20.5.22BUSTLEにCOVID-19とMEの記事

5月22日付のBUSTLE(アメリカのオンライン雑誌)に、「コロナウイルス後にME/CFSの診断が増加すると研究者は示唆」と題する記事が掲載されました。MEAction のブレア氏、オックスフォード大学のモートゥン博士、ME/CFSの研究センター長のベイテマン先生、コーネル大学のハンソン教授が、COVID-19後にME/CFSを発症する可能性について語っています。

「8年前にウイルス感染後にMEの神経症状が現れ始めた時、信じてもらえず、診断されない数年の間に具合がずっと悪くなりました」と、ME/CFSの活動グループ#MEActionの創立者であるジェニファー・ブレア氏は語ります。ブレア氏が感染後に症状が出たのと同じように、COVID-19から回復した人の中にME/CFSに移行する人が出る可能性について、研究者達も活動家達も懸念しています。

「ウイルスや細菌感染がME/CFSの誘因となる可能性が提示されていますので、高レベルの重篤なCOVID-19感染が、将来ME/CFSの症例の増加につながる可能性があります」と、オックスフォード大学リプロダクティブヘルス学部の主任研究者でありME/CFSの世界的専門家であるカール・モートゥン博士は語ります。

ベイテマン・ホーン・ME/CFS研究センター長のルシンダ・ベイテマン先生は、「一般的に、過去において私達はウイルスを真剣に捉えることなく、患者に対して『うちに帰ってゆっくり休みなさい』と言いますが、感染後通常に回復しないかなりの割合(1~10%近い可能性)の患者は、軽んじられ忘れ去られることが多かったのです」と語ります。「どんどん数が増えているCOVID-19の症状がいつまでも続いている人々に、こうしたことが起こるのを見たくありません」とブレア氏は語ります。

2003年のSARSの流行も別のコロナウイルスが原因でしたが、COVID-19でも何が起きうるのかを知る手がかりとなります。「COVID-19からME/CFSに移行するかどうかは分かりませんが、ずっと前にSARSにかかった人々の中には、二度と以前のような健康を取り戻すことはなかった人がいたという事実が、この可能性を高めます」と、カーネル大学の衰弱性神経免疫系疾患センター長であるモリーン・ハンソン教授は語ります。例えば、2011年にBMC Neurology(神経学)に発表された研究では、SARSにかかり未だに長期に及ぶ健康への影響に苦しんでいる22人の医療従事者を調査しました。彼らの多くの症状は慢性疲労症候群を指しています。

モートゥン博士は、COCID-19がME/CFS研究の機会を実際に提供する可能性があると希望を抱いています。コロナウイルスから回復した多くの患者が、血液サンプルを提供しましたので、将来MEの兆候が表れたら、検査することができます。「ME/CFSのバイオマーカーの可能性が生まれてきており、COVID-19からの回復者集団はそれらを検査する良い機会を与えてくれます」とモートゥン博士は語ります。

もちろん、コロナウイルス等のウイルス感染から回復した人が、確実にMEに移行するという意味ではありません。「ウイルスが引き金になることがすべてではなく、個人の持つME/CFSの発症のしやすさが、深刻なウイルス感染と同様に重要である可能性があります」とモートゥン博士は語ります。

コロナウイルスのパンデミックが、MEの長期的影響について人々の目を覚ますことができることを、研究者コミュニティーは願っています。「この病気を予防し、予後を緩和し、苦しんでいる人々の経験を検証することが可能になるべきです。世界は今もMEの理解に迫ろうとしていますが、このウイルスがMEとME患者の捉え方を変える可能性があります」とベイテマン先生は語ります。

※英語の原文はこちらからご覧頂けます

Studies cited:

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Valdez, A. R., Hancock, E. E., Adebayo, S., Kiernicki, D. J., Proskauer, D., Attewell, J. R., Bateman, L., DeMaria, A., Jr, Lapp, C. W., Rowe, P. C., & Proskauer, C. (2019). Estimating Prevalence, Demographics, and Costs of ME/CFS Using Large Scale Medical Claims Data and Machine Learning. Frontiers in pediatrics, 6, 412. https://doi.org/10.3389/fped.2018.00412