『長引いている人達』のジレンマ:多くの人はCOVID-19にかかったと証明できない」と題する記事が掲載されました。

新型コロナウイルスのパンデミックが継続するにつれ、回復したと思われていた未知数の患者たちが、COVID-19後症候群と呼ばれる、激しい疲労、熱、集中力・記憶力低下、めまいの発作、脱毛、その他の厄介な多くの症状を、何週間も何か月にもわたって経験しています。「長引いている人達」として知られる人々の中に、かなりの数の人が、そもそも自分達がCOVID-19に罹患していたと他の人を納得させるという、特有の課題に直面しています。

広範にサプライが不足し、医療提供者は忙殺されていたために、パンデミックの最初の数ヶ月の間にウイルス検査を受けようとした人の多くが、厳しい基準を満たさないとして拒否されました。自分で自己隔離することに決めた人もいました。野生動物の獣医であるエミリー・トーキングトン氏のように、感染症の臨床的兆候があったにも関わらず、地元の検査場で陰性の結果が出た人もいました。

トーキングトン氏は、3月下旬にCOVID-19のような症状が出はじめ、自宅でやり過ごそうとしました。4週後も、また2度の検査が陰性であった後も、衰弱や、焼けるような関節痛、頻脈、その他の症状に悩まされていました。初期感染から大分時間がたってから検査をしても、検査は信頼できないことを知っていましたので、トーキングトン氏は、陰性の結果を信用しませんでした。4月下旬に吐血と衰弱で倒れそうになり、臨時の救急ケアセンターで治療を受けようとしました。

新型コロナウイルス検査が陰性で息苦しさがないことを知ると、フィジシャンアシスタントは彼女の懸念をしりぞけ、心臓の激しい鼓動を診てもらうための循環器専門医への紹介を拒否し、不安と閉経周辺期障害についてのパンフレットを渡し、ソーシャル・メディアのCOVID-19後症候群についての投稿を無視するように助言したと、彼女は語りました。「私は屈辱を感じ、自尊心を傷つけられました。信じてもらえず、ひどい目にあいました。」

トーキングトン氏は後に抗体検査を受け、結果は陽性でした。以前にコロナウイルスに感染していたことを意味します。(このような)彼女のジレンマは国中で繰り返されています。今では抗体検査は広く受けられるようになりましたが、正確さにばらつきがあることが知られています。ウイルス検査陰性のように、抗体検査陰性も確定的だとはみなされていません。

新型コロナウイルス感染症にかかったことを示す検査で陽性だった患者でさえも、医師から慢性的な症状(後遺症)に対して懐疑的な目を向けられたと報告しています。検査で陽性が確認されなかった人々は、ずっと大きな障害に直面する可能性があると、ニューヨーク市周辺にいくつかの施設をもつ医療システム、プロヘルス・ケアの感染症主任のダニエル・グリフィン氏は語ります。「これらの患者は、訴えを真剣に聞いてくれる医師を探すのが困難だと、日常的に報告します。COVID-19にかかったという証明がないと、医療提供者の多くは対応したがらないか、精神科医に紹介します。」

パンデミック初期には、入院が必要でない患者の多くは臨床的に診断を受けていました。患者が報告する症状や、感染が分かっている症例や可能性のある症例に接触したかどうかを基にして診断していました。「当時は、ウイルス検査の証明が後にどれほど大事になってくるかが明らかではなかった」と、グリフィン氏は語っています。

5月にボディ・ポリティック・COVID-19・オンライン・サポートグループと関連する患者主導の調査チームは、いつまでも続く様々な症状を経験している640人の調査を公表しました。新型コロナウイルスの結果が陽性であったのは23%にすぎず、半分近くの人が検査を一度も受けられず、28%は検査が陰性でした。

感染のエビデンスの有無にかかわらず、COVID-19後の症状が数ヶ月続く人が最終的にどのくらいになるのかを、今から知ることはできません。感染した多くの人、あるいはほとんどの人と言っていいくらいの人が検査を受けていないことは、はっきりしています。米国疾病管理予防センター(CDC)は最近、570万人が検査で陽性であるのに対して、すでに新型コロナウイルスに感染しているとみられるアメリカ人は3,000~6,000万人と推定しました。COVID-19の軽症の患者も、重症の患者と同様に、こうした持続的な症状を経験しています。

ハーバード大学医学部教授であり臨床疫学者であるアンソニー・コマロフ先生は、アメリカのパンデミックに対する対応のしくじりが、ウイルス検査が陽性でない多くの人がCOVID-19後症候群に悩んでいる主な理由に挙げています。「これは、COVID-19の検査体制が全く不十分であったために起きた大きな問題の一部にすぎないと思います。」

早期におけるこの病気への誤解も一因となりました。自身を含め多くの医師が、COVID-19患者は熱と呼吸器症状があると思っていたと、コマロフ先生は語ります。その結果、主に神経症状を呈している患者や他の非定型の症状の患者は、この病気だと思われず、一般的に検査されませんでした。

ラスベガスのターシャ・グラブツリー氏は、3月中旬に下痢や軽い咽頭痛、咳などが出ましたが、ウイルス検査を受けられたのは、それから一ヶ月近くたってからです。結果は陰性、そして抗体も陰性でした。彼女はたびたび心臓がドキドキし、激しい発汗や他の症状を経験し続けています。自分はCOVID-19だったと200%確信していますが、検査で陽性だった患者がうらやましいと少し感じていると認めました。懐疑的な医師に対して、ウイルス感染の証拠を提示できないことは精神的負担になると、彼女は話します。

COVID-19感染後の現象の研究に従事している、コロンビア大学の疫学者であり精神科医であるマディ―・ホーニング先生は、4月に咳、2週間続く熱や他の症状が出ました。以前は10~12時間働けたのに、4ヶ月後の今は数時間だけで、度々息切れします。ウイルス検査も抗体検査も陰性でしたので、彼女の長年の医療提供者の中には、本当に彼女がCOVID-19だったのかどうかを疑う人もいました。

「もし私を診ている医師たちの中の一人が、このCOVID-19後の頻脈は根深い無意識の神経症である可能性を示唆するのであれば、医学的背景を持たない人が、どうやって何とか適切に話を聞いてもらい、これを乗り切れるでしょうか」と語ります。長い間議論し、新型コロナウイルスだとすることが一番説明がつくと今では彼女の臨床医たちも同意しています。

※英語の原文はこちらこらご覧頂けます