東京保険医協会誌に申理事の記事掲載

img049申偉秀
東京保険医協会の月刊誌「診療研究」第503号に、「慢性疲労症候群は単なる『慢性疲労』ではありません」と題する記事を、当法人の申偉秀理事が投稿致しました。第503号は、診察室に呼ばれるまで患者さんに読んでいただけるように編集された「待合室に置く診療研究」のシリーズで、このシリーズは2008年から年1回発送され、今回で7回目です。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、日常生活の過労やストレスが慢性化して起こる病気では決してなく、国内外で診断基準もある、中枢神経(脳や脊髄)の病気です。国は2014年から医療費助成の対象を約300に増やそうとしていますが、まれな病気であることや客観的診断基準が確立しているが必要とされるため、ME/CFSは対象とされていません。

ME/CFSは、1950年代に医学誌「ランセット」に、MEという病名が提案され、1969年より世界保健機関で「神経系疾患」と分類されています。その後、この病気は1984年に米国ネバダ州で人口の1%に集団発生して世界的に注目され、米国でCFSと命名され、日本でも使用されるようになりました。英国・カナダ・オーストラリアなどではMEと呼ばれているため、近年はME/CFSと併記されることが多くなりました。

8割以上の患者さんは、ウィルスなどの感染症罹患後に発症します。ところが、「慢性疲労症候群」という病名では、疲労が慢性化してなる病気との誤解を招き、家族や医療機関から「気のせい」、「怠けている」などと扱われ、患者さんは病気の苦しさに加え、周囲から病気を理解されない苦しみも味わっています。

ME/CFSには特異的な検査(例えばインフルエンザの迅速検査のような)が現在のところないため、患者さんの症状と診察所見という臨床所見によって診断されます。日本では日本疲労学会の「臨床診断指針」で診断しますが、他の疾患をこの病気と診断する余地があり現在改訂中です。そのため、ME/CFSに特異的な客観的検査が開発されるまでは、日本の診断指針と国際的基準の双方を参照することが適当と考えられます。

根治療法はありませんが、病気を発症してから早いほど症状が軽くなることが多く、早期に専門医療機関へ相談することが大事です。お薬を使わない治療として、遠赤外線低温サウナ療法(和温療法)が効果がある方が多く、入院による和温療法や、自宅で週4-5日以上行うと効果が確認されています。

2010年に患者会が発足し、2012年からはNPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」として活動しており、国に対して以下の要望をしています。1)中枢神経系の疾患と捉え、患者を救済するための研究、2)国際的に認められた診断基準を日本で検証するための研究、3)客観的指標を含む診断基準を作成するための研究、4)全国で同じレベルの診療を受けられるような診療指針策定のための研究

最後に、ME/CFSは中枢神経の炎症性疾患ですので、医療関係の方も、一般の方々もこの疾患に対する理解を深めて頂き、10代~40代の多くの若い方達に発症するこの病気に手をさしのべて頂きたいと結ばれています。

記事を当会のHPに掲載する許可をいただき、東京保険医協会に感謝しております。

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