カトリック新聞に日弁連シンポジウムの記事

れんげしょうま9月13日付けのカトリック新聞に、「難病者の人権確立は?~難病法施行後も依然多い『制度の谷間』に置かれた患者 」と題して、難病者の抱える問題を人権の立場から考えた、日本弁護士連合会主催のシンポジウム「難病者の人権の確立を考える」を紹介する記事を、写真入りで大きく掲載して頂きました。

難病法が今年1月に施行され、医療費助成の対象となる「指定難病」の数が拡大されましたが、5000~7000も存在する難病のうち、対象となるのは306疾患(今後も増える予定)です。重度の難病でありながら、支援枠が病名で区切られることによって「制度の谷間」に置かれる難病患者は、依然として多くいます。

シンポジウムのリレー報告で、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」の当事者であるNPO法人筋痛性脳脊髄炎の会の理事長は、「客観的な診断基準が定まっていないなど、難病法の指定難病の要件も、障害者総合支援法の対象疾患の要件も満たさない難病は、『制度の谷間』に置かれてしまう」と訴えました。この病は、重症になると寝たきり状態になる難病ですが、どちらの対象にも入っていません。

厚生労働省の「日常生活困難度調査」で、深刻な実態が浮かび上がりました。症例数251人のうち、家事が「できない」「少しだけ」と回答した患者は7割を占め、軽症者でも約9割弱の患者が、家事を行った後で病状が悪化すると答えています。また、通院後に寝込む患者は全体の約8割弱で、寝込む期間は数日から数週間(平均8日)です。ME/CFS患者は一人で日常生活を送ることや通院する事さえ困難な状況ですが、医療制度や福祉サービスの対象外となっており、「『制度の谷間』に置かれた患者は、他の人と平等に社会参加する権利、必要な介護を受ける権利、外出する権利、選挙権を行使する権利、教育を受ける権利、医療を受ける権利を奪われ、人権が守られているとは言いがたい状況」と、理事長は訴えました。

こうした人権問題は、制度の不整備等に起因する「社会的障壁」の問題と言えます。リレー報告に立った認定NPO法人DPI日本会議の白井常任理事は、「『社会モデル』の視点から見れば、難病者は障害者に含まれますが、日本の障害者施策では、『機能障害』の概念が狭く、障害を『社会的障壁』の視点で捉えていないために、『制度の谷間』が生じる。日本の難病対策は、研究の側面と福祉的側面が混在し、研究の対象となっている疾患の患者だけが、医療・福祉の対象となっている。『研究』と『医療』と『福祉』を分離した上で、互いに連携させた難病政策を作ることが必要であり、どんな病気でも当たり前に社会参加できる環境作りをするためには、難病者の全てのニーズに基づく、きめ細やかな制度を作ることが重要」と語りました。

来年施行の障害者差別解消法に、難病に関する記述が少ないことを指摘した青木弁護士は、日弁連が7月に日本政府に提出した「難病者の人権保障の確立を求める意見書」の内容を紹介。意見書には、既存の障害者施策に難病を適応させた、「制度の谷間」のない法整備への提案を盛り込んでいます。「病名だけで支援の対象を決めてしまえば、重症の難病患者であっても、制度上は『健康な人』として扱われ、様々な問題が生じてしまう。国連の障害者権利条約に基づいて、治療研究と生活支援の両面をそれぞれ充実させていく必要がある」と語りました。

広告