20.7.21Care NetにCOVID-19とMEの記事

7月21日付けのCare Netに、「COVID-19の疲労症候群~筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群研究のまたとない機会」と題して、COVID-19後にME/CFSを発症する可能性について取り上げられました。

ウイルス感染が去ってすぐの疲労感は珍しいことでありませんが、時にはME/CFSに陥る恐れがあります。米国国立アレルギー感染病研究所(NIAID)を率いるアンソニー・ファウチ氏も、長きにわたる疲労症候群がCOVID-19に伴う場合があり、その症状はME/CFSに似ているとの見解を今月初めのAIDS学会での記者会見で表明しています。

ME/CFSの原因は謎ですが、感染症との関連が示唆されており、米国・英国・ノルウェーでの調査によると、ME/CFS患者の75%近くがその発症前にウイルス感染症を患っていました。また、西ナイルウイルス(WNV)、エボラウイルス(EBV)、エプスタインバーウイルス(EBV)等の特定の病原体とME/CFS様症状発現の関連が相当数の患者で認められています。

2003年に蔓延したSARS感染患者の退院から1年後を調べた試験では、実に6割が疲労を訴え、4割以上(44%)が睡眠困難に陥っており、6人に1人(17%)は長引く不調で仕事に復帰できていませんでした。

そういった試験結果を鑑みるに、ME/CFS研究連携を率いるモントリオール大学のAlain Moreau氏や他の研究者の関心は、今や新型コロナウイルスがME/CFSを引き起こすかどうかではなく、どう誘発しうるのかに移っています。

誘発の仕組みの中で自己免疫反応の寄与を、米国NIHの神経ウイルス学者Avindra Nath氏はとくに有力視しています。ME/CFS患者を調べた2015年報告の試験では、自律神経系受容体への自己抗体上昇が認められています。

もしCOVID-19が自己免疫疾患を招きうるなら、何らかのタンパク質へのT細胞やその他の免疫の担い手の反応が血液中に現れるはずです。そこでエール大学の免疫学者岩崎明子氏等は、COVID-19入院患者数百人の血液検体を採取し、すぐに元気になった場合とそうでない場合の免疫特徴を比較する試験を開始しています。

Moreau氏とNath氏等もCOVID-19患者を長く追跡してME/CFSの原因を探る試験を始めており、それらの試験結果はCOVID-19を経た人のみならず世界中のME/CFS患者のためにもなるはずです。

研究所や政府はCOVID-19患者がME/CFSに陥りうることに目を向け、資源や人を配して事に当たるべきであり、さもないとME/CFSの謎の解明のまたとない機会がふいになってしまうとNath氏は言っています。