18.4.28医療制度研究会セミナーで講演

4月28日(土)に中央大学駿河台記念館302号室において、「ME/CFS治療ガイドラインと病人権利(Patient’s Rights)」と題して、NPO法人医療制度研究会主催の第7回草津セミナー(東京開催)が開催され、当法人より申偉秀理事と篠原理事長がお話をさせて頂きました。医療制度研究会では、病人権利をテーマに毎年、草津セミナーを開催しており、ME/CFSの問題を取り上げて頂くのは2012年に続いて2回目です。当日はNHKと共同通信の方が取材して下さり、多くの医療関係者や患者・家族の方が出席して下さいました。

医療制度研究会副理事長の本田宏先生(元埼玉県済生会栗橋病院院長補佐)が司会を務められ、まず理事長の中澤堅次先生(元栃木県済生会宇都宮病院院長)より、「臨床医として、どう医療の中に病人権利を取り入れるのかに思い入れがあり、ME/CFS治療ガイドラインの問題を通して考えていきたい」とご挨拶されました。第一部は「筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)、治療ガイドラインと病人権利」と題するセミナー、第二部で「この手に希望を~ME/CFSの真実~」が上映されました。

最初に当法人の申理事が「筋痛性脳脊髄炎-診療の実際」と題して話しました。2007年の日本の診断指針では、精神疾患が紛れ込んでしまい正しい原因解明につながらないこと、患者の睡眠に中途覚醒が多いこと、SF36調査によってME/CFSはメンタルヘルスは重症度に関わりなく問題がないこと、ペースの調整が重要であること、労作後に患者のサイトカインが上昇すること、2016年から米国国立衛生研究所(NHI)において神経系疾患セクション主導で本格的研究が開始されたこと、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所の山村隆先生がB細胞の異常所見を見出したこと、今年からAMEDで山村先生の研究班が採択され神経免疫疾患としての研究拠点となることが期待されること、症状の緩和のために和温療法、反復的経頭蓋磁気刺激法(TMS治療)、遠絡療法、上咽頭擦過療法(EAT)等の治療法があること、患者会ではNCNPにおいて臨床研究や診療を行うことや、全国に拠点病院を作って診療連携ネットワークが構築されることを望んでいることなどを話されました。

篠原理事長は「治療ガイドラインが患者に及ぼす影響」と題して、当法人で研究班より依頼されたME/CFS治療ガイドライン案の外部評価について話しました。このガイドラインは、A評価の治療法がない、世界的に有効性が否定されている段階的運動療法を一番有効な治療法としている、どの診断基準で診断された患者の論文であるかが不明である、重症度別の治療解析がされていない等の問題を指摘し、患者団体としてこのガイドラインに反対である理由として、実際に使用できるガイドラインになっておらず、この病気への誤解や偏見をさらに広げ、患者に害を及ぼすことが強く懸念され、患者がさらに苦しむことが予見されることを指摘し、国内外の団体からパブコメを寄せて頂けるように働きかけた結果、厚労省から治療ガイドラインは出版しないと連絡があったことを話しました。

医療制度研究会理事長の中澤先生より、追加発言がありました。「“病人(患者)権利”は、世界医師会が提唱する医の倫理として有名ですが、日本の医療はやや特殊な状況で、多くの問題が生じる原因になっている。患者と医療者の意思決定とは、病人権利の中でも最も重要視されているインフォームドコンセントに関することで、『治療を受けるかどうかの意思決定に当たり、患者は必要な情報を医療者から提供される権利がある』とされ、意思決定をするのは患者であり、患者は意思決定に必要な情報を得る権利があるというのが普通の考え方だが、日本におけるインフォームドコンセントは『治療するにあたり、医師は適切な治療法を患者に示し、内容をよく説明し同意を得た上で治療を行う』としており、意思決定の過程には患者が入らないと考える医師は少なくない。この認識でガイドラインが作られると、患者の立場で見て問題のある治療でもチェックが入らず、病気の本質を知らない医師がガイドラインだけを見て治療にあたり、ガイドラインはその治療にお墨付きを与えてしまう危険なものになってしまう」と話されました。

その後、少し休憩を取って、「この手に希望を~ME/CFSの真実~」の上映が行われました。意見交換では、「上映会を開催する時の条件は?」「和温療法の代わりに、お風呂に入って温まるだけでも効果があるか」「自分がどこまで動けるかを理解することが認知行動療法と説明を受けたが(答え:それはペースの調整です)」「精神障害で認定されているが、身体障害で認定されたい」「高次機能障害患者の家族だが、精神障害に分類されていることに疑問」「日本の障害認定と福祉制度はおかしい」「ガイドラインは患者のためではないと感じた」「ガイドライン案に対応するために海外の専門家に意見を求めたのは良かった」「患者の声を拡大するアドボカシーが日本にはない」など、活発な意見が交わされました。

中澤先生の意見はこちらから全文をご覧頂けます

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