17.12.22治療ガイドライン修正について質問

当会では11月13日に、ME/CFS治療ガイドライン作成委員会より外部評価の依頼を受け、12月14日にはその件で厚生労働記者クラブにおいて記者会見を行いました。12月18日に作成委員会より、ガイドライン案の修正を進める方針であるとの連絡を頂きました。そこで、修正を検討して頂くにあたり、委員会に下記の質問に答えて頂けるようにお願いしました。

全国の医療機関で使用できる「治療ガイドライン」の作成が現実的なのかについて
1. A評価の治療法がなく、B評価のものも一つしかない治療ガイドラインでは、「地域格差なく全国どこの医療機関でも受けられるようになること」は期待できないため、率直にそのことを説明すると共に、「最近の知見を集めたものにすぎない」等と記載する必要性があるのではないでしょうか。
a. 治療ガイドラインとしていますが、この疾患には完治させる治療法はまだなく、掲載している治療法も症状を緩和させるものであることを説明する必要があるのではないでしょうか。
b. 重症度に応じた治療法の必要性を明記すべきではないでしょうか。
c. 米国CDCのHPには下記のように書かれています。
“There is no cure or approved treatment for myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome (ME/CFS). However, some symptoms can be treated or managed. Treating these symptoms might provide relief for some patients with ME/CFS but not others. Other strategies, like learning new ways to manage activity, can also be helpful.” (https://www.cdc.gov/me-cfs/treatment/index.html

「EBM」が「治療ガイドライン」を作成する方法として適切かについて
2. 「EBMに基づいて再評価する」とありますが、その意味が明確ではありません。具体的にどのように再評価するおつもりでしょうか。
a. 今後も臨床データを取ることなく、文献調査研究方法だけで修正を行うつもりでしょうか。
b. 「治療ガイドライン(案)」では、文献レビューの結果、段階的運動療法が有効と結論付けられ、そのまま有効な治療法として推薦されました。このように、文献レビューによる結果が、臨床データや患者の体験と異なる場合に、どうするべきだとお考えでしょうか。
c. 再評価の過程で、現在は否定されている論文を除外すべきではないでしょうか。
d. 医学の進歩の速さを考えた時に、古い論文をレビューに含めるのは不適切ではないでしょうか。

段階的運動療法(GET)の推奨について
3. なぜ国際的にグレードが下がった段階的運動療法を、日本で最も有効な治療法として推奨するのか、その理由を明らかにしてください。
a. 「EBMに基づく再評価」の結果、以前と同じ推薦グレードの結果が出た場合、最新の世界的な動きや治療後の病状の悪化のリスクを考慮して、段階的運動療法の有効性を下げる必要があるとお考えでしょうか。

診断基準の問題について
4. 世界にはいくつもの診断基準が存在し、そのことによって様々な問題が生じていることを理解されていますでしょうか。
a. そうした点を考慮した上で、治療ガイドラインを修正するつもりでしょうか。

5. 病気による身体的な苦痛や経済的困窮、医療機関や周囲から病気を理解されない苦しみなどから、二次的にうつを発症する方がいるのであって、この病気の症状の一つではないことを理解していますでしょうか(カナダの診断基準の臨床症例定義の中の症状にはうつは入っていませんし、精神疾患は除外することになっています)。
a. そうした事実を記載しないと、この疾患が精神的な病気であるかのような誤解が広がる懸念があることを理解されていますでしょうか。

ME/CFSの説明について
6. 患者数は最新の疫学調査に基づく患者数に修正するつもりでしょうか。

7. 「カナダの診断基準」、「筋痛性脳脊髄炎のための国際的合意に基づく診断基準」、「国際ME/CFS学会の臨床医の手引き」にも明記されているように、ME/CFSはWHOで神経系疾患と分類されている疾患であると、このガイドラインに明記すべきではないでしょうか。この疾患への誤解が広がっている現状を理解されているのであれば、WHOで神経系疾患と分類されている強い必要性を理解して頂けますでしょうか。

8. ガイドライン作成委員会では、ME/CFSを「重篤な疲労が継続する疾患」と捉えていますか。

9. 以下の歴史的な経過を認識していらっしゃるのでしょうか(ジェイソン先生の論文参照)。
〇米国カルフォルニア州での集団発生後、1930年代に初めて新規の疾患群として提唱する論文が医学雑誌に掲載された。
〇1955年にロンドンで数百人の集団発生後、1956年の医学誌「ランセット」に「良性筋痛性脳脊髄炎」と名付けることが提案された。
〇疾患により重度の身体障害を引き起こす患者が多いことから、その後「良性」を削除して、筋痛性脳脊髄炎(ME)という用語を用いて疾患定義が発表された。
〇1969年より良性筋痛性脳脊髄炎としてWHOで神経系疾患と分類されている。
〇1984年に米国ネバダ州で集団発生後、1988年にアメリカの国際会議で慢性疲労症候群と命名された。
〇その後、日本でも慢性疲労症候群と呼ばれるようになった。

10. 筋痛性脳脊髄炎という病名の由来を示すためにも、この経過をガイドラインに掲載する必要があるのではないでしょうか。

11. 神経系疾患であるME/CFSの治療ガイドライン作成に、神経内科医が一人も関与しなかった点についてどう考えていらっしゃいますか。
• 神経内科医が関与しなかったことを明記すべきではないでしょうか。

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