20.4.17毎日新聞WEBに過剰な検査制限の記事

少し古い記事ですが、4月17日に毎日新聞WEB版の「医療プレミアム」に、「新型コロナ 過剰な検査制限『高熱10日でもダメ』」と題する、太融寺町谷口医院院長の記事が掲載されましたので、一部をご紹介致します。

WHOのテドロス事務局長は3月16日、「(今すべきなのはとにかく)検査!検査!検査!」と世界中にアピールしましたが、日本はその後も検査を重症者に絞り込む方式を継続しています。4月2日、日本感染症学会は「PCR検査の原則適応は、『入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺炎を強く疑う症例』とする。軽症例には基本的にPCR検査を推奨しない」と発表しました。

検査がなかなか認められず、「悲劇」になりかねなかった事例を紹介して、検査対象を重症例だけに絞り込む日本式でいいのかどうかを問いたいと思います。患者さんは、大阪府在住の50代の女性です。

発熱とせきが4日続いたため帰国者・接触者相談センターに電話すると、「新型コロナの検査の対象ではないから」と言われ、近くの診療所に電話をしても受診拒否。次いで相談したA診療所では、インフルエンザの検査をせずに抗インフルエンザ薬が処方されましたが、3日たっても熱は下がらず、A診療所に電話すると「もう来ないでほしい」と言われました。

仕方なく何軒かの診療所に相談し、ことごとく受診を拒否され、ようやく見つけたB診療所では医師と電話で話し、医師の顔も見ないまま受付で抗菌薬を渡されました。さらに3日たっても高熱は下がらず、B診療所に電話をすると「もう来ないでほしい」と言われました。

再度相談センターに電話すると「検査の対象外」と告げられ、その後何軒かの診療所に電話しても、どこも診てくれず、問い合わせた医療機関は既に10軒を超えました。知人に太融寺町谷口医院を紹介され、電話で相談。私は話を聞いて、この時点で新型コロナウイルスの可能性が高いと判断。 地元の医師会に電話で相談するよう言いかけたところ、すでに10軒以上から断られていることを強く訴えられ、自家用車で午前の診察の最後に来てもらうことにしました。

レントゲンで肺炎の症状がなく、血液検査でも大きな異常は認められませんでしたが、38度以上の高熱が10日以上も続き、食事は取れず水分摂取がやっとです。この症状なら検査の対象になると確信し、この女性が住む地域の相談センター(保健所)に交渉しましたが、感染者や帰国者と接したエピソードがない、検査結果に明らかな肺炎の所見がない、といった理由で「検査の対象ではない」と断られてしまいました。

翌日の電話で解熱剤の効果が乏しいことを確認し、大きな病院からも拒否されることを避けるために、新型コロナではなく「原因不明の発熱」として紹介しました。どのような理由であれ、入院ができて発熱が続いていれば新型コロナウイルスの検査がおこなわれます。そして、結果は「陽性」でした。

疑いがあれば積極的に検査をするのが世界の流れです。日本の人口あたりの検査数は韓国の19分の1、アイスランドの187分の1です。もしもこの患者さんが、韓国やアイスランドに、いえ、日本以外の先進国であればどこに住んでいたとしても、もっと早くに検査がおこなわれ迅速に治療が開始されたのは間違いありません。検査は重症例のみにおこなうという日本方式で本当にいいのでしょうか。