20.6.12国際学会の臨床医の手引書by NCNP

20.3.12国際MECFS学会の臨床医のための手引書国際ME/CFS学会では、2012年に「ME/CFS 臨床医のための手引書」を発行しました。その後、2014年に改訂版が出され、この度、AMED「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に対する診療・研究ネットワークの構築」研究班(研究代表者:国立精神・神経医療研究センター:NCNP 山村隆先生)によって翻訳が完成し、研究班のHPに掲載されました。多くの医療関係者(特に神経内科医、総合内科医、開業医)や福祉関係者の方にご紹介頂ければ幸いです。

国際ME/CFS学会会長のフリードバーグ先生が手引書執筆委員長を務め、アメリカ、カナダ、ニュージーランドの医師、研究者、理学療法士、心理学者等10名によって執筆されました。ハーバード大学のコマロフ先生は序文の中で、「本手引書は、多くの経験豊かな臨床医や臨床研究者の英知の結集であり、ME/CFSの診断方法や、根治的ではないが有益とされている治療法に関する助言も記されている。本書が役立てられたら幸いである」と述べています。

この手引書は、「諸言および概要」「ME/CFSの病因」「ME/CFSの病態生理学」「臨床診断」「マネージメント/治療」「臨床上の関連事項」「REFERENCES」の7章から構成されています。最後に付録として、「1994年の研究症例定義の基準ワークシート」「小児用ME/CFS症例定義ワークシート」「運動耐用能スケール」「活動日誌」「術前の患者に対する推奨事項」「ME/CFSファクトシート」が付いており、実際に臨床の現場ですぐ使用することができます。

診断に関して、「本手引書では2003年のカナダの臨床症例定義(2003 Canadian Clinical Case)を使用する。これは、臨床現場での使用を意図しており、ME/CFSの主な症状についてより適切に焦点を当てている」とし、「ME/CFS臨床診断基準ワークシート」も掲載されており、こちらも臨床現場ですぐに使用できます。

患者にとって重要な「ペースの調整」について、「エネルギーの許容量を超えないようにするためには、患者によっては活動量を減らす必要がある。多くの患者が疲労やその他の症状を軽減しようと、誤って過度な運動を行ってしまう。さらに、医療サービスの提供者が善意から、健常者用のガイドラインを使用して患者に運動を推奨することがある。そのようなガイドラインは通常、この疾患には適しておらず、しばしば逆効果である。誤った運動は労作後の消耗による症状の再燃や再発を起こす原因となり、運動を続ける意欲を削ぐ結果となる。個々の患者にとっての運動の最適量は通常健常者用の基準を大きく下回るもので、ペースの調整によって、労作後におきる症状の悪化が回避され、改善が促進される」と書かれています。

認知行動療法(CBT)について、「認知行動療法(例:「疾患に対する考え方」を変える)と段階的活動は病気を「逆戻りさせる」あるいは根治に導くという根拠については、治療介入後のデータで裏付けがとれていない。日常診療において、CBTはME/CFS患者に対して臨床的に有意な効果をもたらしていない」と書かれています。

重症患者について、「数ヶ月あるいは数年間も外出することができないか車椅子生活、もしくは寝たきりである可能性がある。これらの患者の評価により判明したことは、著明な脱力感と症状の重症度が高いことであり、特に、脳を使う活動や身体的活動への深刻な制約、光・音・触ること・特定の食品や薬剤に対する過敏症などが明らかなっている。多くの外出できない患者は在宅支援を必要としている」と書かれています。

ME/CFSに対する診療が広がらない理由の一つに、今まで「診療の手引書」がなかったことが挙げれます。この手引書が広く知られるようになり、全国で診療体制が整うことを切に願っております。医療機関等への周知には皆さんの協力が必要です。ご協力をお願い致します。

もし医療関係者から手引書について質問がありましたら、NPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」の事務局(cfsnon@gmail.com)まで、直接、メールを頂けるようお伝え下さい。こちらで専門医の方へ問い合わせます。

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