20.5.10MEActionにCOVID-19とMEの記事

MEActionという、国際的なME/CFSのアドボカシー団体(共同設立者の一人はドキュメンタリー映画“Unrest”を製作したブレア氏)のHPに、「研究者たちは新型コロナウイルス感染症がMEを含む慢性疾患の急増を引き起こすと懸念している」と題する記事が掲載されました。米国NIHのME/CFS研究を率いるコロシェツ所長や、ME/CFSの研究者であるコロンビア大学のリプキン教授やモントリオール大学のモロー教授等が、COVID-19とME/CFSについて語っています。

多くの研究者が、ウイルス感染症が長期にわたる疾患や障害の引き金となりうることを示しています。80%までのME/CFSの症例は感染によって引き起こされています。ME/CFSのコミュニティー・研究者・臨床医・アドボカシー・患者等は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後にME/CFSや他のウイルス感染後疾病を発症する可能性について非常に懸念しています。新型コロナウイルス感染症に続いて、多くの人が新たにME/CFSを発症する可能性は、どうでもいいことではないからです。

米国国立衛生研究所(NIH)も同感です。NIHの国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)のコロシェツ所長は、例えば伝染性単核球症やライム病のようなウイルス感染症が免疫応答の引き金となってME/CFSを発症するというアイデアは、研究者達の頭の中心を占めています」と語りました。NIHでは現在、メリーランド州の臨床センターにおいて、ウイルス感染後ME/CFSの研究を行っています。

深刻な感染症が一定地域の住民を襲うと、その後でME/CFSが続くことが多いです。全米医学アカデミー(旧米国医学研究所)の2015年の報告では、EBウイルスやヒトヘルペスウイルス6などのヘルペスウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス等の様々な急性ウイルス感染症によって、ME/CFSが引き起こされる可能性があると結論づけています。

新型コロナウイルスが、ME/CFSを発症したことが実証された初めてのコロナウイルスにはならないでしょう。SARSとMERSの原因となる2つの他のコロナウイルスに感染した人々にしばしば、長期にわたって障害が及ぶ症状が起きることを、様々な研究は示しています。SARSから回復した人の27%が、SARS発症後数年後にもCFSの診断基準を満たしていたとする研究もあります。

感染症と免疫センター長でありコロナウイルスとME/CFSの専門家であるイアン・リプキン博士は、「様々な違った感染性微生物によって同じ病態に至ることは驚くべきと思われるかもしれませんが、ME/CFSは数々の攻撃に対する思いがけず均一的な身体の反応によって引き起こされる可能性があります。コロナウイルスがME/CFSの原因であると示唆しているわけではなく、むしろウイルスに対する応答における生まれつきの免疫のメカニズムが引き起こしている可能性があります。つまり、恐らく多くのウイルスによってME/CFSは引き起こされうるということです」と、#MEActionの取材に答えました。

医師たちは、新型コロナウイルス感染症患者に多くの長期的影響が現れてきたことに気づき始め、Neurology Todayによると、イタリアでは神経内科医たちが、脳卒中、せん妄、てんかん発作、脳炎に非常によく似た非特異的な神経症状の治療を受けている新型コロナウイルス感染症患者のために、すでに別の神経系病棟を創設しています。

 ケベック州のモントリオール大学のアラン・モロー先生は、「残念ながら、確実にコロナウイルス感染後にもっとME患者が増えるでしょう。過去のコロナウイルス感染症の集団発生の時に集中治療から回復した200人以下の研究において、約1/3の患者がME/CFSのような症状を発症し、1年後になっても仕事に戻れなかったとする研究があり、新型コロナウイルス感染症でも同様のことが起きているという速報がいくつかあります。EBウイルスのように、他のME/CFSの症例もウイルス感染後の発症が報告されていますので、驚くことではありません。起きるかどうかが問題ではなく、何人がかかるかという問題です」と、#MEActionの取材に答えました。

 広い範囲の感染がME/CFSの引き金となることや、新型コロナウイルス発症後数ヶ月たっても神経症状が持続しているという多くの初期の報告を基にすれば、新規のME/CFS患者が、間もなくあふれることになるでしょう。しかし、世界中の医療システムが嘆かわしいほど治療にあたる準備が整っていません。

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