16.5.21細胞検査士養成所同窓会誌に会員が投稿

16.5.21がん研細胞検査技師養成所同窓会誌がん研細胞検査士養成所同窓会誌に「筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)について」と題して、会員の松本弘子さん(患者さん)の3ページの記事が掲載されましたので、ご紹介致します。記事の中で日本臨床衛生検査技師会からも、10月に開催される国際学術シンポジウムの後援を頂けるようにお願いし、実際に許可を頂きました。

日本で慢性疲労症候群と呼ばれている疾患は、1930年代に初めて論文が医学雑誌に掲載されました。1956年には医学誌「ランセット」に、良性筋痛性脳脊髄炎と名付けることを提案されています。1955年のロンドンでの集団発生の際に顧問医師であったRamsayは、疾患により重度の身体障害を引き起こす患者が多いことから、その後「良性」を削除して筋痛性脳脊髄炎(ME)として疾患定義を発表しました。ところが、1988年に国際学会において患者の反対を押し切って、慢性疲労症候群と名付けられてしまいました。NPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」では、筋痛性脳脊髄炎への病名変更を提唱しているわけではなく、慢性疲労症候群という病名は病態を表していないので、病態にふさわしい病名に変更して頂きいたいと願っています。

松本さんは昨年1月にインフルエンザにかかり、その後ずっとだるさが続いていたところ、3月にひいた風邪が気管支炎になり、回復が長引き、3月末には下半身がこわばりうまく歩けず、階段の上り下りも困難になりました。5月に、性差医療の先駆者でありMEや線維筋痛症の専門医だった医師に、ウィルス感染後筋痛性脳脊髄炎を診断されました。この病気は普通の血算、生化学、CRP等の一般検査的な数値が正常値なので、精神的な疾患と誤診されるケースも多いのですが、NK細胞の活性値は正常値の半分でしたし、脳の血流をMRIで検査しました。

2015年10月に米国国立衛生研究所(NIH)より、「NIHはME/CFSの研究促進に向けて動き出す」と題する発表がありました。「ME/CFSは、いかなる種類の労作によっても激しい症状の再発につながる全身性の労作不全によって特徴づけられる、後天的な多系統にわたる慢性疾患です。本疾患には、免疫障害・神経機能障害・認知機能障害、睡眠障害、様々な基本的な身体機能を調整する自律神経系の機能障害を含みます。これらの症状によって、激しい疲労を伴う著しい機能障害が引き起こされます。本疾患の影響は、中等症から身体を衰弱させるレベルにまで及び、少なくとも4分の1の患者は病気のある時期において、寝たきりか家から出られず、多くの患者は発症前のレベルの身体機能を取り戻すことは二度とありません。NIHは臨床研究を立案し、急性感染症を示唆する症状の急激な発症に引き続いて疲労が現れた患者を登録する計画です。」

WHOで神経系疾患と分類されているME/CFSの研究が、国立神経疾患・脳卒中研究所に移されたことは画期的なことです。日本においても同様に、神経系疾患としえ研究が促進されるよう切望します。

患者会発足以来の悲願であった、重症患者の実態調査が厚労省によって行われ、3割が寝たきりに近い重症患者であることが明らかになりました。国際学会が、4分の1の患者が寝たきりに近いか、ほとんど家から出られないと発表してきたことと一致します。それにも関わらず、ME/CFSは医療費助成の対象にも、障害者総合支援法の対象にもなっておらず、ほとんどの患者は福祉サービスを受けることができずに苦しんでいます。また、この疾患に対する認知度は低く、病気を理解して診療してくださるお医者さんも非常に少なく、地域的に偏っており、多くの患者が診断も受けられずに見放されていると言っても過言ではなく、患者は怠けていると解釈されることも多々あります。

10月23日には、米国から2人の研究者を招き、東大鉄門記念講堂において国際学術シンポジウムを開催する予定です。日本神経学会代表理事にもご出席頂き、日本医師会からもシンポジウムの後援を頂けることになっていますので、日本臨床衛生検査技師会からも後援を頂きたいです。生理学、生化学、血液学、微生物学、一般検査、病理学等の見地から、わかることがあるかもしれないと思うからです。まずは、医療従事者として認知度を高めて頂きたいと願っております。

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