20.7.14 テレビ朝日で新型コロナ後遺症

7月14日(火)にテレビ朝日の「大下容子ワイド!スクランブル」で、「新型コロナの後遺症」と題して、COVID-19後の体調不良などについて、約30分にわたって取り上げられました。

 司会:新型コロナウイルスの感染者の中には、回復後、発熱や息切れなどの後遺症が残るケースが報告されています。若者や軽症者にも出る可能性があり、厚労省は来月から研究を始めると発表しました。

ナレーション:東京における昨日の新規感染者は119人。年代別に見ると20代と30代が7割を占め、若い世代への広がりが懸念される。しかし、専門家の示す危機感はそれだけではなく、重症患者増加への備えが必要だという。そこへ今、感染した人が回復した後に、息苦しさなどの症状が出るケースがあり、海外からの発表では、後遺症は軽症者や若者にもあるという。

司会1:スタジオには感染制御学が専門の、東邦大学の小林寅喆教授にお越し頂きました。
司会2:今日のテーマは「軽症者も後遺症の可能性? 厚労省が研究を開始へ」。主なポイントは、「無症状感染者から感染が拡大する」「脳にも後遺症の可能性があるかもしれない」「退院後も苦しんでいる若者の実態」。政府側が経済活動をやっても良いとする根拠は軽症者の多さです。7月13日時点の東京の感染者は1385人。その内、軽症・中程度の入院患者645人、ホテル宿泊療養80人、自宅療養258人、入院療養など調整中396人、重症6人。昨日の陽性率は22%でした。

 小林先生(K):感染者が少なかった時にきちんと手を打っておかなければならなかったのに、色々と解除することにより、こういう数字が出てきましたし、陽性率も確実に上がってきています。感染は「夜の街」から市中へ広がっており、二次感染、三次感染も増えています。重症化した場合には、あっという間に病院は埋まっていくと思いますが、その時に対応ができるのかを考えておかなければなりません。

司会2:東京都のモニタリング会議のメンバーでもある帝京大学附属病院の坂本哲也病院長は、軽症者が重症化することを危惧されています。イギリスの研究論文によると、発症して咳、発熱、倦怠感が出始め、1週間くらいで40%の患者が呼吸苦を訴え、発症後10日で14%の患者が重症化し、5%がICUに入院します。小林先生は、若い人でも急に容体が悪くなり重症化する可能性があり、これから重症者が増えていくのではないかとおっしゃいます。

司会2:厚労省は、退院後も呼吸機能が低下し、酸素投与が必要になる例があるとして、早ければ8月から後遺症の実態把握の研究を開始すると発表。東京新聞には、重症化せずに退院した人の中にも、発熱、倦怠感、味覚・嗅覚障害が続くケースがあると書かれています。ローマの大学病院では、重症化せずに退院した患者143人の内、87.4%が何らかの症状を訴えており、倦怠感50%以上、呼吸苦40%以上、関節痛20%以上で、重複する症状を訴える人もいます。

K:新型コロナ感染症にかかった時、人の体はそれに対する防衛反応を起こしますが、その防衛反応が自分の体を過剰に傷つけてしまうということが起きます。ウイルスに対しては軽症ですんだにも関わらず、自分の体には大きな衝撃を与えてしまい、それを修復するまでに時間がかかるので、それが後遺症として残っていってしまいます。ウイルス感染の症状と後遺症は別のものとして考える必要があります。

司会2:イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームの研究です。新型コロナに感染と診断された人と感染疑いの患者合わせて43人を調査した結果、脳の炎症12例、脳機能障害10例、脳卒中8例、神経系の損傷8例。脳の炎症12例の内9例は急性散在性脳脊髄炎と診断。急性散在性脳脊髄炎とは、ウイルス感染後に生じる脳や脊髄、視神経の疾病で、症状は発熱、頭痛、意識の混濁など。UCLでは通常、月に1人の割合で急性散在性脳脊髄炎の患者を診ていましたが、ウイルスが流行していた最中には週に1回に増えたということで、軽症者でも脳に炎症が起こる可能性があるということです。

UCLのマイケル・ザンディ博士によると、脳の炎症などは呼吸器症状の重症度と必ずしも相関関係があるわけではないようです。ウイルス自体が脳を攻撃するのではなく、免疫反応によって引き起こされたと推察され、小林先生がお話しされたように、体を過剰に防衛しようとする結果、体を傷つけるということに関係してくるようです。感染症による脳への後遺症は、1918年のスペインかぜの流行後、1920~30年代にも嗜眠性脳炎という脳神経症が流行しましました。ザンディ博士は嗜眠性脳炎に似ているかもしれないが、脳の症状がパンデミックに関連するかどうかは検証が必要としています。

司会2:(9日の東京新聞)千葉県の10代男性は3月末に発症し、4月1日に陽性と判明し、約2週間入院後にホテルで経過観察。5月中旬に2回陰性の結果がでて帰宅。ところが、体調は回復せず、体重は8キロ減、頭や胸の痛みが残っており、発熱や倦怠感もあり、4月から登校していません。検査入院をしたところ、新型コロナに罹患した影響と診断。この男性は、「無症状や軽症者が多いと軽くみる人が増えているようで心配。陰性になっても症状に悩まされる患者がいることを知ってほしい」とおっしゃいます。

司会2:WHOが先月9日に、感染者の40%が無症状感染者から感染したと推定する研究例もあると発表しました。無症状感染者とは、潜伏期間で症状が表れていない感染者と、全く症状が出ない感染者に分けることができます。WHOの発表を裏付ける研究結果として、アメリカのイエール大学感染症モデリング分析センターの分析によると、明らかな症状がない人からの感染が半分を占めている可能性があると、CNNは報道しました。潜伏期間の感染者からの感染が48%、無症状の感染者からの感染が3.4%としています。症状のある全ての感染を即座に隔離したとしても、感染拡大を抑え込むのに不十分ということです。

K:これは推計値であることを押さえておく必要があります。感染者の潜伏期間はウイルス量が上がってきていますので、感染が起こりうるということです。無症状者であれば、ウイルス量がかなり低いと思われます。全ての人に検査は物理的に不可能ですので、感染が起こった場所を中心に、接触者に必要な時に必要なだけの検査をすることが非常に大切です。