20.7.23Forbesに新型コロナで脳に損傷の恐れ

7月23日付のForbes Japan(世界的経済誌Forbes日本版)に、「新型コロナ感染で脳に損傷の恐れ 英医師らが長期的影響を警戒」と題する記事が掲載され、7月8日に学術誌「Brain」に掲載された論文が紹介されました。

COVID-19の症状が軽度でも、深刻な脳機能障害が起きる危険性があるといい、その他の症状がまったくないにもかかわらず、神経系に問題が起きた人もいると警告している。この論文は、英国のCOVID-19患者40人を対象に行った調査結果をまとめたもの。患者の多くが発熱や呼吸器系の問題などCOVID-19によくみられる症状を示していたものの、いずれも軽度だった。だが、確認された脳機能・神経系の症状は広範にわたり、一部は深刻なものだったという。

55歳の女性患者は、退院4日後に診察の結果、幻覚を経験していたことが分かった。妄想の症状が現れ、抗精神病薬を投与し、症状は3週間で改善した。その他のCOVID-19患者(16~85歳)が経験したほかの脳機能障害には、せん妄などの精神機能障害や、脳卒中、四肢に見られる末梢神経の問題などがあった。

急性散在性脳脊髄炎(ADEM)と診断された患者が9人いたことは、特に気がかりとされた。ADEMは、免疫系が中枢神経系を絶縁体のように覆っているミエリン(髄鞘)を攻撃したために起こるものと考えられ、ミエリンが損傷したり失われたりした場合には神経の電気信号が遮断され、まひや認知機能の問題など、さまざまな症状が現れる可能性がある。

論文の著者の一人であるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン病院のマイケル・ザンディ神経科医長は自身のツイッターで、次のステップはこれらの原因の究明と神経系の症状の治療方法を確立すること、監視と疫学的な研究などだと指摘。「グローバルな共同努力が必要だ」と述べている。

この論文は、新型コロナウイルスによって引き起こされたと考えられる脳機能障害の症状が、非常に多岐にわたることを示している。英国では、COVID-19に関連した神経系の症状を報告し、このウイルスが脳に及ぼす影響についての理解を深めるためのプログラム「CoroNerve」が立ち上げられた。

COVID-19から回復した患者には、長期にわたって後遺症が残る可能性があることが指摘され、懸念が高まっている。論文の著者らは、神経系の合併症はまれではあるとみられるものの、同様に長く影響が残る恐れもあると警告。さらなる研究が必要だとしている。

学術誌Brainの英語の原文はこちらからご覧頂けます