16.5.15リツキシマブの論文の要約を翻訳

やまおだまき米国国立衛生研究所(NIH)におけるME/CFSの所内研究の主任研究者であるDr. Avindra Nath(神経免疫学が専門)が、2016年2月に米国疾病管理予防センター(CDC)で開催された病例検討会において、プレゼンテーションを行いました。ME/CFSにおける免疫調整に関する研究の論拠として、ノルウェーの研究グループの2つのリツキシマブの研究論文をあげましたが、2つの論文の要約を翻訳致しましたので、ご紹介致します。

2011年10月の科学雑誌「プロス・ワン」に、「CFSにおける抗CD20抗体リツキシマブを用いたBリンパ球枯渇療法の効能:二重盲検・プラセボ対照試験」と題する論文が掲載されました。CFSとリンパ腫を併発していた患者の癌の化学療法中に、CFSの主症状が軽減されたことから、抗CD20抗体リツキシマブを用いたBリンパ球枯渇療法のパイロット・スタディを急遽実施したところ、3人の患者において有意な臨床的応答が認められました。

その後、30人のCFS 患者を無作為にリツキシマブ群と生理食塩水群に分け、2週間隔で2回の投与を行い、その後12ヶ月間追跡しましたが、リツキシマブ群の15人中10人(67%)に、非常に良い又は中程度の全般的応答がありました。B細胞の急速な枯渇にも関わらず、リツキシマブ治療2~7ヶ月後に開始する遅延性の応答は、CFSが自己免疫疾患であり、臨床的応答に先行して自己抗体が緩徐に排除される可能性と矛盾しないことを示唆しています。

2015年7月の「プロス・ワン」に、「ME/CFSにおけるBリンパ球枯渇療法:リツキシマブ維持療法の非盲検第二相試験」と題する論文が掲載されました。パイロット・スタディ後、リツキシマブを使用してBリンパ球を枯渇させる小規模無作為化プラセボ対照第二相試験を行い、ME/CFSに対して臨床的効果が得られることを示しました。今回の非盲検第二相試験において、29人の患者にリツキシマブを2週間隔で2回注入後、3ヶ月後、6ヵ月後、10ヶ月後、15ヵ月後に再度注入し、36ヶ月間追跡し、29人の患者のうち18人に、非常に良い又は中程度の応答が見られました。36ヶ月の追跡終了時には、良い応答を示した18人の患者のうち11人に、臨床的寛解状態が継続していました。

ME/CFS患者のサブグループにおいて、リツキシマブの維持注入療法による長期間のBリンパ球枯渇と、持続的な臨床的応答との間に関連が認められました。Bリンパ球の枯渇/再生と遅延性応答/症状再燃のパターンが認められること、女性が男性より3倍高い有病率を示すこと、以前から高齢のME/CFS患者でB細胞リンパ腫のリスクが高いことが報告されていることなどは、ME/CFSが自己免疫疾患の異型である可能性を示唆しています。

リツキシマブの治験の承認に向けて、ノルウェーではさらに研究が続いています。

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