16.10.23盛会だった国際学術シンポジウム!

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0%e8%a8%98%e8%80%85%e4%bc%9a%e8%a6%8bhp10月23日に東京大学鉄門記念講堂において、「注目される神経内科領域の疾患:筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)~ME/CFSも治療の時代へ」と題する医療関係者向け国際学術シンポジウムを開催致しました。このシンポジウムは、世界保健機関において神経系疾患(ICD-10 G93.3)と分類されているこの病気を、神経難病として捉え、神経内科領域の研究者に研究を促進していただくことを目指しました。

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0%e7%94%b3%e5%85%88%e7%94%9fhp当日は医療関係者の方50名、製薬会社の方13名を含む150名を超す方にお越しいただき、盛会のうちに終了することができました。朝日新聞、東京新聞、日本医事新報社等が取材して下さり、厚労省の方にもおいで頂きました。厚生労働省、東京都、日本医師会、日本神経学会、国立精神・神経医療研究センターはじめ多くの団体からご後援頂き、日本財団から助成して頂きました。

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0%e9%ab%98%e6%a9%8b%e5%85%88%e7%94%9fhp当NPO法人理事の申偉秀・東京保険医協会理事の司会で、まず、日本神経学会代表理事である高橋良輔・京都大学医学部教授から、「私自身も日本神経学会の代表理事として、神経学会もこの病気にもっと目を向けなくてはならないと認識しました。この国際シンポジウムが、病気への理解をさらに深め、参加されている医療関係者・研究者の方々に、この疾患への取り組みをさらに真剣に考え、研究を推進していただけることを心より祈念致します」とのオープニング・リマークを頂きました。

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0komaroff%e5%85%88%e7%94%9fhpME/CFSのオピニオンリーダーであるコマロフ・ハーバード大教授より、「ME/CFSのバイオロジー」と題して、基調講演をして頂きました。米国科学アカデミーは、ME/CFSに関して発表された9000以上の研究論文を査読後、客観的かつ生物学的要因のある多くの異常所見が認められ、「ME/CFSは生物学的ベースの疾患である」と結論付けました。ME/CFSの定義、疫学調査、認知機能に関する精神心理学的研究、MRI、SPECT、PET、脳波検査、脳脊髄液検査を含む中枢神経や自律神経の異常所見、労作後の筋肉の異常、免疫系の異常、疾病の引き金における感染性病原体の役割の可能性、エネルギー代謝の異常、酸化及びニトロソ化ストレスのエビデンス、一部の症例の引き金となっている腸内細菌の役割の可能性等についてお話し頂きました。

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0%e7%a7%81hpNPO法人筋痛性脳脊髄炎の会理事長の篠原三恵子は、「シンポジウムまでの道」と題してお話しさせて頂きました。1990年発症後、1996年に帰国してから患者会発足までの日本の患者の置かれた状況、当法人で翻訳・発行した7冊の小冊子、行政・議員・医療界への働きかけ、病態解明や治療法開発のための研究への協力について話し、最後に神経難病として研究を推進して頂けるように訴えました。

休憩時間には、当法人が製作しているドキュメンタリー映画支援ビデオをご覧頂き、募金への協力を呼びかけました。

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0klimas%e5%85%88%e7%94%9fhp前国際ME/CFS学会長のクライマス教授には、「ME/CFSの分子標的治療開発のための仮想病態の提案」と題してお話し頂きました。先生は他分野にまたがるチームを率いて、ダイナミックな仮想病態研究において、ゲノム、免疫、内分泌、神経ペプチド、臨床データを統合して、ME/CFSの仮想モデルを開発する研究を実施されています。根治治療的アプローチを探すために、細胞モデリング、動物モデリング、そして最終的にヒトを対象に第一相臨床治験を用いて、計画の有効性を検証する予定です。免疫が専門のクライマス先生は、ME/CFSが神経免疫疾患であることを強調されました。

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0%e5%b1%b1%e6%9d%91%e5%85%88%e7%94%9fhp国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部長の山村隆先生には、「ME/CFSの免疫療法に向けて:フローサイトメーター解析」と題してお話し頂きました。ME/CFSは、さまざまな免疫系の異常が報告されており、B細胞を除去する治療薬リツキシマブのME/CFSに対する治療効果が報告されています。そこで、患者リンパ球のフローサイトメーター解析によって、ME/CFSの病態にB細胞異常が関与するという仮説を検証できないか検討したところ、トランジショナルB細胞が減少し、CD80陽性プラズマサイトが増加していました。これはリツキシマブの有効性を説明する所見である可能性があります。

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0%e9%84%ad%e5%85%88%e7%94%9fhp前鹿児島大教授であり、和温療法研究所所長である鄭忠和先生には、「ME/CFSの症状緩和に有効な治療法:和温療法」と題してお話し頂きました。鄭先生は、慢性心不全に対する治療法として和温療法を開発された方で、和温療法は血管内皮細胞の機能を改善させ、血管拡張によって全身の血流(脳血流を含む)が促進され、心機能・自律神経が改善され、自律神経機能や神経体液性因子が是正され、抗酸化作用が促進されることから、運動困難例にも施行可能で、ME/CFSの症状の緩和に有効なことを、臨床例を提示しながらお話し下さいました。

最後に山村先生より、「ME/CFSは神経と免疫が密接に関係した神経免疫疾患の中で、未解明な疾患の一つとして今後研究されていくでしょう。今はその夜明け前だと思われます。このようなシンポジウムを企画した患者会に敬意を表すと同時に、米国の先生方に、医療関係者に向けてコンプリヘンシブなレクチャーをして頂いたことは素晴らしかったです」と、閉会のご挨拶をして頂きました。

16-10-23%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%a6%e3%83%a0%e7%b1%b3%e5%9b%bd%e8%ac%9b%e5%b8%ab%e3%81%9f%e3%81%a1hpシンポジウムでは、医師・研究者とシンポジストの先生方との活発な質疑応答が行われ、シンポジウム終了後には、コマロフ先生、高橋先生、山村先生が共同で、ME/CFSの神経系異常についての論文を執筆し、日本神経学会誌へ掲載することになりました。ME/CFS研究の世界的リーダーと日本神経学会代表理事をお迎えしてシンポジウムを開催することができ、今後、日本においてME/CFSが神経内科領域の疾患として研究が促進され、近い内に根治薬の治験が開始されるであろうと、大きな期待を抱かせるとても有意義なシンポジウムでした。

当日、内閣府特命担当大臣である自民党の松本純議員より、お祝いのメッセージをいただきました。会場をお借りするにあたり、東京大学大学院神経内科学教授の辻省次先生のご厚意に感謝しております。また、多くのボランティアの方々の御協力に感謝しております。

本シンポジウムは、厚生労働省、東京都、日本医師会、日本神経学会、国立精神・神経医療研究センター、日本臨床内科医会、日本性差医学・医療学会、全国保険医団体連合会、東京保険医協会、全日本民主医療機関連合会、日本看護協会、日本臨床衛生検査技師会、日本医療社会福祉協会、日本障害者協議会、医療制度研究会(順不同)からご後援頂きました。

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