16.7.30実地医家のための会機関誌に報告

16.7.30人間の医学の表紙1月10日に東京医科歯科大学症例検討室において開催された、実地医家のための会の一月の例会でお話をさせていただきました。その時の講演のまとめを、当法人の10月23日の国際学術シンポジウムのご案内と共に、実地医家のための会の機関誌「人間の医学」252号に、「第579回例会『難病対策の実際』~筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に理解を!」と題して、9ページにわたって掲載して頂きました。

当日の例会は難病対策の実際がテーマで、まず東京都福祉保健局保健政策部疾病対策課難病対策担当課長が「東京都の難病対策」について、東京都多摩小平保健所長が「地域における難病患者・家族の支援」について話されました。その後、1時間ほど話させて頂いた内容をまとめました。病名について、自身の病歴、病気の説明、カナダの診断基準、最新の国内外の研究、最近の脳画像の研究、米国国立衛生研究所(NIH)の研究段階的運動療法と認知行動療法の論文の撤回要求厚労省の実態調査、患者の深刻な実態、患者会の活動、最後に医療関係者へのお願いと参考文献で結びました。

ME/CFSは、WHOの国際疾病分類において神経系疾患に分類(ICD-10 G93.9)されており、疾病概念が確立し、国際的に認められた診断基準がある疾患である。主な病態は中枢神経系の機能異常や調節障害で、通常ウィルス感染後に発症するというのが欧米諸国における共通認識で、癌や心臓病、エイズのような極めて重症な疾患と同様に、患者のQOLを著しく低下させる。脳と中枢神経に影響を及ぼす多系統に渡る複雑な疾患で、機能障害は全身に及び、国際ME/CFS 学会は、4人に1人は寝たきりに近いか、ほとんど家から出ることのできない重症患者であると発表している。子供でも発症し、国内の患者は30万人と推定。

中核症状は神経免疫系の極度の消耗で、最小限の活動や簡単な知的作業などによってさえ、身体及び思考力を衰弱させ、回復が病的に遷延することである。世界で最も広く使用されているカナダの診断基準は、ME/CFSは後天的器質的疾患で病態生理学的に多系統にわたる疾病であると記載されており、成人が発症前のレベルの身体機能を取り戻す率は0~6%と報告している。

これまで当法人では、海外の診断基準を含む最新の情報を翻訳して6冊の小冊子を発行(2016年1月現在)、ME/CFS患者の実態を描くドキュメンタリー映画を翻訳して各地で上映会や医療講演会、海外から映画監督・専門医を招いたシンポジウム、患者・家族のつどいを開催、重症患者の実態調査の実施や研究の推進と患者の社会保障を求めて国会請願活動(2014年と2015年に衆参両院で請願採択)等を行ってきた。

患者会の要望を受けて、2015年より国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部部長の山村隆先生が、本格的な研究をスタートして下さった。2016年10月23日に、米国から前国際ME/CFS学会長やハーバード大学医学部教授を招聘し、山村先生と学術的国際シンポジウムを企画している。また、患者会と共同で、前述のスタンフォード大の論文の追試研究を行っている。さらに、患者会と共同で和温療法TMS(経頭蓋磁気刺激)治療の2つの治療法の研究も進めており、良い成果を上げつつある。

医療関係者の方に、この疾患への理解を深めて頂き、10代~30代の多くの若い人が発症する確率の高いこの疾患に、手を差し伸べて頂きたい。全国で診療を受けられる診療体制作りや、病因・病態の解明や治療法の研究の推進が急務であり、障害年金や身体障害者手帳のための診断書作成にご協力頂けるよう願っている。

自由交見の時間には、「診断基準では臨床症状経過で診断できるようだが、一般医が診断して診療することに問題はないのか」「診療する場合に東京で紹介できる専門医はいるのか」「(精神科医)痛みや不眠症なども伴ってほとんど動けない状態で、慢性疲労症候群と呼んでいいのか」等の質問が出されました。

「内科の一般的な検査では異常が見つからないために精神科に回され、薬を処方されて悪化したり、精神科でも異常がないと言われて行く所がなくなり、医療難民化するパターンが多く、精神科の先生にもこの病気をぜひ知っていただきたい。」「国は建て前として、患者数が18万人以下ではない疾病は、医療費が助成される指定難病の対象にならないとしています。難病認定の要件に患者数を含めること自体がおかしいと主張してきましたが、改めて患者数で対象疾患にするかどうかを決めることに非常に矛盾を感じています」と話しました。

広告