「ノーマライゼーション」に佐藤先生の記事掲載

img066佐藤 久夫先生
月刊誌「ノーマライゼーション~障害者の福祉」6月号の「難病者支援の現状と課題」という特集欄に、「難病法を中心とした新たな難病対策の評価」と題して、日本社会事業大学特任教授の佐藤久夫先生の記事が5ページにわたって掲載されました。2014年5月に難病法が制定されたことにより、財政基盤が確立され、都道府県の超過負担が軽減され、医療費助成の対象疾患が拡大されて、今までの56疾患から、2015年7月より306疾患となります。こうした前進面を評価しつつ、問題点や今後の課題を整理されていますので、一部をご紹介致します。

医療費助成はどうみても経済的負担の軽減という社会保障目的の制度ですが、旧来からの「研究協力謝金」という性格を維持したように思われ、情報収集のために医療費助成が必要なほど希少な難病として、人口の0.1%以下の難病のみが対象とされました。たまたま自分と同じ病気の患者数が多いために除外されても、納得することは困難です。経済的負担の軽減を目的とするならば、すべての難病患者を対象にするか、高額療養費制度をさらに改善して活用すべきでしょう。

もう一つの疑問点は、「客観的な診断基準の確立」の要件。医療と研究と経済的負担の軽減は目的が異なり、したがって対象も本来は異なります。治療には疾患の確定が不可欠でしょうが、研究のためには明確に診断された患者だけではなく、疾患が疑われる患者や、診断がつきかねる患者についての情報も重要でしょう。診断基準が確立されていない患者の情報も重要でしょうし、負担軽減という目的を念頭におけば、診断基準が確立されていない難病患者のほうが、治療の見通しがもてずに苦しい状況に置かれているともいえます。

障害者総合支援法の対象となる難病は、難病法による指定難病の拡大を踏まえ、2015年7月より332疾患となる予定です。対象の要件は①治療法未確立、②要長期療養、③一定の診断基準の確立、の3点とされていますが、大きな問題は「一定の診断基準の確立」という要件です。診断されるまで大変なのが難病の特徴ですので、医療費助成の対象以上に柔軟にすべきですし、難病が強く疑れる場合には対象にすべきでしょう。介護保険は疾患名の限定なく運営されていますし、障害支援区分の認定もあります。

難病法は基本理念に難病患者の他の人々との共生を掲げています。難病対策は今後、福祉、雇用、差別禁止、所得保障、理解促進などの取り組みを本格的に進めることになりますが、自治体の障害者計画の中での位置づけも重要です。そのためにも障害者基本法に基づく地方の合議機関への難病当時者の参加を広げる必要があります。

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