20.7.3NCNP:脳内構造ネットワーク異常の論文

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院放射線診療部(佐藤典子部長)、神経研究所免疫研究部(山村 隆特任研究部長佐藤和貴郎室長)の研究グループは、ME/CFSの自律神経受容体に対する自己抗体に関連した脳内構造ネットワーク異常を明らかにしました。

論文は7月1日に米国のオンライン雑誌「Journal of Neuroimaging」に掲載され、7月3日にNCNPよりプレスリリースされました。

MRI画像を用いた構造ネットワーク解析を行い、抗自律神経受容体抗体価との関連について調べた結果、抗β1および抗β2アドレナリン受容体抗体が、ME/CFS患者の痛みを始めとする様々な症状を説明しうる脳内の特定の部位の異常と結びついていることが明らかとなりました。

今回の研究の意義は3つ挙げられます。
①今回異常が同定された右背外側前頭前野は、先行研究で示された右上縦束と密接な関連があります。従ってME/CFSにおける右上縦束の重要性がさらに確実になりました。将来、脳画像解析がME/CFSの診断に活用されることが期待されます。
②客観的な検査異常が確立していないME/CFSにおいて、この自己抗体が新たな血液診断バイオマーカーの一つとなる可能性が考えられます。
③治療の観点から、この自己抗体を除去する、あるいは産生を減少させる治療法が抗体価の高い患者に有効な可能性が考えられます。

NCNPのプレスリリースはこちらからご覧頂けます

■原著論文情報
・論文名:Altered Structural Brain Networks Related to Adrenergic/Muscarinic Receptor Autoantibodies in Chronic Fatigue Syndrome「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群における抗アドレナリン/ムスカリン受容体自己抗体に関連した脳内構造ネットワーク異常」

・著者:Hiroyuki Fujii, Wakiro Sato, Yukio Kimura, Hiroshi Matsuda, Miho Ota, Norihide Maikusa, Fumio Suzuki, Keiko Amano, Isu Shin, Takashi Yamamura, Harushi Mori, Noriko Sato 藤井裕之、佐藤和貴郎、木村有喜男、松田博史、太田深秀、舞草伯秀、鈴木文夫、天野恵子、申偉秀、山村隆、森墾、佐藤典子

・掲載誌:Journal of Neuroimaging, 2020
https://doi.org/10.1111/jon.12751

【研究に関するお問い合わせ】
国立精神・神経医療研究センター病院放射線診療部 佐藤典子部長
国立精神・神経医療研究センター神経研究所 山村 隆特任研究部長