20.3.15The CanaryにCOVID-19とMEの記事

3月15日付のThe Canary(2015年にイギリスで設立されネットでニュースを配信)に、「誰も話題にしない新型コロナウイルスによる大惨事の可能性」と題する記事が掲載されました。世界中で拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した患者の一部が、その後ME/CFSを発症する可能性について書かれています。

3月13日にWHOは、ヨーロッパが新型コロナウイルス感染症発生の中心になっていると発表、イギリス政府の対応は日増しに批判にさらされています。しかし、その裏で第二の大惨事が起こる可能性があるにも関わらず、誰もこれを公に話題にしていません。

筋痛性脳脊髄炎(ME)は慢性的な全身性の神経免疫系疾患で、CFS、ME/CFS、ウイルス感染後疲労症候群とも呼ばれています。ある研究では、ME患者はウィルスに対する免疫システムの反応が常時亢進しており、ウィルスが存在しなくなってからも、ウィルスに対して常時戦闘状態にあると身体が認識し反応しているようだとしています。

ドキュメンタリー映画”Unrest”(不安と共に生きる)を製作し、ME/CFS患者でもあるジェニファー・ブレア氏は、3月14日にtwitterで、「アメリカや他の国々では、新型コロナウイルスによる感染や入院、死亡に備えていますが、誰も話題にしていないもう一つの問題があります。それは長期にわたる慢性疾患です。高齢者や基礎疾患のある方は、新型コロナウイルスにより重症化するリスクが高いと言われていますが、一部の人は感染後にMEを発症する可能性があるのです」とつぶやきました。

オーストラリアのメルボルン市ディーキン大学のマーク・グスリッジ先生は、MEを研究する科学研究者ですが、「ME/CFSは様々なウイルス性の病原体が引き金となりうることが判っていますが、今後6~18か月の間に、新型コロナウイルスがME/CFSの世界的増加の引き金になる可能性があるでしょう」とtwitterでつぶやきました。感染後に発症するME/CFSは、ブルセラ症、EBウィルス(伝染性単核球症)、ライム病、Q熱、ウィルス性髄膜炎、デング熱などのパンデミックの後で増加するリスクがすでに報告されています。英国の医学誌The BMJは2006年に、4種類のウイルスに感染した患者の内、9%がMEを発症したとする、マーク・グスリッジ先生が関与する論文を発表しています。

2003年にカナダのトロント市におけるSARSの流行の際に、少なくとも273人が感染し、集中治療を受けた107名の患者の調査が実施されましたが、様々な症状はMEに非常に類似していました。感染1年後にも、17%の患者は持続的に症状が重く、仕事に戻ることができず、87%の患者には何らかの症状が残っていました。

アメリカにおけるコロナウイルス感染後の状態を、米国の疾病対策センター(CDC)が推定しています。また、The CanaryはSARS研究のデータをかみ砕き、コロナウイルスでは、米国で408,000~3,570,000人が、感染後1年で重篤なMEのような症状が発生する可能性があると推定しました。

英国、米国、オーストラリアでは、MEの爆発的発生の可能性がさらに高まっています。しかし、これまでのところ、オーストラリア、米国、英国の政府は、慢性疾患のこの潜在的な流行の可能性について何も述べていません。それは、多くの専門家がそもそもMEを認識していないからです。

ジェニファー・ブレア氏は、「ME/CFSのコミュニティーは長年、エボラ出血熱後症候群、エンテロウイルスの集団発生などを見守り、感染後に長期にわたる後遺症に苦しむ人々を注視してきました。新型コロナウイルでも同じことが起こり得ますので、追跡調査が行われなければなりません」と締めくくりました。

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