16.10.1「みんなのねがい」の「当事者連載」④

img121篠原 三恵子
全国障害者問題研究所発行「みんなのねがい」11月号の「当事者連載」というコーナーに、「映画の完成をめざして」と題して記事を掲載して頂きました。4回の連載の予定で、今回が最終回です。

私たちの患者会は、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の実態を描く米国のドキュメンタリー映画がきっかけで発足しました。2009年秋に初めての試写会を開き、2011年には、この映画の監督を米国からお招きして、シンポジウムを開催しました。そして今、私たちはこの病気を知って頂くために、日本の患者の実態を描くドキュメンタリー映画を製作中です。

米国や英国のドキュメンタリー映画を上映してきましたが、どこか遠い外国の話に感じられるため、日本のドキュメンタリーが必要だと感じてきました。また、重症患者は病院に行くことすら困難ですので、家族以外の方がその実態を知ることはありません。

この情報化社会において、知らされなければ、問題は存在しないことと同じです。知らせることで問題が明らかになり、人々の心を動かし、対策が取られるようになるはずです。ME/CFSは大変に深刻な病気ですが、国内での認知度は低く、患者たちは家族や周囲から理解されずに、今でも非常に苦しんでいます。製作中の映画の中では、慢性疲労症候群という病名ゆえに誤解や偏見が助長されてきたこと、厚労省の実態調査によって、ほとんどの患者が職を失い、患者の約3割は寝たきりに近い重症患者であることが明らかになったにもかかわらず、患者たちは社会保障を受ける道を閉ざされている実態を描くことで、日本における重症患者の実態と問題点をクローズアップしたいと思います。

また、この病気はストレスが原因で発症する疲労の病気ではなく、WHOで神経系疾患と分類されている神経難病であること、日本でも神経難病として本格的な研究が開始されていること、患者会との共同研究で治療法の開発が進んでいることも描き、患者さんに希望を与えるものにしたいと思っています。今年の10月23日に東京大学において開催する、当法人主催の医療関係者向け国際シンポジウムや、患者会の活動の映像も入れる予定です。

原稿を書きながら、初めての試写会の時に「この病気であることを明かしたら、自分は一生偏見の目で見られるのではないか」という恐怖を抱いたことを、再び思い出しました。ここまで私たちを励まし、支えてきてくださった多くの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。人の心の傷は、人との関わりの中で癒されるのを実感しています。

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