19.11.18AbemaTVに山村先生と篠原理事長出演

11月18日(月)にインターネットテレビ局のAbemaTVのニュース番組「AbemaPrime」で、ME/CFSの特集番組を46分間にわたって放送して頂きました。国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部部長の山村隆先生と、当法人の篠原理事長が生出演致しました。

平石直之さん(テレビ朝日アナウンサー)の司会で、竹山 隆範さん(カンニング)、池澤あやかさん(タレント)、夏野 剛さん(実業家)、箕輪 厚介さん(編集者)、金 慶珠さん(言語学者)がコメンテーターとして出演されました。全員が当法人製作のドキュメンタリー映画「この手に希望を」を事前に見て下さいました。

司会:筋痛性脳脊髄炎は脳と中枢神経に影響を及ぼす深刻な神経難病で、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類にて神経系疾患と分類されており、疲労の病気ではありません。寝たきりに近い患者さんも多く、重症になると家族やヘルパーの支えが必要です。発症のメカニズムも、効果的な治療法も見つかっておらず、国内の推定患者数はおよそ10万人。日本では慢性疲労症候群と呼ばれ、一般の検査では異常が出ないことから、「気のせい」「怠けているだけ」という誤解に当事者の方々は苦しんでいます。

約10年前に発症した新潟のMさんは、以前に自宅で転倒して足の指を骨折した際に、体の痛みの方が強いので、骨折の痛みは全く感じませんでした。慢性疲労症候群という名前から、ただ疲労が取れにくい病気などと誤解され深刻さが伝わらず、心ない声は周囲の人だけでなく、患者を支える存在であるはずの医者からも。医療関係者で知っている方があまりにも少なすぎるのが現実です。

たった数メートルの移動でも体力を消耗して動けなくなるため、食事の準備など家事全般をヘルパーにお願いしていますが、シャワーを浴びることができず、週2回ほどタオルで体を拭いてもらうだけ。発症前は働いていましたが、症状の悪化に伴い、職を失いました。「きっとずっともう寝たきりなんだろうと思うんです。ただ、もうちょっとだけ、この痛みを堪えてでも生きたい。孫の成長を見ることが、もう今は生き甲斐です。ちょっとでも手を繋いで歩きたい」とMさん。

原因不明の病について広く知ってもらおうと働きかける当事者である篠原さんは、NPO法人筋痛性脳脊髄炎の会の理事長。患者会で製作したドキュメンタリー映画の上映会や、病気に関する海外の最新情報の翻訳なども行なっています。「この病気は見た目では全く症状の辛さはわかりません。1週間~1ヶ月休んでいると、少し回復してくるので短い間だけ少し動けますが、外の人たちはその瞬間しか見ないので、『元気そうじゃない』と。その後1ヶ月はトイレに行くのも大変な生活をしていても、周りの人は見ることはないですから、深刻さをわかっていただけないです」と篠原さん。

【これ以降はスタジオから生出演】

篠原:今まで疲労の病気とか心因性の病気であるかのような間違ったような情報が長年の間流されてきましたので、この病気は深刻な神経難病であることを知っていただきたいと思います。私が発症した1990年にアメリカでは、すでに脳に異常があることが知られ、1988年からは免疫を調整する薬が治験に入っており、免疫が関与する病気ということがわかっていました。

山村:この病気は脳の中で免疫が異常な活動をして炎症を起こし、その炎症が引き金となって色々な症状が出ているのではないかというのが、 一つの主な仮説です。患者さんの血液を調べますと、免疫系の異常は確かにあることはわかっていますが、この病気の発症につながる仕組みは、まだ解明されていません。アメリカでは、一般のドクターでもこの病気のことを知っていますが、日本では、医学の教科書にこの病気のことが出てきませんので、医学生は一切この病気のことを習わないまま医者になっていく状況です。ですから、この病気を診断したり治療するという環境にはないのです。

今は症状の組み合わせや、病気の経過を参考にして診断します。今はバイオテクノロジーの時代ですので、分子の異常などの数値化できる異常や、画像で目に見える異常がないと、なかなか診断できないのが一般の医学界で、経験のないドクターには難しい診断基準だと思います。医学、生物学の研究は進んでいますし、最新のテクノロジーを導入して研究を進めていますから、5年、10年後には、血液1滴取るだけで診断できる時代になるのではないかと思います。

本格的な治療は、これからだと思います。この病気は免疫の異常がある病気ですが、免疫系の難病は、日本も含めてグローバルな製薬企業が、新薬をどんどん出して治ってきています。この病気も治せる時代がくると思いますが、今はまだ一歩手前です。

司会:軽症(全体の3割)の方でも、少し作業した後の回復に、半数以上の方は24時間以上要して、寝たきりになるくらいで、軽症といっても相当大変な状況にあるんですね。

篠原:本当に色々な症状が辛いのですが、筋力低下や睡眠障害がかなり激しいです。発症して30年近くなりますが、30年間ほとんどまともに寝ていなくて、それでも脳が働くんだと思うことがあります。体温調節ができないことも非常に苦痛です。

休むことが非常に大事な病気です。この病気の特徴は、簡単な身体作業とか、頭を使うような作業で急速に体力が落ち、色々な症状が悪化して、その回復に病的に時間がかかることです。逆にいうと、お医者さんの予約の日を目指して、患者さんはほとんど家で寝たきりのような生活をして体力を少しづつ回復させます。そしてお医者さんに行く時は、そのピークの良い時で、そのピークの時しか私たちを見ませんので、お医者様もこの病気を理解するのが困難です。

身体を動かすのと頭を使うのでは、両方とも大変です。頭を使っても体力が落ちてきて、身体も動かなくなってきます。頭を使う作業も非常に体力を消耗して、症状の悪化につながります。子どもで発症すると、理解してもらうのが非常に困難で、不登校と思われてしまいがちです。32歳で発症した私ですら、アメリカで診断が下りまで、「検査結果は異常なし」と言われると、「自分の努力が足りないからできないのか」と、一時期は真剣に思ったこともありました。

夏野:まだ客観的な診断基準が確立していないということですが、その他の条件は全て完全に難病だと思うし、何らかの助けが絶対に必要だと思います。

山村:今の診断基準では、この病気でない方も診断してしまうかもしれないところがあり、血液を調べて客観的な数字で出るものや画像などが、診断基準に取り込まれる必要があるのだろう思います。

竹山:どうしても納得いかないのは、どう見ても難病なのに、難病指定がおりない。これ(車いすに横になる)を、わざとやりますか。データが通らないと、国が(難病指定を)おろしてくれないのですか。

山村:国の決まりごとは、一旦決まると守っていくのが一つの流れです。まず、皆さんに広く知ってもらうことが大事で、皆に関係のある病気だということが知られれば、もう少し変わってくると思います。実際にこういう難病では、突然色々な研究が発展することがあります。例えば有名な方の家族がこの病気になるとか。

司会:難病指定になってないと同時に、障害者総合支援法の対象にもなっておらず、必要な支援も受けられていないという現状があるのですね。

箕輪:客観的な数値がないと判断できないのはわかりますが、何も対応しないのはあまりにも差があり、その中間の部分で何かできることはないのかという気はします。

篠原:私は寝たきりに近いので、身体障害者手帳を取得できました。手帳が取得できないと、車椅子の支給とか居宅介護が受けられません。2014年に厚労省による実態調査が行われ、3割の患者さんが寝たきりに近く、ほとんどの患者さんが職を失うということがわかっていますので、障害年金の支給も患者さんにとって必要なことです。

山村:日本の医師は、この病気の教育を受けていませんので、慢性疲労症候群の病名を出すと「そんな病気はない」と言って、診療をしてくれない病院の方が多いです。一方、開業医の先生でも熱心な先生もいますし、県立病院でもいます。ドクターに聞きますと、「今は自分の専門の病気で手一杯。自分の診ている患者さんがもっと何とかしてと来ているのに、少し脇道をそれるようなことできない」と言います。ただ、それではいけないので、かなり力の入った規模の予算とか、何かを作って一挙にこの病気を解決するというようにしないといけないです。

司会:まだこの病気には治療薬がない状況ですが、少しでも症状を緩和できるかもしれない治療法の一が、rTMSです。

山村:磁力を使って大脳の特定の部位を刺激する治療です。研究は、国際医療福祉大学市川病院の角田亘先生が、40人のこの病気の患者さんに対して行い、30名の患者さんに何らかの良い効果があり、副作用もなく安全にできたということで、一つの期待の持てる将来の治療の一つだと思います。ただ、この治療は、一回治療するだけでは完治はしません。一回治療すると、2週間は非常に症状が楽になりますが、効果が切れてきて繰り返しやらなければなりません。そうした大ががりな治療研究をやるのは、大変な予算とスタッフがいり、今は中断されています。

竹山:篠原さんがアメリカにいて英語もできたので、向こうの本を翻訳して広まったのに、まだ難病指定もされない我々は同じ病気になる可能性があるわけですから、自分のためにも知らせる義務があると思います。これを皆でやっていかなけらばいけないと思いますね。

山村:実際、篠原さんの活動に若い医学生が非常に感動を受けて、この病気の研究をしようとリサーチに入ってきた人もいます。ですから若い方にアピールして、次世代の医師がこの病気に本当に興味を持って、日本人によってこの病気の原因が解明され、本当に良い治療ができるようになることを、私は希望しています。

篠原:私たちは今、指定難病と薬の開発を求めて、国会請願を集めています。正しくこの病気を知って頂き、全国どこでも診療して頂け、必要な福祉制度が受けられるようにして頂きたいです。10~30代で発症される方が非常に多い病気ですが、制度を使えないことで、患者さんが無理をして重症化していく例をたくさん見ています。そして、山村先生の医療研究センターに、筋痛性脳脊髄炎のセンターを作って頂いて、そこに外来の先生が何人もいて、何人もの先生が研究の解析しているような状況を作って頂いたいと強く願っています。