16.8.8経頭蓋磁気刺激治療に関する記者会見

16.8.8角田先生と記者会見全体8月8日に厚生労働省記者クラブにおいて、ME/CFSに対する経頭蓋磁気刺激治療について、国際医療福祉大学三田病院リハビリテーション科の角田亘先生と共に記者会見を行いました。NHK、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、医事新報、薬事ニュース、共同通信、「じほう」などの方が出席してくださいました。

米国国立衛生研究所(NIH)は今年2月に、「ME/CFSの原因は、ウィルス感染に誘起された免疫機能変化による脳の機能障害である」と提唱したうえで、本格的に研究を開始すると発表しました。このような中、最近における脳神経放射線画像の進歩は、確かにME/CFS患者の脳内における局所的な神経機能低下の存在を強く示唆しており、脳内のどの部分に機能低下があるかということまでが明らかとなってきています。

一方、2005年頃から、脳卒中をはじめとする脳神経疾患に対する新しい治療法として、経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation=TMS)治療が世界的に注目を集めはじめています。TMSは、頭の皮膚の表面に刺激コイルと呼ばれる刺激装置をあてることによって、身体に傷をつけることなく、痛みを伴うこともなく、大脳の特定の部位を刺激することができます。刺激コイルから発生した磁力が頭蓋骨を通過して、大脳の表面に届き、そこで大脳を局所的に刺激します。そして、1秒間に10発の連続刺激を与える高頻度TMSを適用した場合、刺激された大脳部位の神経機能が、局所的に高まることが明らかとなっています。

16.8.8角田先生と記者会見アップしかしながら、ME/CFSに対して治療的に高頻度TMSを行ったとの報告は、全くありませんでした。そこで、すでに数百人以上の脳卒中患者に対してTMS治療を行ってきた経験がある角田先生が、東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座との共同研究として、世界に先駆けてME/CFS患者に対してTMS治療を試みました。今回の治療対象患者は、17歳から57歳の7人、女性5人と男性2人でした。

対象患者は入院した上で、3日間にわたって6回の高頻度TMSを施行されました。1回の高頻度TMSは25分間であり、刺激部位は前頭前野としました。その結果、患者7人中6人で何らかの症状の改善、特に生活状況の改善が確認されました。具体的には、「屋外を長時間歩くことができるようになった」「人の力をかりずに入浴や洗髪ができるようになった」「長時間続けて本を読むことができるようになった」「長時間デスクワークに取り組むことができた」「数年ぶりに集中力が高まる感じを自覚した」などの変化が確認されました。退院後2週間の時点までの経過観察では、経過とともにやや効果の減弱が示唆されたものの、およそは退院後も症状の改善が持続していました。

以上の結果から、高頻度TMSによって、安全にME/CFS患者の症状を改善できる可能性が示されたものと思われます。また、TMSで大脳局所の神経機能を高めたことで症状が改善したという事実から、ME/CFSは大脳局所の機能低下に起因する疾患であることがあらためて示されたものと解釈されます。角田先生は、ME/CFSに対する新たな治療法を確立し、それを確固たるものとするために、今後もTMS治療を続けていきたいと話しました。

発表後には、熱心に多くの質問が出され、TMSによる刺激範囲の広さ、脳卒中に対するTMS治療との相違点、TMSが大脳のシナプスに与える影響、脳深部刺激療法(DBS)との相違点などについて、角田先生が回答しました。

当日の配布資料はこちらからご覧いただけます

 

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