20.8.24Medscapeに国際ME/CFS学会の報告

8月24日付のMedscape (医学情報サイト)に、「長引くCOVID-19とME/CFSの関連を研究によって調査」と題する記事が掲載されました。8月21日に開催された国際ME/CFS学会学術大会の「COVID-19のセッション」の報告が書かれています。

COVID-19患者の中には、長期に及ぶ症状が持続している人がいることは、ME/CFSや他のウイルス感染後疾患の根本となるメカニズムへの研究に、新しい方向性を開きました。7月のJAMA(米国医師会誌)と8月の米国疾病管理予防センター(CDC)の疫学週報の報告によれば、COVID-19発症後2週間以上たっても具合の悪い患者の中で、一番多い症状は慢性疲労でした。咳や胸痛、呼吸困難のように、持続が報告されている症状の中には新型コロナウイルスに特異的なものもありますが、他の症状はME/CFSの診断基準と重なります。ME/CFSの病因ははっきりしていませんが、一般的にウイルス疾患後に発症します。

8月21日にオンラインで開催された国際ME/CFS学会学術大会では、午前中はCOVID-19から回復した患者が後にME/CFSの診断基準を満たす割合の記録や発症機序の調査の研究にあてられました。「早期のME/CFSの研究の可能性や発症の仕方などの研究をする多くの機会を提供していますし、さらに、今までME/CFSについて行われた研究の多くが、COVID-19への答えが見つかるかもしれません」と、国際ME/CFS学会副会長のリリー・チュー先生は語りました。

SARSの集団発生から得られたヒント
カナダのトロント大学精神科名誉教授のハービー・モルドフスキー先生は、2003年にSARSに感染し、発症から1~3年後にも、慢性疲労、筋骨格痛、EEGによって記録された睡眠障害を伴う安眠できず疲労回復がなされない睡眠などを継続して報告した、22人の医療従事者を含む症例対照研究のデータをレビューしました。1年以内に職場復帰できた人は誰もいませんでした。COVID-19から回復した人の中に、「(SARS の時と)似たような症状が認められる」とモルドフスキー先生は語ります。「重要な問題は、有病率が分からないことで、疫学調査が必要です。」

ME/CFSと他のCOVID-19後の症状を鑑別する
COVID-19後に持続する症状がある人全員が、ME/CFSを発症する訳ではなく、症例によって鑑別することが重要でありえます。臨床的にCOVID-19の持続的症状のある患者を評価する一つの方法は、身体的労作後の疲労のレベルと、その疲労の出るタイミングを具体的に尋ねることです。ME/CFSの労作後の消耗(体調不調)は、疲労、痛み、認知機能低下などの症状の劇的な悪化が、労作後すぐではなく、1日か2日後に起きます。それに対して、労作中の息切れはME/CFSに典型的ではありません。

現在、ME/CFSには治療薬がありませんが、診断されることで、活動と休息のバランスを取ることによってエネルギーを温存する方法である「ペースの調整」を習うことができます。「この種の行動テクニックは、疲労を伴う慢性疾患の患者の誰にとっても重要で、より機能的でいるために役立つ可能性があります」とチュー先生は語ります。

もし患者がME/CFSの兆候を示しているようであれば、「6ヶ月たつまで待たずに、症状の管理を助けて下さい。疲労が強いCOVID-19患者に『ペースの調整』を教えても、害になることはありません。調整が上手になるにつれ、自然ともっと調整するようになります。もしME/CFSにかかっていれば、エネルギー産生が欠如していることをデータは示していますので、『ペースの調整』によって身体にかかるストレスが軽減されます」

COVID-19はME/CFS患者の新しい波を引き起こすか   
「COVID-19のセッション」の多くは、現在行われている研究に向けられました。例えば、シカゴのデポール大学コミュニティー研究センターのレオナード・ジェイソン博士は、2014年に開始した、EBウイルスによって伝染性単核球症に罹患した大学生の中でME/CFSを発症する危険因子を調べる前向き研究について述べました。現在、このチームは、同じ学生群の中からCOVID-19を発症する学生をフォローしています。

オープン・メディスン・ファンデーション(OMF)によるプロジェクトでは、重症のCOVID-19で集中治療室に入院していた患者をフォローします。持続する症状のある患者から6ヶ月後に血液、尿、脳脊髄液を採取すると同時に、調査票によるデータも集めます。18~24ヶ月後に、まだ様々な症状の報告が継続している患者は、ゲノミクス、メタボロミクス、プロテオミクスを使用してさらに集中的な評価を行います。「研究結果によって、予防や治療戦略に役立つ創薬ターゲットやバイオマーカーの可能性についての洞察を得ることができるかもしれません」と、OMFの主任医官でありハーバード大学医学部教員であるロナルド・トンプキン先生は語りました。

The Solve ME/CFS Initiative(米国の患者団体)のサディー・ウィッタカ―博士は、ME/CFS患者に対するCOVID-19の影響を前向きに追跡するための、レジストリーを用いた新しい計画について述べました。ボディポリティクスなどの「長引いているCOVID-19」のコニュニティーとも提携していると言及しました。「目標は、一緒に研究し、より大きなサンプルサイズの力を通して起きていることを理解するために、連携することです。」

※英語の原文はこちらからご覧頂けます